DAY-05 仙界の日常とその終焉
DAY-05 開幕!
大華中人民連合
21世紀前期、経済的に行き詰った中華人民共和国が人民解放軍主導で政権を運営し、アメリカの弱体化を契機に21世紀初頭の拡大政策を更に強引に進め台湾と香港、そしてベトナム北部を併合する形で形成された連合国家である。
覇権主義、大中華思想を前面に押し出し、周辺諸国の領海・領域に手を伸ばすのを厭わない。
発展途上国や小国に積極的に対して積極的に資産を投資し、有益な資源の自国化を進めているが、それに伴う環境破壊や貧富の二極化を顧みない開発によって地域に要らぬ軋轢と汚職、治安の悪化をもたらしている。
又、主義主張を考慮せず資源を自国に輸出してくれる勢力に代金の代わりに大量の武器を売却し、原理主義や独裁国家、国際テロ組織などの武器供給源となっている事が国際的に問題視されている。
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中国 北京
国家を代表とする者の執務室に置いて、部屋の主が直立不動の秘書からの報告に耳を傾けていた。
「派遣した艦隊との連絡が完全に途絶えました。 前後の状況はかなり混乱し支離滅裂な報告が大量に送られてきましたが・・・・」
部屋の主は椅子ごと窓方に身体を向け、まだ闇に包まれ地上の光に満ち溢れた不夜城の様な街並みを眺めていた。
「うむ? 如何した?」
秘書は時おり手元の端末に視線を落としながら淀み無く答えて行く。
「はい。 龍が出たとか、襲われたとか意味不明な報告ばかりで全く要領を得ないふざけた内容でした」
彼の責任では無いが、監視衛星や通信衛星からの情報が完全に途絶えリアルタイム情報の入手が困難な状態で、報告が真実であると言う事を彼は理解する事が出来なかった。
彼は身体を向ける事無く秘書に先を促す
「・・・なるほど。 それで、君はどう見るかね?」
秘書は感情の全く感じられない機械の様な声で話を続ける。
「はい。 監視衛星からの情報が完全に途絶えている為、推測になりますが。 大軍を有する油断から小日本の奇襲を許し予想外の損害を被った為に、その責任から逃れる為に通信が困難な作り出していると思われます」
「なるほど・・・。 妥当なところだな」
自らの考えを纏める為、少しの沈黙の後。
「それで、現地の指揮官はこの失態をどの様な功績で挽回するつもりかな?」
その責任を取るべき者は既に死者の列にその名を連ねていた。
「おそらく、九州全土を攻略した後に・・・」
その日は永久に来ない事を知らずに、喜劇の様な会話は虚しく続けられる。
「ふむ・・・。 それでどの様な対処が適切かな?」
「はい、定時連絡をしないのは明確な軍紀違反です、指揮官の厳罰は避けられないでしょうが作戦成功の功績を持って相殺とするのが妥当です。 もっとも責任を持って自主的な退官は促すつもりですが・・・」
「・・・・それが一番だな」
ある意味、滑稽の極みだが、すでにこの世に居ない派遣艦隊の責任者の末路がこうして決定された。
「追加の派遣と動員は必要かね?」
端末から必要な情報を読み取りながら。
「専門家の意見では直ちに必要は無いとの事です」
「そうか」
「はい。 それでは次の緊急を有する件ですが」
超大国の国家元首になると既に決まっている未来の話ばかりしているわけには行かないのである、時間をある意味、有効に使わなくてはならない。
「南シナ海に展開中の偽装海賊船の損害が近年増えています。 各国が派遣している警備艦船の影響と思われます。 我が国の領海での勝手な警備活動は容認できないので厳重な抗議か、断固とした措置が必要と思われます」
そして、彼等は彼等の当たり前の日常を過ごして行く、明日も同じ日が続く事を信じて。
歴史にもし(if)は存在しないが、彼等が自らの末路が秒読み段階と知っていたら、この様な悠長な会話を交わす事無く東京だけでなく日本列島全てを核の炎て焼き尽くす事を選択した事であろう。
もっとも、それすら核ミサイルの無駄遣いとして歴史書に一行追加で記される事に変わるだけであろうが。
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アダマス・オブ・ザ・シーズ船内
船内のオープンテラスで朝食をとっていったサクラ達の説明を聴いていたチヒロは思わず座り込みたくなる衝動に駆られた。
「・・・それで、起こすなと?」
チヒロの目の前で、やけに肌がツヤツヤの二人のサクラが朝食をとっていた。
「いえ、正確に言えば、朝食までに起きて来られなかっただけです」
返事をしたのは、二人の給仕しているイサベラである、こちらも肌がツヤツヤである。
「・・・・さようか(カズマ、生きているのか?)」
彼は内心で戦慄していた。
もっとも、実際に言葉にしたのは散文的で事務的な事であった。
「そうなると、予定が少し遅れるか・・・」
彼はここで少し思考に沈む。
彼の周囲でメイド達が手際よく椅子とテーブルを用意し、彼好みのコーヒーを準備していく。
「段取りが少々変更するか・・・・」
彼は何の疑問も持たずに用意された椅子に腰を下ろし、テーブルに用意されたコーヒーをすすりながら考えを纏めていく。
「最後通牒にはカズマじゃなく、オレが行く事にするか?」
最後通牒と言う名を借りた、破滅の宣告。
「それでも、多少の遅れは考慮が必要ね」
「二時間位は許容の範囲と思うけど・・」
二人のサクラが同時に首を捻り、顔を見合わせ。
「起こして貰える?」
「起こして来るわ♪」
チヒロは明後日の方向を向いたまま、コーヒーのお替りを呑みながら。
「・・・・・・(どうやって起こすか、聞かないでおこう)」
この件に対して賢明にも沈黙を守り、口にしたのは別な件と別な相手に対してである。
「イサベラ、すまないが予定を途中まで進めておいてくれ。 全員への連絡はオレが念話ですませておく」
「分かりました」
こうして誰も知らない所で、誰にも知られる事無く一国の運命が二時間ばかし先延ばしになったのである。
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中国 北京 昼時
「貴様! どうやって侵入した!」
「武器を捨て! 両手を上げて跪け!」
「オレはまだ神じゃないから慈悲深くは無いぞ。 懺悔する猶予もやるつもりは無い」
さてさて、この後の展開を予想できるかな?
"偽装海賊船"
この時代の南シナ海で、何故か中国籍の船を襲わない海賊が多くなっているとか。
次回DAY-05「崑崙の沈む刻(仮)」




