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DAY-04 ノルン

久々です。


私事で更新が遅れました。


申し訳ありません(礼)

 博多市内某所 ショッピングセンター・モール(通路)


 電気の供給が完全に停止した、唯一の光源が中央を吹き抜けや天窓からの太陽光だけに限られた薄暗い店内を三人の兵士が駆け抜けて行く。

 彼等が身に着けている野戦服は、これまでの激戦を物語る様に薄汚れ所々破けていた。

「くそ! このまま終わってたまるか!」


 広大な店内のモール(通路)を足早に抜けて行く。

 勿論、ただ通り過ぎる事無く比較的高価で手ごろな大きさの装飾品や時計などをショーウィンドーを叩き割り持ち出していく。


 三人は叩き割ったショーウィンドーに手を突込み宝石を根こそぎ漁りながらこれからの事を話し合う。

「夜になるまで待とう・・・」

「夜陰に紛れるのか?」

「ああ。 日が暮れるのを待ち船を奪うんだ」

「西に真っ直ぐ進めば国に帰れる」

「確かに・・・。 それに船にはコンパスやGPS位ついている筈だ」

「原隊に復帰するのか?」

「冗談! これだけあれば一生遊んで暮らせるのに、復帰したら上官に巻き上げられて勲章一つで終わりだぞ」

「それに、俺達は行方不明扱いだ。 上手くすれば・・・」

 三人の表情が暗い欲望に染まる。

 一人が薄暗い店内を見回し。

「日本軍の掃討も一日や二日では終わるまい。 上手くやり過ごせば・・・」

 一人が手持ちのザックに装飾品を詰めながら。

「場所を変えよう・・・。 隠れるに適した場所を探すんだ」

「あと、食い物もな」

「確かに」

 三人は薄暗い店内を再び足早に駈け出す。



-------------------------------------------------------


 博多市内某所 ショッピングセンター寝具売り場


 様々な家具や寝具が売り場を迷路の様に視界を妨げていた。

 全ての人々が避難し静寂に包まれていた店内を三人の兵士が特に警戒する事なくゆっくりと歩いていた。

「交代で少し休むか?」

 朝からと言うより、先日から碌に休んでいない為、彼等はある意味疲れ果てていた。

 緊張感からくるアドレナリンの影響で疲れを忘れていたが、食料品売り場で腹を満たし、直近の危機が去った事で今までの疲れが一気に噴き出してきたのである。

「そうだな・・・。 一人ずつ休もう」

「・・・・ああ。 二人が起きていれば大抵の事には対処出来るだろう」

 寝具売り場を見回し。

「もう少し奥に行こう。 この場所なら直ぐに発見される事は無い筈だ」

「ああ」

 三人は売り場の奥に疲れた足を引きずりながら進んでいく。


 そして・・・・・、


「すー・・・、すー・・・」


 小さな寝息が彼等の耳に聞こえてしまったのである。


 ・

 ・・

 ・・・


「なんだ? こいつ?」

 大きなダブルベットの上で1m程のトカゲみたいな動物クッキーが羽毛布団に包まれ眠っていた。

「・・・イグアナか?」

「さあな・・・」

 不機嫌な返事と共に一人が羽毛布団に汚れた手を伸ばし、強引に剥ぎ取る。

 彼等の目の前でトカゲみたいな動物は、反動でベットの上を器用に転がり呑気にも仰向けで眠っていた。


 彼はある意味運が良かった、この行為が攻撃的な動作、例えばナイフで切り付けるとか、蹴り飛ばそうとするとかであったのなら、彼等アダマスの面子が常時展開している自動反撃障壁によって攻撃が十倍返しで跳ね返されるのであるが、布団を強引に剥ぎ取った位ではいちいち反応はしないのである。(注・ベットから落ちていたら別の展開もあったかもしれない)


