天城の滅界 蹂躙
異世界に行く前段階。
一話にまとめきれなかったので三話構成の予定です。
最後に方に
補足説明①と②をいれておきました。
「登場人物の紹介 その二」に「ヘカトンケイルの視点」追加しました。
「天城の滅界」
VRMMO[ワールド]においての、運営初の公式クエスト・・・
そこにあるのは唯の瓦礫であった。
多数のエネミーが守護する天空の超巨大空中都市、その城門を開くには。
高空より地表に打ち込まれた四つの超巨大城砦・・・
その城主であるレジメント・ボス・・・
彼らを倒し四つのクエスト・アイテム「四死の鍵」を得なければならない・・・
だが、心せよ・・・
死力を尽くして「四死の鍵」を手に入れることが出来たとしても、そこで終わりではない。
更なる困難をプレイヤーを襲う「四死の鍵」はエネミーを際限なく呼び寄せるのだから・・・
「四死の鍵」は、四つ集めて初めてその効力を発揮する。
盗まれてはならない。
奪われてはならない。
死んではならない。
万が一、所有するプレイヤーが倒された場合、鍵は即座に城砦に戻されレジメント・ボスが復活するのだから・・・
自ら捨てることは適わない、鍵は所有者の下に戻るのだから。 確実に・・・
そして、4つの鍵をエネミーに占領された「天雲樹」の祭壇に奉げ、一時のあいだ守り抜かなければならない・・・
これが、運営が定めた攻略手順なのだが・・・・
絶対の防御力を誇る天空都市の城門「天劾の門」は唯の瓦礫へと姿を変えていた。 否、都市の3分の1がすでに瓦礫へとその姿を変えてる。
運営のデザイナーが三カ月も会社に泊まりこんで創った挑戦者を惑わす壮麗な迷宮も。
下請けのプログラマーが離婚の危機を乗り越えて組んだ強者を試す最強のエネミーも。
瓦礫とその他に、綺麗に吹き飛ばされていた。
ラスト・ボスのフィールドまで・・・
その白い空間は、円盤の様な形をしていた。 円盤の淵を巨大なギリシア建築の様な柱が上下の円盤を隙間無く支え、上下の円盤の表面は円柱や立方体が幾何学的配置され、見る者によっては、広大な都市を思わせる景観を形成していた。
全面が白く光り視界に困ることは無かったが、人間であれば別な意味で苦労したかもしれない。
その空間には重力が無かった・・・
轟音と爆音!
閃光と撃光!
広大な空間を縦横無尽に吹き荒れる衝撃波と岩塊。
空間を埋め尽くすほどに乱れ飛ぶ光弾と光線。
九十九体いた全高100mを超える天使の様な悪魔型エネミーと、1~2mの悪魔の様な天使型エネミー1万体の小型エネミーは、その半数あまりがすでに砕かれ刻まれ炙られ空間にその骸をさらしていた。
対峙するは、六人の異形の装備を纏う人間と、それに付き従うエルフやドワーフ、小型の竜、大型の犬、竜人や機獣などの12人(体、又は匹)の従者。
光線?や岩塊などを足場にして空間を縦横に飛び回り、両手に持つ双剣を振るい、黒髪の青年が叫ぶ!
「残りは!」
彼の名はカズマ(藤代・数磨)21歳 大学生。
VRMMO[ワールド]の最小にして最強のギルドと謳われる「アダマス」のギルド・マスター。
身長は高い方ではない173cm位、どちらかと言うと痩せ型。顔立ちは普通より若干ましな程度、見る人が見れば好みの範疇に入る程度のごく普通顔立ち。
瑠璃の軽甲を纏い、両手に持つ半透明の刀身からは、衝撃波が放たれ、一振りする毎に周囲を埋め尽くす百を超える斬撃、光弾や障害物ましてや障壁も刻まれていった。
斬撃半径100m圏内、敵影なし。
彼の声に即座に応えたのが、カズマの直ぐ後ろで影の様に付き従う、肩に翼のある猫をのせた金髪のエルフの女性。
「46体。いえ、45体です」
美しいが感情のあまり無い声で報告した。
SNPC[Support Non Player Character]のエルフ 名はイサベラ 魔術師 & 格闘家。
身長175cm+ヒール5cm 流れる金髪とエルフ特有の眼、整った顔立ち、線を隠す衣装の上からでも判る凹凸のついたボディーライン。
周囲に浮遊させた、虹色に輝く正六角形の光板100枚を操り。
光板の組合せにより、誘導光線、攻撃反射結界、属性範囲攻撃などを駆使して攻撃。近距離に入った運の悪い敵を蹴り砕いていく。
同じくSNPCで翼のある猫 名はタマ(サクラ命名) フィールド索敵 & 情報管制
全長30cm位、外見は空を飛べること意外は普通の白猫、性別メス
周囲を警戒し、念話によって周囲の敵をリアルタイムで把握。必要な情報を制御している。
その時!
