DAY-02 拍手無きカーテンコール
DAY-02のラストです。
地球 何処にも存在しない場所
〈システム・オンライン〉
〈データリンク 確認〉
〈スクランブル01 起動 確認〉
〈スクランブル02 起動 確認〉
〈スクランブル02 起動 確認〉
〈パスワード 認証〉
《*******》
〈パスワード 確認〉
〈防壁01 起動 確認〉
〈防壁02 起動 確認〉
〈防壁03 起動 確認〉
〈全セキュリティ 正常〉
〈ボイス チェンジャー 起動〉
〈全システム・オールグリーン〉
A:ふむ・・、日本の方は遅れている様だな・・・
B:ほ~、珍しいですね。 何時もなら開始の10分前には来ているのに。
C:確かに。
A:・・・フッ。
G:ハッハハハ。
B:クク・・・。
D:・・・皆さん、冗談は程度に。 彼が遅れているのは既定の決定事項ですよ。
A:いや~、すまない。
E:今日の緊急会合は例の件ですかな?
C:そうです、事前にお渡ししたデータと、その確認の為です。
F:・・・・日本は認めるのかね? 自らの国民を切り捨てるこの決定を・・・
A:認めさせるのだよ。 世界平和の為にこの連中の確保は最重要項目なのだから。
B:忘れてはいませんか。 この連中の一人は我が国の国民です。 彼女は我々で保護させていただきます。
G:その件には干渉する気はありませんよ。
C:・・しかし、彼らは無抵抗で応じてくれますかな?
E:・・・手痛いしっぺ返しを喰らった方も居りますな・・・・
G:・・・・・・・・
A:その件は既に終わった事ですよ。 この場はこれからの事を話し合う場です。
E:失礼した。
D:・・・しかしながら、あの連中は6人しか居ないのではないのかね? 我々で分けるには数が足りないのではないのかね?
G:それについて既に確認が取れている。 集めた情報の中には6人以外の人の姿も確認されている。 B:そしてドワーフやエルフと思わしき存在も居るようですな・・・
F:ほ~、エルフですか・・・
A:・・・・なるほど。
C:それは・・・・。
D:細かな配分は現場に任せる事に致しましょう。 必要とあれば再分配をするという事で、諒承していただきます。
F:異存はない。
G:妥当だな。
C:良いだろう。 さて、次の議題は・・・・。
F:日本の再占領と再分配の件です。
D:日本が我等の要求を容認しようが拒絶しようが、あの国の運命は既に決まっている。
G:あの国は細かな事は知る必要は無い、都合の良い情報だけを信じていれば良いのだ。
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地球 何処にも存在しない場所
G:それでは頼みましたよ。
H:勿論です。 24時間以内に記者会見を開き国民に知らせます。
G:結構ですな。
〈G・ログアウト〉
H:・・・・・・・・・・
H:・・・・・・これで、これで良い筈だ。 ・・・・・・国を守る為には犠牲が必要なのだ。
〈H・ログアウト〉
[防壁01 解除]
[防壁02 解除]
[防壁03 解除]
[\\\・ログイン]
[ログ・ファイル アクセス]
[コピー 開始 10% 20% 30%・・・]
〈警告 不正アクセス確認 セキュリティ・システム始動・・・〉
[セキュリティ 制圧]
〈自己珍談 セキュリティ 再起動 カウント0:20 0:19 0:18・・・〉
[50% 60% 70%・・・]
〈0:13 0:12 0:11・・・〉
[90% 100% コピー 完了]
〈0:07 0:06 0:05・・・〉
[\\\・ログアウト]
〈0:02 0:01 0:00 セキュリティ 起動 全システム・スキャン 開始〉
【Unknown01 強制介入】
〈全システム権限 Unknown01 委譲 スキャン 停止〉
【ログ・ファイル 閲覧 改竄】
〈\\\・アクセス記録 削除〉
〈全システム・オールグリーン〉
〈Unknown01 ステルスモード 解除〉
【強制介入】
〈Unknown01 名称変更 ADAMAS01〉
ADAMAS01:さて・・・、どうするかな・・・・
〈Unknown02 ステルスモード 解除〉
【強制介入】
〈Unknown02 名称変更 ADAMAS02〉
ADAMAS02:日本にも状況を変えようとする者が居るみたいね。
ADAMAS01:ふむ・・・、サクラ、"ライオン"と"タイガー"に彼らの動向を監視させろ。
ADAMAS02:・・・良いけど。 支援は必要?
ADAMAS01:裏からこっそりやれ。
ADAMAS02:オッケー!
