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DAY-03 幸運と不幸の運命の輪

誰が一番、不幸かな?

 日本 東京 とある裏路地


 マイヒメに銃弾の嵐を叩き込んだだ5人の男たちは裏路地で、する事も無く無駄話をして暇を潰していた。

 先ほど彼らが銃弾をしこたま叩き込み、肉片に変えた女の残骸を回収する班を到着するのを待っていたが、監視せよと命令されてもこの路地は彼らの手によって封鎖され、敵対する者が居るわけでもないので緊張を持続させる方が無茶なのである。

「しかし、勿体ないよな~」

「何がだ?」

「いや~、もう少し綺麗な状態だったら色々楽しめたのによ~」

(ぴっく)?

「おいおい、お前・・・、そっちの趣味があるのか?」

「だってよ・・・、あの金髪の美女を護送している連中、今頃、お楽しみの最中だぞ」

「・・・確かにな、こっちにも少しは楽しみが有っても良いよな~」

(ぴっく ぴっく)??

「でもよ、あっちは極上で、こっちはただの玩具だぞ」

「アッハハハハハ!」

「ゲラッゲラッゲラッ!!」

「ハハハッ! それを言うなら、生きていたって同じだろ~」

「写真を観ただろ~! あっちは月で、こっちはスッポン以下だぞ! 女かどうかも怪しいものだ!」

「ガッハハッ! 違いない!」

「ははははは! 上手いこと言う!!」

(ブッチ!)


「なんだと!!」

 ゴミ置き場の方向から女性の怒鳴り声が突然あがった。

「?」

「どうし

  《ドッゴ!》

 男は最後まで言葉を言う事が出来なかった、半透明の何か大きな物が凄い勢いで男を直撃し、吹き飛ばした。

 それは、ゴミの入ったゴミ袋であった。

 ゴミ袋が直撃された男は放物線も描かず、地面に対して水平にぶっ飛び、路地を閉鎖していた彼らの車の一台に激突、跳ね上がり受け身も取れずに地面に叩きつけられた。

 吹き飛んだ男はかろうじて息はあったが重体である、適切な治療が行わなければ命は助かるであろうが、自分たちの手によって閉鎖された地域に救急車を呼んでくれる奇特な人が居るわけも無く、命を失うのはある意味自業自得である。

 もっとも、偶々近くに居た通行人が端末で救急車を呼んでくれたらしく、遠くから救急車と警察のサイレンが聞こえて来た。

 ある意味運がいいが、一生車いすの人生であろう。


「今なんて言った!! よりによって! アーリアが本命で、このわたしが大人の玩具扱いかー!」

「「・・・・・・」」

 残った男たちは仲間が飛んで行った方向を見てから、同時にゴミ置き場の方に顔を向けた。

 そこには、怒れる女神が降臨していた。

 先ほど彼らが銃弾を450発ほど叩き込んだ女性が立っていた。

「なんで・・・・、なんで生きているんだ?」

「確か・・・、銃弾叩き込んだよな?」

「・・・・・ああ」 

 怒れるマイヒメの前で、彼らは現実逃避気味の、少し間の抜けた会話を交わしていた。

「言い残す事はそ・れ・だ・け・か! この・・・・、女の敵共が!!」

「いや・・・、普通、あれだけ銃撃されて生きてるのを女とは言わない」

 彼女の怒鳴り声に、律儀に返事を返す男が一名、かなり錯乱している様である。

「乙女の柔肌に450発の銃弾を撃ち込んだ者が! 何を言うか!!」

「ちっ! 違う! それは断じて柔肌では無い! 柔肌って言うのはそんなに固くない!」

((バカ))

 男の仲間が盛大に心の中で突っ込んだ、言って良いセリフと悪いセリフが有る事くらい、他の者達はまだ判断できた。

 マイヒメは脇にあったポリバケツを引っ掴み、男に向けてぶん投げた。

「問答無用!!」

「人の話を

  《バッゴン!》

 豪速で避ける暇も無く男に直撃、男は後方に弾き飛ばされていった。

 人の話に耳を貸さないのはどっちもどっちである。


 ポリバケツをぶつけられた男は、上昇する直線を宙に描き路地を突き抜け、三ブロック先のビルの4階にある寝具店にガラスを突き破って飛び込み天井に激突し跳ね返され、ベットの上に血眼みれ状態で横たわった、こいつも店内に居た客や従業員によって救急車を呼ばれたようである。