「「「? !!」」」

 そこで彼等は驚愕に包まれる。

 トカゲには決して付いていない翼が生えていたのである。

「すー・・・、すー・・・」

「「「・・・・・」」」


 ようやく、立ち直り一人が声を絞り出す。

「羽・・・、生えてんぞこのトカゲ・・・」

 一人がそのトカゲを凝視し隅々まで観察し有る事に気が付いた。

「・・・! おい! このトカゲ、外の竜に良く似てないか?」

「! ・・・確かに」

「・・・もしかして。 竜の子供か?」

 実際は、外にいるエンシェント・ドラゴンやロードより遥かに強力でタチの悪い竜なのだが、それを知るすべは彼等に無かった。

「だとすると・・・、こいつを使えば外の竜は攻撃しないんじゃないのか?」

「「!!」」

 三人の顔に薄笑いが浮かぶ。

 どうやって外に居るドラゴンをやり過ごすか思案していた処に、思わぬ解決策が天啓の様に降って来たのだ。

「おい! こいつを逃げられない様に縛り上げろ!」

 三人の中でリーダー格の男が二人に指示を出す。

「それなら、口の縛った方がいいな!」

 一人がナイフを取り出しながら。

「手や足の腱を切っちまいましょうぜ! ああ! ついでに翼も・・・」


(((ブッチ!))) ?


 ニヤ付きながらナイフを逆手に持ち。

「おい! 押さえつけといてくれ!」

「おお!」

 薄笑いを浮かべながら一人がゆっくりとクッキーに手で触れようと・・・・。



「下郎! 薄汚れた手で婿様に触れるで無いわ!」



 今まさにクッキーに触れようとしていた兵士の身体が、横合いから伸びた秀麗な手が弾き飛ばした。


《バッーン!》

 《びっーたん!》


 兵士の身体は放物線も描かず周りの家具を薙ぎ倒し、外壁を突き破り、一ブロック離れたビルの外壁に赤黒いシミとなって張り付いた。


 呆然としている二人の兵士の目の前に、金髪縦ロール碧眼のシャネルの黒いドレスを優雅に着こなした美女がその表情を怒りに染め仁王立ちしていた。


「モーリアン、もう少し静かに出来ぬか? 婿様が起きてしまうでないか」


 モーリアンと呼ばれる美女の横に何時の間に現れたのか、黒髪姫カット黒眼の京友禅を見事に着こなした美女が、その手に毛布に包まれたクッキーに慈愛に満ちた視線を向けながら小声で注意を促す。


「しかし! 乙姫! 下郎を見逃せと言うのか?」

 モーリアンは気まずそうに小声で抗議する。

「やるなとは言っておらん。 静かに排除しろと言っておるのだ」

 そう言いながら残った二人をほほ笑みながら睨み付ける視線には絶対零度の怒りがこもっていた。

「!!! おい!」

 反射的にリーダー格の男は銃を向け、残った一人に声をかけるが返事が無い。

「おい! 如何した?」

 訝しみ横に居るはずの男の方に視線を向け絶句する事になる。

「? !!」

 そこには、体中の水分が完全に無くなりミイラ状の仲間が恐怖に染まった表情で絶命していた。

 唯一残った男は本能的に理解した、乙姫と呼ばれた目の前の女が何かした事に。

「ひっ・・・」

 リーダー格の男は悲鳴をあげようとして失敗する、勿論、自分の意思で声を呑み込んだ訳では無い。


「貴方は乙姫が静かにと言った事を聴いていないのですか?」


 茶髪ソバージュ緑眼の美女が男の首を後ろから片手で締め上げ宙づりしながら優しい声で男に注意を促す。


「イシュタル・・・ 何だその姿は?」

 モーリアンは眉をひそめながら、彼女がイシュタルと呼ぶ女性に声を掛ける。

「似合いませんか?」

 イシュタルは不思議そうに小首を傾げながら尋ねる。

「非常にお似合いですよ」

 乙姫が絶賛する。


 イシュタルと呼ばれる美女の姿は。

 黒いワンピース、白いエプロンドレス、そしてホワイトブリム。

 つまり、由緒正しきメイドさんである。


 そして、特筆すべきはトップモデル真っ青のスタイルもさることながら、エプロンドレスの上からでも分かる見事な二つの双丘である。


 因みに、モーリアンも乙姫もパリコレ・モデルに素で喧嘩売って勝てるくらいスタイルが良かったりする。


 話題休閑


「・・・・・・・(声が)」

 男にはまだ意識が有った。

 大して太くも無く、むしろほっそりとした女性の腕が自分を装備込みで苦も無く宙づりにしているのである。(注・現代歩兵の装備は軽くても10kg以上はあったりする)