〈ADAMAS02・ログアウト〉
ADAMAS01:・・・・状況次第では、望み通り全面戦争を仕掛けてやるよ。 それと・・・
【強制介入】
〈ADAMAS01・ログアウト〉
〈ADAMAS01 ADAMAS02・アクセス記録 削除〉
〈全システム・オールグリーン〉
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日本 在日米軍 横須賀海軍施設
「まったっくよ! なんでこんな事いきなりやらなくならないんだ!」
「計画性が欠けているからだろ。 上官の頭は筋肉で出来ていると言うのが、もっぱらな評価だからな」
「条件反射で生きているのかよ!」
「その通りだ」
二人の士官が真夜中の倉庫の中で、上司に対する愚痴を言い合いながら、命じられた軍需物資の在庫確認を、手と目を休める事無く続けていく。
真夜中に急遽、叩き起こされ機嫌の良い奴など皆無であろう。
上司の悪口が際限なく溢れて来るが、延々と続く終わりの見えない作業を続けていれば悪口のボキャブラリーも尽きて来る、そうなると頭に浮かぶのは何が起ころうとしているのかの予想と不安である。
「なあ~」
「うん? 如何した?」
「何故だと思う?」
主語はあえて言わなくても察する事が出来る。
「戦争の準備だろうな」
「軍隊なんか簡単に動かせるのか?」
過去の戦争と違い、現代戦をするには信じられない量の物資と大量の訓練時間を必要とするのだ、軍隊を簡単に動かせると思っているのは平和主義の頭のおめでたい政治家か、ド素人だけであろう。
「・・・おそらくだが、例の演習の補給を充てるんだろう」
「演習って"リム・パシフィック"の事か?」
『リム・パシフィック』 アメリカ軍主導で予定されている、環太平洋諸国による合同軍事演習、艦隊戦から対潜水戦・上陸演習・高空作戦・対テロ訓練など予定されている太平洋諸国による統合軍事演習である。
この演習に合わせる様に中国とロシアも艦隊や陸軍が太平洋方面に集中し、近年では例にない程、太平洋沿岸が緊張状態に陥っている。
「・・・・それと上官達はひた隠しにしているが、デフコンが"1"のままだそうだ」
「?! "1"か!」
「そう"1"だ」
「・・・・それでか、最近倉庫から溢れるほどの軍需物資が運ばれて来るのは」
「おそらくな」
「いったい何処と戦争するつもりだ?」
「さあな、宇宙人かロボットの反乱かもな?」
「日本だぜ! "カイジュ"でも来るんじゃないのか?」
「それを言うなら"怪獣″だろ。 それと本当に怪獣なら俺達の出番は無いよ、自衛隊に任せておけばいい。 彼らは全世界で最多の怪獣を撃退している怪獣退治の専門家だからな」
「日本を占領するのは?」
「それは・・・・、一番有り得ないぞ」
「・・・・確かにな」
こうして、他愛ない会話を時たま交わしながら彼らは淡々と作業を続けていった。
彼らは知る立場に無かった、彼らの一番最後の予想が最も正解に近い事に。
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日本 東京 首都高速 自動車内
白いワンボックスカーが首都高速を充ても無く彷徨っていた。
何の変哲もないワンボックスカーの暗い後部座席で一人の壮年の男が携帯端末を手に誰かと会話をしていた。
「そうか・・・、ご苦労だった。 お前もその場を早く離れろ、総理直属の警護は頭は固いが無能では無いぞ」
『はい、では』
「うむ」
壮年の男は端末のスイッチを切ると隣に座る男にそれを渡した。
男は受け取った端末からバッテリを抜き自分の端末に差し込み、端末を足元にある物理シュレッダーダストに放り込む。
車内に耳障りな音を響かせながら携帯端末が粉砕され端末だった物に変わりゴミ箱に移される、その上にパンの空き袋や空き缶とペットボトルをいれる。
「パーキングエリアに入ります」
ドライバーが車を左に寄せながら報告する。
「もう、予定の時間か」
「はい」
車は静かにサービスエリアの意外と込んでいる駐車スペースに停車した。
「お前たちも普通に行動しろ、余計な警戒態勢をとる必要は無い」
「はい」
「了解です」
「さて、行くか」
「はい」
サービスエリアの駐車スペースに駐車している白いワンボックスカーから三人の男と一人の女性が降りる。
ドライバーは慌ててトイレに駆け込み、一人の男がゴミ箱からレジ袋にゴミを移し替え捨てに行き、残った男女がメモを手にジュースの名前や食べ物の事を言いながら店内に入って行く、全員が普段着で誰が見ても行楽帰りの家族が寄った様にしか見えなかった、特に注意を引く事も無く人の中に溶け込んでいった。