イサベラの結界を擦り抜けた光弾が!
正面!
直撃コース!
ネコパンチ!
反射完了、別の小型エネミーに直撃、消滅確認。
大型エネミーの残骸上で長大な銀色のガトリング砲から強大で強力な魔法弾をばら撒きながら、セミロングの茶赤髪の女性が呟く。
「ようやく、半分ね!」
彼女の名はサクラ(高野・さくら)21歳 大学生。
「アダマス」のサブ・マスター。
身長は165cm位、すらりとした体型だが、決して痩せ過ぎではない。 顔立ちは綺麗と言うより、可愛いと言った方がしっくりくる。ぱっちりとした目元から来る雰囲気は陽性で、街を歩けば誰もが振り向かずにはいられない女性である。
巫女装束に両脇に浮遊した紅玉の大盾を装備し、周囲をガトリング砲で掃射する。
小型の敵は魔法弾の衝撃波ですり潰し、大型の敵は展開した多重障壁ごと砕いていく。
掃射をすり抜けた敵は砲身の鈍器で弾き飛ばし、銃撃! 小型エネミーは触れただけでつぶれていく。
「ライオンちゃん! タイガーちゃん! 後ろに回ったはエネミー弾いてね!」
「「ワンッ」」(?)
サクラの狼型SNPC 名はライオンとタイガー(?) 格闘型 & 退魔師
全長は約4m 体毛は灰色 双子 性別はライオンがオス タイガーがメス
サクラの後ろを守護し、小型エネミーをその牙で砕き。
大型エネミーを振り回して投げ飛ばす。 (大型エネミーは100m級が最小単位です)
投げ飛ばした敵は吹き飛んで壁にめり込むが、あまり気にしない。
投げ飛ばした敵が味方を巻き込んで一緒に飛んで行くが、本当に気にしない。
投げ飛ばした敵と一緒に味方も壁にめり込んでも、やっぱり気にしない。
-------------------------------------------------------
補足説明
① SNPC[Support Non Player Character]
プレイヤーが設定できる、ユーザーメイドのNPC。
姿形の基本テンプレートは存在するが、特に制限は存在しない。
魔道機 構を搭載すれば、その能力も拡張可能である、その為、ユーザーの数ほど外見や能力のSNPCが存在すると言われている。
② VRMMOでの体型と姿形、性別について。
VRMMOでは本人の身体データをスキャンするので、性別は勿論のこと、著しく違う外見の姿形には原則変更することは出来ない。
※身体にない器官を自由に動かせるほど人の脳は起用ではない、尻尾や猫耳くらいは特に問題ない
手足など、身体的データが僅かにずれるだけでも動きが阻害され、歩行や走行などが著しく困難になる。
※普段履かない底の厚い靴を履いてアスレチックで遊ぶようなものである
顔についてはそこまで厳しくはないが、VRで食事や化粧をする場合など、若干注意が必要である。
※美男美女には、誰でもなりたいものである
性別については厳しく規制されている、変更には複数の精神科医の診断書が必要である。
※一応、性同一障害の事も考慮されてはいる。
主人公達は、まだ全力で無いけれど。
異世界にはこの様なチートな能力を持って渡ります。
この後、「殲滅」「掃討」と続く予定です。
「殲滅」の前に、登場人物の紹介 三と四が入ります。
サクラのネーミングセンスは作者にも謎である。