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DAY-02 兵士達のフィナーレ

眠い・・・・。

WCは時差12時間。

 太平洋日本近海 公海上 アダマス・オブ・ザ・シーズ船内


 その日の昼時、船内で野太い男達の絶叫が船内に響き渡った。


「うっわわわわわ!!」


「自分でやる! 自分で出来るから!!」


「待って! それだけは!! 頼むー!!」


「Oh, My Gad!」


「ジーーーーザス!!」


「後生だから!!」


「ママ―!!」


「・・・斯くなる上は。 いえ!! 冗談です! ほんのできごころなんです!!」


 勿論、船内の各部屋には防音設備が整っていたが、その防音効果を突き抜けて廊下まで叫び声が響き渡った。



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 ただいま大変お見苦しい場面が行われておりますことをお詫び申し上げます


 おそれいりますが

 そのまましばらくお待ちください


 by作者


 作中の表現で臨場感を持たせたい方はここでコーヒーブレークや休息を取る事をお勧めします。


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 太平洋日本近海 公海上 アダマス・オブ・ザ・シーズ屋上プール


 ロバートは今現在進行形で満たされた気持ちになっていた。

 南国の海の上、暖かい昼下がり、目の前のプールは静かに波をたて、デッキチェアにガウン姿で寛ぎ、パラソルは丁度良い日陰を作り、ご丁寧にサイドテーブルには良く冷えたトロピカルドリンクが用意されている。

 当に至福の時間である。

「なあ~、ロバート・・・」

「如何した?」

 脇に同じ様な感じで寛いでいたデビットが、気の抜けた声で彼に話しかける。

「俺、軍を辞めて、実家のパン屋を継ぐ事にするよ・・・」

 突然、重大な事を聞かされたが、今の彼には特に驚く事では無かった。

「奇遇だな。 俺も実家の牧場を継ごうと決めていたんだ」

「へ~、どんな境遇の変化だ。 常に"俺の死に場所は戦場しかない"と言っていたのに?」

「世界は広いと感じたんだ・・・。 それに・・・」

「それに?」

「何か色々と、"落とされちゃった"からな」

「・・・なるほど」

「「・・・・・」」

「婚約者が喜ぶな・・・」

「恋人に泣かれる事が無くなり安心させてやれるよ」

 兵士の、その中でも特殊部隊の常、何時戦死してもおかしくない状態、恋人や妻に泣かれたり、心配させたりする日常、結果として待っている破局、そして戦いにのめり込む人生。

 それがこの船に来て、常識を破壊され、精鋭のプライドを木端微塵にぶち壊され。


 極め付けが、メイド達によって強制的に服を脱がされ(注・パンツもである)、毛穴の隅々から○○○まで綺麗に洗われてしまったのである。

 しかも、非常に気持ちが良く(ここ重要)、色々と・・・。

 服や装備に至っては、綺麗に洗濯され、ご丁寧にアイロンまでかけられ、銃器は分解整備され綺麗に泥や汚れが落とされ新品同然である。


 そして、彼女達に裸の隅々まで観察され・・・・


「くすっ♪」


 ・・・・・・これが致命傷であった。


 男ならばプライドもへったくれもなく、どんがらがっしゃんとスっ転び、圧し折られ、底辺に沈み精神病院行き決定であろう。


 そこから見事、復活したの二人は流石はアメリカの誇る精鋭部隊の兵士である。



「エリックは如何した?」

「隣で丸くなっているよ」

「?」

 ロバートはデビットの向こう側を覗き見ると、此方に背中を向けて丸くなっている同僚の姿が目に入って来た、何やら"お婿に行けない"とか、"ママ"とかブツブツと妙な事が聞こえてくる。

