DAY-03 慈悲深き死神
サブタイトルはタロットの大アルカナより、適当に選んでいます。
尋問と言う名の・・・・
日本 高速道路
普段であれば大量の自動車が行き来する高速道路には、今はその流れが止まり、遠くでサイレンの音が僅かに聞き取る事が出来る。
広々とした片側三車線の道路の真ん中では黒いセダンがエンジンルームから煙を吹き止まっていた。
故障では無い、全てのサスペンションは完全に壊れ、ボンネットを一人の金髪の女性が片手で押さえつけている。
車の中には三人の男たちが力なく倒れていたが。
「わっ 我々は 決して 屈し ない ぞ」
自動車の運転席から一人の男が妙に切れ切れに言葉を何とか紡ぎ、視線の定まらないくせに強気の発言を目の前の女性にしていた。
「あらあら・・・、ずいぶんと根性が有りますね」
女性、アーリアは心の底から感心していた、控えめに表現してもジェットコースターの100倍くらい激しい衝撃を瞬時に味わたのにまだ言葉を発するだけの正気を保っているのだ。
他の二人などは半分朦朧としていて、胃の中の物を辺りに既にぶちまけているのだ。
「でも・・・・、情報は無理矢理にも聞きださなければなりませんね」
そんな事はお構いなく彼女はこれからの目的を男たちに聞かせる。
「むっ 無駄 だ。 何も 喋ら んぞ!」
男たちは母国で激しい訓練を長期にわたり受けてきた、その中には捕まった時の尋問や拷問の耐える訓練も含まれていた。
(大丈夫! 俺達は尋問や拷問の訓練を受けている。 十分耐える事が出来る)
「心配いりません。 手っ取り早く頭の中に直接聴きますので」
男たちは一瞬で固まる、言葉の意味を理解するにつれ徐々に顔色が青ざめていく、そしてたった一つの結論を導き出す、ここまで非常識な連中なら思考を読み取る事も出来るのではないのかと?
(まさか! 思考を読むのか?)
「いいえ、ちょっと違いますね」
男たちの考えを読んだように、ノータイムで彼女は適切な返答を返す。
「なっ!」
(不味い!)
男たちは咄嗟に心の中で憶えている限りの歌や関係無い事を考える様にした。
アーリアは若干、顔を顰めながら。
「・・・・本当に下手な歌ですね。 ああ、頭の中で歌を歌っても無駄ですよ」
「ひっ!」
男たちは本当の恐怖を憶える、そんな男たちを完全に無視して。
「大脳から直接情報を引き出しますので」
アーリアは更にとんでもない事をさらっと言い、さらに男たちの想像を上回る内容の説明を淡々と続けていく。
「ただ~、短時間で無理矢理に情報を引き出しますと、大脳の負担が増える事になりまして、脳細胞がほんの少し死滅してしまいます」
「ゆっくりやれば大丈夫なんですけど・・・・」
アーリアは辺りを見回し、サイレンの音が先ほどより徐々に近づいている事を確認してから、男たちに振り返る。
「・・・・・時間も余りありませんね」
男たちは心の中で必死に叫んでいた。
(ゆっくりやれ! ゆっくりやれ!)
「でも、別に良いですよね。 人間の脳はその大半を使用していませんし・・・・、貴方がたは高尚な脳の使い方や酷使する様な事もしていないようですので・・・・、十分、誤差の範囲ですよね♪」
そう言って彼女は見事なアルカイックスマイル。
男たちが恐怖で引き攣るのもお構いなく。
「時間も無い事ですし、最高速度でさっさと終わらせる事にしましょう」
アーリアは勝手に結論を決める。
「・・・・・・、・・・・・」
男たちはあまりの事に、口は動くけど言葉を出す事が出来ない。
「大丈夫ですよ♪、最高速度で引き出しても脳細胞の半分は残ります。 人生80年か100年でしょ? 20年か30年無駄にして四捨五入したら同じですよ♪」
もし男たちが彼女の寿命の事を知っていたら声を大にして叫んだであろう"不老の者が定命の者と寿命を一緒にするなと!″と。
「貴方がたであればこれからの人生も十分やっていけますよ♪」
男は恥も外聞も無く叫んだ。
「よっ よせ! やめろー!!!!」
男の絶叫が辺りに響き渡る。
「・・・・・・・・さて、それにしても理解できませんね? 大した情報も持っていないのに何を必死になっていたのでしょうね」
そこには、完全に人格を破壊されて発狂した工作員が残されていた。
涎を垂らしながら、宙を焦点の合わない目で笑い続ける運転手。
ブツブツと自分の思考を垂れ流しながら徘徊する者に。
幼児退行を引き起こし、地面で駄々をこね泣き叫ぶ男。
「・・・・・まあ良いでしょう、後始末は警察かこの世界の医者に任せますか」
アーリアはそう言う結論を出し、男たちの事をとっとと頭から排除した。
「監督責任とか連帯責任という事で、ちょっかいを出した愚か者に宣戦布告でもしておきましょうか」
彼女はちょっと手を動かし、触る事なくセダンとリムジンの残骸を宙に浮かべ、押し潰し直径2m程の球体を作成した。
「溶けると意味が無いですからね」
術式を展開して残骸だった球体に障壁と結界を施していく、そして空の一角を睨み。
「え~と、北京はあちらでしたか」
目の前に球体を据え、半身を構えてから。
「せ~の!」
あまり気合いを込めずにぶん殴る。
《ガッツンー!》
《ゴーオ!》
《ズッドーン!》
「よし! 狙い通りです♪」
車の残骸で出来た球体は衝撃波を撒き散らしながら、凄い勢いで空の彼方に消えって言った。
「さて、帰りますか」
その日の内に北京の天安門広場に鉄の塊が天より降り、広場のありとあらゆる物をなぎ倒し、軽い物は吹き飛ばし、半径10km圏内のガラス窓のガラスを粉砕した。
そしてほぼ同時刻、マイヒメがぶっ飛ばしたコンクリートの塊はタクラマカン砂漠に存在する核ミサイルが配備された最重要の極秘施設に直撃し、地上と地下の全てを施設を吹き飛ばし、凄まじい圧力と衝撃でミサイルの液体燃料が誘爆した。
核弾頭こそ破裂しなかったが、弾塊が損傷し辺り一帯を放射能で汚染してしまった、幸いなのは辺りは軍の施設以外完全に無人で一般住民の被害は有無であった事である。
そして、日本の高速道路では駆け付けた警官と消防の救急隊員が完全に壊れた3人の男を発見して頭を抱える事になるのであった。
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日本 東京近郊 住宅街
「我が名は至高なる魔導を極めし"翡翠の教団"の誇る最強の"九聖の剣"の一人・・・、火のラルヴァ」
「世の秩序を乱す者よ、我が究極の魔導、鉄をも溶かす炎の竜巻によってその罪を償え!」
火のラルヴァは誰に対してこのセリフを言ったのか?
次回、魔術勝負?
・・・・・・・・・勝負になるのか?




