表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/119

DAY-04 デウス・エクス・マキナ

DAY-04のラストです。

 その日、世界中の政府は一国を除いて眠る事は無かった。

 ある国は本土防衛の為、予備役の動員を準備し山脈を絶対防衛ラインと定め。

 とある国は陸軍を昼夜を問わず広大な国土を東へと移動させ。

 そしてある国は、怒りに溢れ次の手を真剣に考えていた。


-------------------------------------------------------


 アメリカ合衆国 ホワイトハウス


 大統領は執務室の中で鎮痛の表情で将軍を始めとする、軍の主要メンバーの話を上の空で聞いていた。

「大統領閣下。 既に、陸軍と州兵の動員をかけています」

 その表情は、お世辞でも良いとは言えなかった。

 充血した目が睡眠不足を如実に語っていたし、顔色は土色一歩手前である。

(取り敢えず、一杯飲んで一眠りしてから出てきてほしいものだ・・・)

 国のトップとして、"休め"とは口が裂けてもいえないのが辛い所である。

「我が国が誇る艦隊も、核ですら無効にする連中に通常兵力で本当に勝てるのか?」

 大統領は将軍達に質問を投げかける。

「・・・・万全とは行きませんが、防衛線には試作の核ペレット・レーザーキャノンを配備します」

(西海岸を捨てる・・・・、全土を守るのは不可能なのだな)

「各都市に厳戒態勢と戒厳令が必要と思われます」

 超常現象で帰還した兵士達によって、情報は既に政府が制御できる範囲を逸脱していた。

 株は大暴落しているし、報道はパニック状態である。

(眠れぬ夜だな・・・・)

 大統領は執務室の宙を睨み、手元の受話器に目を落とした。

「配備に必要な時間は?」

 実務的な事を機械的に尋ねながら、別の事を考えていた。

(ヤブキと話してみたいな)

 それは決して叶わない願い、ホットラインは既に切断されていた。

「・・・・・12時間以内には確実に」

 将軍たちの表情を観ればそれでも足りない事は察する事が出来た。

 机を指で叩く事無く決断。

「・・・・・・では、GOだ」

「「「ハッ!」」」

 将軍たちは室内から足早に出て行く、それを横目で見ながらインターフォンで外と連絡を取る。

「暫く、考えたい。 緊急時以外は取り次ぐな」

『はい』

 完全に一人になり、机の一番上の引き出しから一冊の古ぼけ色あせた資料を取り出す。

 シークレットサービスを使い密かに探させていた資料である。

 軍や情報機関が大統領である自分にも秘密にしていた、今回の騒動の根源となる資料である。


 彼は一枚、一枚丁寧にページを捲り熟読する。

(重力制御?・・・、無限動力、超能力? ふっ! こんな不完全な情報を元に踊っていたとはな)

 思わず声を出さずに自嘲する。

 大統領は椅子から静かに立ち上がり、窓の外で強風にはためく星条旗を眺め。

(勝ち目がなくても。 この国を導く・・)