 そして、絶妙な力加減で最低限の呼吸は出来るが声だけを殺しているのである。

 無論、身体には一切力が入らなかった。

 男は唯一自由になる眼だけを忙しく有る事を発見する。

 目の前に居るモーリアンと乙姫と呼ばれる美女の瞳が普通で無い事に。


 "竜眼"


 縦に割れた瞳。

 人ならざる眼。


 ここで男は彼女らが人の姿をした何かである事に初めて気付いた。

「(こいつ等! 人間でないのか)」



 彼女たちはエンシェント・ドラゴン・ロードの雌竜、ある意味クィーンと呼ばれる竜の人姿である。

 モーリアン 空竜

 乙姫 水竜

 イシュタル 地竜


 ロード・クラスになると人化などは楽に出来たりする、と言うより竜の姿も人の姿も彼等の本来の姿だったりするのだ。

 しかも、眷族となった竜は主の加護で更に強化されたりするので。

 召喚された竜達は一頭で高位の神より強かったりするのである。


 ついでに、彼女たちは何故にクッキーを婿様と呼ぶのかと言うと。

 竜に限らず動物は本能的に強い個体に惹かれるので、もし子を成す事が出来ればそこいらの竜王より更に強力な竜が生まれる事が確実なのである。

 しかも、ロードクラスになると寿命の概念が無くなり不老に成るので千~万年位待つのは平気だったりする。(竜はある意味、非常に気が長い)


 それはさておき



「(・・・・もう少し)」

 男は何とか全身の力を使い腰の拳銃を抜こうと足掻いた。

 そして、ホルスターのボタンを外し、それが僅かに音を発した。


《グッギ》


 イシュタルが首に手をかけた人差し指を軽く動かし男の首を圧し折った。

「ですから、お静かにとあれほど注意したではありませんか」

 彼女は既に絶命している男に小声で優しく注意する。

「ふ~」

 彼女は溜息と共に、ミイラ化し男と首を圧し折った男を、先ほどモーリアンが開けた外壁の穴から外に放り投げた。

「ところで。 乙姫、何時まで婿様を抱いているのですか。 そろそろ交代してください」

「確かに」

「え~・」

「泣きますよ」

「・・・なら。 ジャンケンで」

「乙姫が一番強い。 勝負にならんな」

「そうです。 双六で・・・」

「イシュタル。 確立操作するなよ」

「(ギク!)」

 延々と続くこのある意味非常にくだらない小声の問答は、クッキーが目を覚まし一緒にシーズに帰るまで続くのである。



 因みに、この会話は念話で外に居る全ての竜達にダダ漏れだったりする。

 そして、ほぼ同時に強大な溜息をつくのであった。





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 こぼれ話 三日後 アダマス・オブ・ザ・シーズ船上


「クッキー」


「なあに?」


「召喚した竜達をちゃんと送還したのか?」


「(ギク!!)」(冷汗)


「婿殿! 如何されましたか?」

「凄い汗!」

「病気になってはいけません! 早速床に!」


「・・・なんでモーリアン達がまだ居るんだ?」


「・・・・・・・・(汗)」


「・・・・・・」



「テヘ♪」



 

 モーリアン達を除き送還に応じた竜はほぼ無く、世界中に散らばった竜たちによって、各地に洒落ではすまない被害がもたらされるのであった。


 そして、人間は万物の霊長の座から滑り落ちるのである。




 エンシェント・ドラゴンにロードなど高位竜種、約六百頭を世界に解き放ってしまいました。


テヘ♪


 次回、DAY-04のラスト

「デウス・エクス・マキナ」

 そして

 枝話 DAY-04+「黙示録の四騎士(仮)」


 数日中に投稿する予定(汗)


 そして、DAY-05で最初に沈む国が発覚!

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