「・・・父さん、意外と込んでいますね」
二十代の女性が隣に立つ男性に視線を向けないまま声を掛ける、サービスエリアの店内は時間帯のわりに意外と混み合っていた。
「そうだな、私はあっちでコーヒーでも飲んで来るよ」
父さんと呼ばれた壮年の男はそそくさとその場を離れようとする。
「ちょっと! 荷物を持ってくれるのではないんですか?」
女性の怒った声がする。
「勿論、持つとも。 買い物が終わったらね。 じゃ!」
父親は速足でコーヒーコーナーの方に去って行く
「あっ! も~」
後には憤慨する娘だけが残された。
父親は自動販売機からホットコーヒーを買い、手近な開いているベンチに腰掛ける、チビチビとコーヒーを味わっていると一人の同じ位の年齢の男性が声を掛けてきた。
「最近の景気はどうですか?」
父親は声の方を一瞥し、再びコーヒーを一口飲む。
「良くは無いですね。 私は上司の受けが悪くて最近失職しましてね、苦労してますよ」
「それは災難でしたね。 もっとも私など上司が無理難題を突き付けてきて苦労していますが」
「それはそれは、お互い災難続きですね」
「全くです」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
暫しの沈黙の後、お互い明後日の方を向きながら会話を続ける。
「七つの大企業が社員の引き抜きと、我が社の吸収合併を視野に入れている」
「社長は何と?」
「グループ解体を脅かされて五人の社員の移籍に合意した、彼らの席は既に我が社には無い」
「御社の警備を担当する我が社にも圧力が有りました、黙っていろと言われましたよ」
「それはそれは・・・・」
「・・・我が社は貴方が次の社長になる事を希望します」
「私に社の乗っ取りを仕掛けろと?」
「陸海空の運送業者の社長も同じ意見です」
「重役会議は歯止めになりませんか?」
「残念ですが、貴方が社を去ってからは、現在の御社の重役たちは社長に尻尾を振る者しか残っていません。 株式公開は何時ですか?」
「明日の夜になる予定です」
「! そうですか・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「森井さん、インサイダー取引に付き合ってくれますか?」
「! ・・・矢吹さん、それは・・・」
「違憲ですからね、最終的に私は司法の場に出るつもりです。 付き合ってください」
「・・・・各社長も私も同じ考えですよ」
「すみません」
「いえ、此方こそ申し訳ない。 ですが頭を下げるのはこれを最後にしてください、貴方はこの会社のトップになるのですから」
「・・・・わかりました」
一人の女性が買い物袋を片手にこっちに向かって来る、時間切れである。
「父さん! 何やっているのよ」
「いや~、すまないね。 思わず話がはずんでね!」
「も~。 父がすみません。 この前リストラされ暇している者で」
「余計な事を言うな!」
「はははっは! いえ、良い休憩になりましたよ」
「それじゃあ! またどこかで!」
父親は娘に引っ張られながら笑顔で片手を挙げて挨拶をしてその場を去る。
「ええ、いずれまた!」
話し相手になっていた男性も笑顔で手を挙げて返答する、そして誰にも聞こえない小声で。
「・・・・・・いずれまた」
彼は笑顔の奥で必死に頭を下げる衝動に耐えていた。
一人の人物の将来を決定してしまった罪悪感、尊敬できる唯一の人に対する畏敬の念。
森井警視総監、彼はただ黙って見送る事しか出来なかった。
矢吹・圭二やぶき・けいじ 前外務大臣
その竹を割った様な性格と決断力から、国民の絶大の人気を誇る。
その政治センスや判断力は他の政治家の追随を許さず、次期総理の本命であったが、時の総理に嫌われ辞職させられる。
後に当時の総理がアダマスのメンバーを他国に売り渡した事を切っ掛けに、警察と陸海空自衛隊の協力を得てクーデターを引き起こし政権を奪取、世界と敵対する道を選ぶ。
『The Birth of a New World』の後、国民の絶対的な支持の基に八年間、政権を維持し惜しまれつつも引退。
引退後、反乱の首謀者として出頭、その場で逮捕、収監される。
裁判の判決において終身刑を言い渡された。
二年後、恩赦により減刑され保釈されるが、自ら進んで刑務所内で一生を終える。
色々と決断がされました・・・・。
最後の会話は色々と隠語で隠されています、分かるかな?
DAY-03はアーリア無双!の予定