 その目はまだ死んではいなかった。

 だが大統領はまだ知らなかった、それどころかアメリカ大陸に住む全ての人々が知らなかった。

 ドラゴンの群れが自らの縄張りを定める為に世界中に散らばった事に。


 そして、核ペレット・レーザーキャノンも跳ね返され、開発者は自身の身で威力を確認する事となるのを。



-------------------------------------------------------


 新ロシア連邦 モスクワ クレムリン


 薄暗い室内の僅かな照明の中、一人の男が直陸不動で部屋の主に報告していた。

「空挺部隊は全滅です」

「・・・・・・」

「きっ 帰還できた機は無く。 帰還者は20%を切ります。 以上です」

「・・・・・・」

 部屋の主は未だ沈黙を守ったいる。

 もっとも、周りにいる者にとってはその沈黙が何よりも怖かった、彼は無能な者を何よりも嫌っている事を側近たちは熟知していた。

 重苦しい永遠に思える沈黙の後、部屋の主 大統領は初めて口を開いた。

「対策は」

 それは確認であり、命令であった。

 "守勢にまわるなど論外だぞ"と言う、一種の脅しである。

「しっ! シベリア鉄道を総動員し極東に軍を移動させています。 日本海に核の回廊を形成できれば・・・」

「・・・・・ほ~」

 大統領は部下の発言を理解すると共に、ほんの少し驚きの声を発した。

 彼とて軍事に対して無能では無い。

 事前砲撃で障害物を除去した後に、焼き尽くした回廊を部隊が駆け抜ける。

 過去幾度も使われてきた古典的な戦術である、それ故に効果は高かった。

 それを核と内海で実施する、確かに勝率は高かった。

「ふむ・・・・」

 大統領は思わず考え込む、この場合、兵士の被ばくはあまり考慮されない、彼にとって戦略とはそう言ったモノであった。

 短い沈黙の後、許可を与える。

「良いだろう」

 室内に安堵と緩んだ緊張感が包む。

 大統領は無言で片手を振る、退室合図である。

 側近たちは敬礼、又は一礼して室内から素早く出て行く。



------------------------------------------------------- 


 後の記憶


 その地には何も無かった。


 その国は永い歴史を持ち、世界の中心の国だった。


 しかし、たった一日でその姿を変え。


 そして、全ての民が帰るべき故郷と母なる大地を永久に失い。


 その大地に住まう人々は、未来永劫、彷徨える民となる。


 今、その場所に大地も、国も無い事を全ての人々は知っている。



------------------------------------------------------- 


  こぼれ話 アダマス・オブ・ザ・シーズ船内


「ぎゃああああ!!」

 カズマの悲鳴が船内に響き渡る。

 最初は緊張した者も、それが彼の悲鳴であると理解すると共に、何事も無かったかのように日常に戻って行く。


「何で! 何で! 二人居るんだ!!!!」

 彼の目の前に、同じ姿、同じ顔、同じ仕草の二人のサクラが同時に首を傾げていた。

「何でって・・・。 拾ったから?」

「何でって・・・。 拾われたから?」

「犬や猫じゃないんだ! 簡単に拾えるか!!」

 ある意味、正論である。

「「そう言われてましても・・・・。 区別はつきますよね?」」

 全く同じタイミングで同時に言葉を紡ぐ、どうやら彼の知らない所で記憶の同調と精神リンクを施した様である。

 もっとも、眷族化による不老化と能力強化を施した為、日常生活限定のサクラの能力を持った、いわゆる"劣化版サクラ"といった個体に変化していたりする。


「自分がもう一人いれば便利だな~、と思いまして」

「一人が席を外している時に、自分が傍に居れば」

 再び同時に。

「「浮気防止に成りますから」」

 見事なアルカイック スマイル。


「・・ ・・・・ ・・・」

 彼は開いた口が閉まらなかった。


 カズマは暫く愕然とした後、ガクと肩を落としノロノロと立ち上がり一言。

「・・・・・寝る」

【カズマは秘奥義 ”現実逃避”を発動した】

 

《ガッシ!》

 歩き出そうとした彼の両腕が強引に絡め捕られる。

【カズマは、逃亡に失敗した】


「「夜のお勤めは"妻"の役目です」」

「?・・・・・・!!! しまった!!」

 結婚済みである事を、記憶からすかっり消えていたカズマであった。


「それでは、夫婦の寝室に」

「今夜は寝かせませんから」

(・・・・・肉食獣だ!)


 そのままズルズルと寝室に引きずられて行く、ある意味いつものアダマスの風物詩が繰り広げられていた。





 


 南無


 次回は・・・悩み中。

 ドラゴン達が世界中を蹂躙する枝話DAY-04+「黙示録の四騎士(仮)」にするか・・・

 DAY-05「封神演義(仮)」にするべきか・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