古代の英知はカビだらけ 射的の景品は何ですか
チート装備の貸し出し中。
街の上空を覆う結界に魔道砲の攻撃が着弾し、七色の光の乱舞が街に降り注いだ。
激しい攻撃にも関わらず、結界は小揺るぎもせず魔道砲の攻撃を受け止めていたが、騎士型魔道機が結界をゆっくりと越え様としていた。
エルタスの第一結界は遠距離からの非実体の魔力による攻撃には絶大な防御力を誇るが、ゆっくりと進む物質は素通りしてしまうのである。
だが、騎士達が第二結界に接触した時、彼らは空中で静止を余儀なくされた。
第二結界は登録の無い物を拘束する捕縛結界であり、騎士達が自らの意思で停止したのではない事はその焦った様な動きから容易に想像ができた。
その時、街中から上空に向けて、動きを止めた騎士達に無数に光線が発射された。
街中に設置された、魔道砲台から大出力の光線が次々と騎士に襲いかかったのだ。
その砲台を操るのは、兵士でも冒険者でもない街の子供達であった。
カバーが外された砲台の脇には
『射的ゲーム! 一人5分、最高得点を出した射手には豪華景品を贈呈します
by 夏祭り実行委員会』
といった看板が掛けられていた。
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郊外にある森の手前では警備隊が武装を整えて、敵が来るのを待ち構えていた。
「トライト隊長! デカ物共が、郊外の森に降下していきます!」
部下の一人が彼の前で状況を報告する、彼はそれに動じる事無く部下に命令を出す。
「全部隊は予定どうり森の手前で待機! 森から出た奴から殲滅しろ!」
「ハッ!」
短い返事と共に、部下は駆け出していった。
「連中もバカではありませんね、上空からの進入は不可能と考えて歩いて来るようです」
彼の傍に控えていたルディル副隊長が手甲の具合を確認しながら自らの考えを述べた。
「そうだな、だが愚かである事には違いは無い」
「全くです! あの方々が貸してくれたこの装備があれば楽勝でしょ!」
ルディルは自らの胸甲を軽く叩きながら、気軽な返事を返した。
「ふっ、全くだな」
トライトも苦笑を浮かべながら、気楽な副隊長に同意する。
前方の森で音が響きだす。
「始まったな・・・・」
「ええっ、我々も急ぎましょう! 獲物が無くなってしまいます!」
「ああっ! 急ごう!」
二人は戦場に向けて駆け出していく。
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トライトとルディルが前線に着いた時には、森の出口で一方的な殲滅が行われていた。
もしその光景を赤の他人が見れば、何かの冗談と思った事であろう、もっとも、騎士型魔道機の操縦者は冗談では済まされそうに無かったが。
巨大な騎士型魔道機が、その巨体に相応しい剣や槍で強力な攻撃を生身の警備隊員に繰り出すが、隊員はそれを剣や盾で受け止め、時には受け流し、返す刀で騎士の腕や足そして胴をなぎ払い解体していく。
アダマスのカズマによって貸し出された軽甲と剣・盾は一人の兵士の力を騎士型魔道機を上回るものに底上げしたのだ。
身体を覆う軽甲は兵士の身体的能力と防御力を何十倍にも引き出し、盾には慣性制御魔法が込められ騎士の剣を軽々と受け止め、剣からは光刃を発生させ敵を切り裂いていく。
「これは・・・、凄い物だな・・・」
トライトは部下の活躍を見ながら、思わず言葉を失う。
「連中、調子に乗らなければ良いのですが」
ルディルのほうも少々、言葉の歯切れが悪い。
「武器や装備の性能だ、部下の実力ではないよ・・・」
「持ち逃げしようとする者も出てきますね、これがあれば一国でも落せそうです」
「それは・・・、心配ないだろう、あの方々が何の対策もせずにこんな装備を貸し出すはずがないからな」
「・・・・ですね」
実際、これらの装備には、持ち出し禁止の呪法が仕込まれており、持ち逃げしようとした者はかなり酷い目に遭うのである。
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「は~い! そこまでで~す! 得点は1万5000点です! 次の方! そうぞ~」
「くそ! もうちょっといけると思ったんだけどな!」
「へへっ! 狙いが甘いんだよ!」
「ハッン! そう言うお前は何点だったんだよ?」
「オレか? 2万6500点だよ!」
「!? どうやって出したんだよ?」
「実力だよ!」
「くそっ!」
「一位は貰ったな!」
「は~い! そこまでで~す! 得点は6万9000点です! 次の方! どうぞ~」
「「・・・・・・」」
「・・・・・何回でも撃てるんだよな?」
「ああ・・・、累積はしないけどな・・・・」
「「・・・・・・・・」」
「もう一回! やります!」
「バカ野郎! オレが先だ!」
「は~い♪ ちゃんと並んで下さいね~!」
「ところで、豪華景品て何だろうな?」
「さ~?」
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エレェリアはカフェでケーキを食べながら静かに時を待っていた、相手の艦隊が出てくるのを・・・
「殲滅戦でス、星に成るまで吹き飛ばしてあげましょウ」
景品は何でしょうね?
次回は
『古代の英知はカビだらけ 星に成って下さいな』