 二人は思わず視線を交わしあい同時に同じ結論に至る。


『見なかった事にしよう』


 デビットは急遽、話題を変える。

「隊長は如何した?」

 ロバートは思わず眉を顰めて、物凄く深刻な表情と声で。

「隊長・・・、アルフレッドは・・・」

「?! まさか・・・・」

 デビットはそこで最悪の結果を思い浮かべ、思わず息を呑む。


 ロバートは自分の後を指で示し。

「青春真っ盛りだ」

「????????」

 思わず指の指す方を除き込むと・・・。

 青春映画などで良くやるテンプレの例のあれである。


「ハッハハハハハ♪」


「ふふっ♪ ほら追いついてごらんなさい♫」


「こいつめ♪」


「あはは♪」


「あはははは♪」


 プールサイドで妙に爽やかな暑苦しい筋肉達磨と、華麗で美人なメイドが追いかけっこをしていた。


「・・・・隊長。 奥さんいたか?」

「いや・・・、独身だ」

「恋人は居たはずだろ?」

「この前別れたそうだ。 酒場でやけ酒していた」


「「・・・・・」」

 二人は同時に頷き同じ結論に至る。


『幸あれ』



 アメリカ陸軍特殊部隊所属チーム4隊長 アルフレッド・ウェイライン"元"少佐。

 アダマスに付いて行き異世界に渡り不老性を会得、アダマス・オブ・ザ・シーズ所属管理メイド 自動人形マリア・パールと10年の交際の末に結婚、愛妻家である。

 自動人形と結婚した最初の物好きの一人である。(注・自動人形と言っても人間と対して変わりが無いので色々と出来る事は出来ます)

 十四児の父親(現在も増殖中)、エルタスにその名を轟かせる戦士の家系、ウェイライン家の始祖。

 エルタスで指折りの武術"ウェイライン流銃剣術"の創始者にして、アサルトライフルとコンバットナイフでエンシェント・ドラゴンを狩る名手である。


 それはそれとして。



「それで、あそこでは何をしていいるんだ?」

 ロバートは対岸を指さし隣のデビットに尋ねる。

「観た所・・・、デルタだな」

「いや、それは見れば分かる。 俺が聞いているのはあいつ等は何をしているのかって事だ」


 プールの対岸では二人の屈強な男が見つめ合い"兄者!""弟よ!"とやっている、何をどうすればああなるのか疑問だが、正直な所、関わりたくない。

「俺に聞く事か」

「他に尋ねる奴が傍に居ないだけだ」

 エリックは現実逃避中で論外、アルフレッドは青春で無駄、消去法でデビットしか話し相手が居ないのが現状である。

「精神衛生上非常に良くないから目にフィルターをかけておけ。 それ以外に方法は無い」

「・・・なるほど」

「それより俺としてはあっちの方が気になるのだが・・・」

 デビットは別な方向の対岸を指さす。

 そこでは・・・・。


「牛肉はこの様に丁寧に下処理をします。 わかりましたか?」

「『ハイッ! 先生』」

「宜しい。 次は焼き方ですが・・・」

 プールサイドに本格的なキッチンが並べられ、屈強な男たちがエプロン姿でメイド達に料理を教わっていた。


「・・・シールの連中だな」

「それは、見れば分かる。 如何してああなった?」

「俺に聞くな」


「包丁はこの様に使います。 決して人に刃先を向けてはなりませんよ」

「『ハイッ! 先生』」


「見た処ジュニアハイスクール(中学校)辺りか?」

「もう少し下だろ」

「キンダーガートウン(幼稚園)か?」

「もう少し上だろ」

「スクール(小学校)か」

「その辺が妥当だな」

 かなり間の抜けた会話が繰り返される。

 二人は思わず遠い目になり、過ぎ去った時に思いをはせる。

「あったな~。 若い女の先生に憧れていた事が・・・・」

「ああ~、初恋だったな・・・」


「次はサラダの作りかたを実践してみましょう」

「『ハイッ! 先生』」

 料理教室はまだ続きそうである。


「平和だな・・・」

「ああ・・・、生き返るな・・・」

 ロバートとデビットは今ある休息を満喫するのであった。

 同僚は現実逃避と青春中。

 プール対岸では宗教的にアウト寸前の行為、一歩手前。

 隣では小学生の料理教室。

 周りはかなり混沌とした空間に変貌しつつあるが、今の処、船上は概ね平和で平凡である。


 


 後に、アメリカ軍では特殊部隊から大量の除隊者が出て(一部行方不明)、政府や軍のトップが頭を抱える破目になるのであった。



特殊部隊壊滅の真相は(涙)


そろそろDAY-02が終わりますよ。

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