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DAY-03 愚者の舞い

DAY-03 開幕!


道化師は幸福な夢を見る。

とっ言った感じ(笑)

 日本国 東京都内 某所


 その会社の事務所は中古の貸しビルの一フロアを占有していた、複数の東洋系の外国人が常に出入りしていたが、表向きはフィリピン系の貿易会社が東京の現地事務所として登録されており、周囲の人々や別フロアの会社で不憫に思う者は皆無であった。

 会社が占有するフロアの一角、複数の厳重なセキュリティに守られた室内では、普通の貿易会社とは無縁な事が進行しようとしていた。

『こちら"征"、標的の二名が家を出た。 電車を利用する模様、原宿もしくは渋谷方面に向かうと思われる』

「こちら"崑崙"、尾行を開始せよ。 くれぐれも気取られるな」

『了解』

「"夷""蛮"それぞれ襲撃チームは原宿および渋谷に向かえ」

『こちら"夷"、了解』

『こちら"蛮"、移動を開始する』

 窓の無い室内で蛍光灯で照らされた明るい室内では、複数のスタッフがモニターと出鱈目に繋げられてる様にしか見えないパソコン筐体と、床一面を蛇の様に這うコードに囲まれながら、複数の襲撃チームと工作要員の情報を管制し、オペレートしていた。

「チーフ、全て予定通りです。 ですが宜しいのですか一人を射殺しても・・・・」

 チーフと呼ばれた男は、机に座りながら手元のモニターに映し出された二人の女性の画像と映像を録画とリアルタイムの両方をチェックしていた。

「欲を出すな、確保する人物は一人で十分だ。 アメリカは全て手にいれようとして失敗した。 それに・・・」

「それに?」

「死体からでも多くの情報を得る事が出来る。 襲撃チームにも良く言い聞かせておけ、独断専行はするなと」

「はっ、了解しました」

「うむ」

 オペレーター達が自らの仕事に戻って行くのを横目で見ながら、チーフはモニターに映し出された非常に美しい女性の画像を拡大していった。

 モニターに拡大されて映し出された女性の顔を指でなぞりながら舌なめずり。

 チーフは日本における工作班の責任者だ、この国内であれば多少の融通をきかせる事が出来る。

(味見する事くらいは許されるだろう)

 彼は表情を消して無表情を装ってはいるが、その目は欲望を隠す事は出来ていなかった。


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「如何したの? アーリア」

 買い物の途中で隣で急に周囲を見回し、きょろきょろとしだした己の従者に向けて問いかける。

「いえ、何となく悪寒が走ったものですから・・・」

 マイヒメはその返答に小首を傾げる。

「はて?」

 周囲の走査情報で監視している者は特定されている、感情を読み取っても自分・・に向けて特に悪寒を抱くような無神経な輩は存在しない。

「特に問題ないみたいだけど?」

「そうですか?」

 アーリアには自分に向けて放たれる欲望塗れの視線が四方八方から注がれて鬱陶しい事このうえなかった。

「ええ、そうよ」

「はあ~」

「それより、この服なんかデザイン的にどうかな?」

「そうですね・・・」

 彼女は思い違いをしていた、二人の容姿に決定的な違いが有る事に考えがいかなかったのである。

 マイヒメは身長160cm、黒髪黒目の体型普通で顔立ち普通の典型的な日本人。メガネを掛けたの顔は間違っても街中で声をかけられる心配のない、集団に埋没する没個性の女性である。

 一方、アーリアは身長170cm、金髪碧眼のスッキリとしたヨーロッパ系の美人、普段は結い上げている髪を、今は下ろして腰まである綺麗な金髪を背中に流している、日本の街中で言葉が話せると判断されたら一分毎にナンパの憂き目に遭い鬱陶しい事、間違いなしである。

 つまり、外見のスペックがマイヒメとアーリアでは天と地ほどの差があるのである。

 そして、この外見の違い(スペック)が二人を排除対象マイヒメと確保対象アーリアに振り分けた、決定的な事柄になっている事にマイヒメは気付いていなかった。

 もっとも、気付いたら気付いたらで、血の雨が降るのには変わりがないのである。


『標的、ポイントAに接近』

『各員、襲撃準備』

『こちら"夷"、準備良し』

『こちら"蛮"、バックアップに回る』

『"狄"ルート確保準備』

『"狄"、了解』

『こちら"戎"、"狄"のバックアップに回る』

『こちら"崑崙"、諒承』


 アーリアはゆっくりと歩きながら空を見上げ、襲撃者のデータ通信を聴きいていた。

「・・・そろそろ、来ますかね?」

 同じ様に聴いていたマイヒメが肯定する。

「ええ、来るわね」

「抜けますか?」

 襲撃ポイントも襲撃者もタイミングも解かっている、回避するのは簡単である。

「少し遊んであげましょ。 アーリアも抵抗したらダメよ」

「・・・分かりました。 でも・・・」

「うん?」

 彼女は本当に困った表情で。

「私、演技が下手なんですよ」

「ふっ、寝たふりするだけで良いのよ」

 彼女達はゆっくりと歩きながら襲撃ポイント近づいていた。


『カウントダウン、3、2、1、GO!』


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『カウントダウン、3、2、1、GO!』


 彼は大型タンクローリーを急発進させ、彼女たちが歩いている歩道に遠慮なしに突っ込んでいった。

 彼の目の前で二人が驚愕の表情でこちらに気付き、ビルとビルの間の狭い路地に逃げ込む。

 ブレーキ!