 ある意味、運が良いようだ、もっともあの様子だと一生ベットの上であろう。


 残った男達は飛んで行った仲間の末路を気にしている場合では無かった、目の前の女の怒りを鎮めないと命の危機に直結する。

「誰が! 女かどうか判らない! 胸も無い幼児体型ってなんだ! 総合的なスッペクで負けてるけど(自覚があったらしい)こう見えてサクラより胸もあるんだぞ! 」

「まっ 待って! 誰も貧乳なんて言っていない!! それにそのサクラとか言う女より有るんだから良いじゃないかー!」

《ズッガーン》

 その瞬間、その男は轟音と共に落ちた落雷によって真っ黒に焼かれ絶命した。

「「・・・・・」」

 残った二人は無言のまま同時に上を、空を見上げ雲一つ無い事を確認し、お互いの顔を見合わせた。

 同時に理解した、何か言ってはいけない事を言ったらしいと。

 黒焦げで死んだ仲間の末路、そんな事より自らの命の為に頭と口をフル回転させ、恥も外聞も無く命乞いをするのであった、嫌らしい笑顔と共に。

「待って! 話し合おう!」

「そうだ! 争いからは何も生みださない!」

「我々は貴様を! もとい貴女様を迎えにきたのだ!」

「そうそう! 今までは貴女様の力を試していただけなのだ!」

「その素晴らしい力を是非! 我が国の為に使って頂きたく、我々が迎えに参上したのであります!」

「私達に着いて来ていただければ、望む物の全てを貴女様に差し上げます」

「そうです! 貴方様が我が国に来ていただければ世界は総べるのは簡単でありましょう!!」

「是非! 私達と共においで下さい!」

「何卒! わ


    「だ・ま・れ」


 男たちは笑顔のまま瞬時に凍りついた。

 まるで絶対零度の冷蔵庫に突っ込まれたように全ての動きを瞬時に奪われたのだ、心臓が止まっていないだけ奇跡である。

 辺りに恐ろしい程の沈黙が訪れた、遠くでサイレンが聞こえるだけだ。

 彼女は肩を震わせながら、良く通る低い声で・・・

「ハッキリ言って聞くに堪えない・・・・」

 マイヒメは脇にあるビルの外壁に指を突き立て、凄まじい破砕音と共にビルのコンクリート壁が約5m四方にわたり抉り取った。


「自らの発言を! 地獄の底で後悔しろ!!」

 投球モーション、彼女が踏み出したアスファルトが摩擦熱と衝撃で一瞬で砕け! 灼熱化!

《ズッ! ドーン!!》


 音速超過で男たちに激突! ついでに彼らのほんの少し後方に到着していた回収班の車両を巻き込み、周囲のビルのガラスを衝撃波で粉砕しながら、そのまま高層ビルの中央を2つほどぶち抜き(幸い、巻き込まれた者は居なかった様である)、空の彼方に消えていった。 



 男たちがどの時点で絶命したの不明だが。 

 彼らは天国の階段を昇・・・・、昇り?

 訂正

 昇る事は無いな、今までの所業を考えると、地獄の穴に在る螺旋階段の中央吹き抜けを急降下であろう、ついでに地獄の底を突き破って聖典に有る地獄の最下層コーキュートスまで堕ちたに違いない。



「ふんっ! 乙女を傷つけたから罰が当たったのよ!」


 因みに、マイヒメは無傷である!


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 おまけ


 東京都内 某所 とある邸宅のベットルーム


「・・・・・・・・」

 東京近郊の閑静な高級住宅街の昼前、東京では珍しい比較的大きな庭のある屋敷の豪華な寝室では、一人の男・・・、カズマが豪華で大きなダブルベットの上で惚けていた。

 脇には可愛らしい女性、サクラが安心しきった寝顔でスヤスヤと規則正しい寝息をたてていた。

「どうして・・・・、こうなったんだろうな~」

 時刻は・・・、昼には早いが、朝には遅い。 

 朝チュン為らぬ、昼チュン状態である。


 回想・・・。


 昨日は無理矢理、彼女の実家に連れ込まれ、両親を紹介され、そしてアレヨアレヨという間に婚約、婚姻届に署名され役所が閉まる寸前に提出され、この状態である。


 彼女の両親に至っては・・・。

 反対するどころか、泣いて喜ぶ感激ぶりである。

 しかもいつの間にか来ていた彼の両親も意気投合、保証人と印鑑も完璧に揃うと言う、完全に逃げ場の無い立場に追い込まれていたのである。


 つまり、"サクラ"こと"高野・さくら"、"藤代・さくら"になってしまったのである。

 書類上は・・・・。


「むっ!」

 突然! サクラが寝顔を顰め、無意識に術を発動、何処かで雷が落ちた。

「・・・・何やってんだ?」

 カズマは首を捻る、その言葉に答える様に小さく伸びをして彼女が眼を覚ます。

「ん~、おはよう~。 あ・な・た」

「・・・・・・あはよう」

 カズマは思わずベットに沈み込む、気を取り直して。

「ところで、何やったんだ?」

「? 何って?」

「ついさっき、術を発動させただろ?」

「何時?」

「目覚めるちょっと前」

 サクラは小首を傾げながら。

「はて? 何か物凄くムカついた気がしたけど?」



勢いて・・・あるよね。


次回はアーリアによって捕まえられた者達の末路は?

土曜か日曜に更新予定。

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