 ターン!

 彼はタンクローリーをワザとスリップさせ、横向きに路地を塞ぐようにビルに激突させる。

《ガーン!》

 凄まじい衝撃が彼を襲い、構えてはいたが思わず意識が跳びそうになるのを、歯を食いしばって耐え意識を繋ぎとめる、初期の計画通り、助手席側のドアは仲間が確保しているビルにいる者の手によって外され、彼は建物の中に逃げ込む。

 ガソリンが満載されている事になっているタンクローリーだ、警察も消防もそう簡単には撤去は不可能であろう。(本当は水しか入っていない)

 それにタンクローリーはナンバープレートを偽造した盗難車である、そう簡単にこちらまで辿り着けないであろう、その間に彼らは国外に逃亡する予定である。


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《ガーン!》

 遠くで激しい衝突音が彼の元まで響いてきた。

 二人の女性が狭い路地を焦った様子で彼の方に走って来る、計画より若干遅れている様だが女性の足ではこんなものであろう。

『標的を間違えるな』

 耳元の無線から班長の指示が飛ぶ、此方からの連絡手段は無い、完全に上位伝達形式の組織だ、彼に疑問の挟む余地など最初から存在しない。

 手元のAKの安全装置を確認する、セレクトは・・・。

 フルオート!

 全弾を黒髪の方に叩き込む。

 黒髪に照準を合わせる。

『スタンバイ・・・、スタンバイ・・、GO!』

《《ダダダダダダダ・・・・・・・・

 窓ガラスを銃弾で叩き割り、黒髪の方に四方から銃弾雨を叩き込む。

 黒髪は跳ね飛ばされ、横合いのゴミ置き場に頭から突っ込む、それでも銃撃を止める事なく叩き込む。

 金髪の方は驚いて後ろを振り向いた瞬間に四方からテーザーガンを打ち込む、一瞬、動きが止まりそして人形の様に崩れ落ちる。

・・・・・・・ダダダダダッン!!》》

 5人の男が90連マガジンの全弾を黒髪の女性に打ち込んだ、流れる動作でマガジンを取り換える。

『対象を確保しろ。 銃撃班は回収班が到着するまでその場で警戒態勢を維持しろ』

 テーザーガンを持っていた四人が金髪の女性の両脇と足を抱え上げ足早に去って行く。

『諸君! ご苦労だった! 完璧な成功だ!』

 無線からチーフの賛辞と労いの声が聞こえては来るが彼に答える事は出来ない、その手段は末端には支給されていないのだ。


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 室内にチーフの労いと称賛の声が響く。

「諸君! ご苦労だった! 完璧な成功だ!」

 室内に安堵の雰囲気が辺りを包む。

「私は一足先に日本海側の港に飛ぶ。 異状があれば直ぐに連絡をよこせ! 後は任せたぞ!」

 チーフは席を立ちながら、伝達事項を副官に託す。

「はいっ! お任せ下さい!」

「チーフ! 近場の高層ビルにヘリを待機させております!」

「ほ~気が利くな、君達の事は覚えておこう」

「「ありがとうございます!」」

 チーフは上機嫌で室内から出ていく、残された者達も上司に覚えられ出世が約束され、自らの幸運に感謝していた。

 もっとも、その幸運は長続きはしなかった、警察によって怪しい電波の発信元を特定され、以前よりマークしていた事務所に警官隊が突入、抵抗をする事無く制圧されてしまったのである。

 押収品の中には銃や爆弾、ロケットランチャーまであり情状酌量の余地なくテロリストとして収監されてしまうのであった。

 しかも、国籍も偽造していた為、母国も身請けも拒否、国籍不明者として長い刑務所暮らしの幕開けであった。


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 おまけ


(イタタタっ・・・、チョと飛びすぎた。 頭をビルのコンクリートにぶっつけるなんて・・・)


(マイヒメ様、大丈夫ですか?)


(平気! 平気! それよりアーリアは上手く演技出来た?)


(最初は、何が起きているのか分からなかったんですけど、上手く誤魔化せたと思います)


(それじゃあ、適当にね♪)


(はい! 適当に♪)

 

 彼らの幸運は今日で終わり♪


 次回 高速道路でアーリア無双の予定!

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