古代の英知はカビだらけ 喧嘩は高く買いますよ
張りぼての軍隊ですよ。
四天王! 登場!(雑魚だけどね)
その地は今だ夜の闇の中にあった。
その中で、照明が煌々と灯される広場の高台で、一人の男が眼下に向けて声を張り上げる。
「我が! 新生ヴァン=オルグ征国を代表する最強の四死天将よ!」
声に促される様に四つの巨大な騎士が広場に音も無く現れた。
「ハッ! お傍に、総帥閣下」
漆黒の鎧が代表して言葉を返す。
「うむ、我が慈悲深き言葉を、蛮族に伝えにいった使者からの連絡が途絶えた」
四つの巨大騎士に動揺が走る。
「それは! なんと愚かな事・・・」
血紅が絶句し。
「まったくだ!」
白銀が同意する。
「フッフフ! 閣下は我らを以下にお使いか」
青紫が閣下と呼ばれる男に問いかける。
「うむ、貴様らは我らの言葉の意味を、蛮族共にあの世で後悔させるのだ!」
漆黒が代表して返答する。
「閣下の御心のままに・・・・」
「行け!」
男の言葉と共に風が吹き、巨大騎士の姿は上空に舞い上がる。
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天気の良い昼過ぎ、街の騒ぎとは無縁の場所である『カフェ・あだます』の静かな店内で、カズマとサクラが今後の事を話し合っていた。
カウンターの中ではエプロン姿のイサベラが食後に出すデザートの試作していた。
「それで、あの巨人はいったいなんだったんだ?」
カズマはコーヒーを飲みながら分厚い本から視線をあげる事無くサクラに尋ねた。
「ミウが言うには、人間が乗り込んで操縦する魔道と機械の技術を使って製造した乗り物だって」
彼女もコーヒーから視線を上げずに、コーヒーにミルクを投入しながら返す。
カズマは、その返事を聴き少し宙に視線を向け考えを纏めてから返事をする。
「つまり・・・・、巨大人型ロボット?」
「そうらしいよ。 何か随分と奇妙な構造だて言っていたけど」
彼女はコーヒーを一口、飲んでから繭を顰め、おもむろに砂糖に手を伸ばしながら応えた。
「ん? どういう事だ?」
「さ~・・・、本人に直接聞いた方が早いかも」
彼女はもう一度口をつけ、満足顔、今度は味に満足したようである。
「・・・・それもそうだな」
彼は気のない返事を返し、再び本に視線を戻す。
二人とも食後で頭に血液がいっていないのか、何とも間の向けたやり取りをしていた。
《リン~ リン~ン~》
正面の入り口が気持ちの良い、静かな鈴の音と共に開いた、扉の前にはピンクのゴスロリドレスに身に纏った少女が入ってきた。
「あ~~~、疲れた~~~~」
鈴の音とは逆の脱力した少女の声が店内に響いた。
イサベラが作業の手を止め、カウンターの中から少女の労をねぎらう。
「お疲れ様ですミウ様、何かお持ちしましょうか?」
カズマとサクラの座っている円テーブルの空いている椅子に腰を下ろしてテーブルに突っ伏しながら。
「ありがとうイサベラ。 何か甘いもの持ってきてくれる」
端から誰が見ても、バテバテですといった姿勢のまま返事を返す。
「クスッ 畏まりました、少々お待ちください」
イサベラが微笑を浮かべながら作業を再開する。
「ふ~~、冷たいテーブルが気持ちいい~~」
ミウはテーブルの冷たさに癒されていた。
「それで、何か解ったの?」
サクラがさっそくロボットの事を聞くが、ミウは姿勢を変えずに生返事を返す。
「ちょっ~と~、待て~~」
カズマとサクラは視線を交差させ、同じ結論に至り、特に急ぐ理由も無いので、それぞれの世界に再び戻っていったが。
「お待たせしました」
イサベラが三十秒余りで盆を持って来た。
「はや!」
驚いて飛び起きたミウの前にデザートの試作品を置く。
「チョコレートパフェです」
イサベラは満面の笑みで宣言、ミウはそれを見て再び驚きの声をあげる。
「しかも! 大きい! てっ! 金魚鉢!」
【金魚鉢パフェ】ジャンボパフェの定番、間違っても普通の胃袋を持つ人は一人で頼むものではない。
カズマがそのテーブルの上の異物を完全にスルーして。
「それで・・・・」
ミウはその金魚鉢パフェを抱えながら。
「ん~とね、(パク パク)あったここだ! あのロボットね、(もぐもぐ)凄く効率が悪い、構造に成っているの(ごっくん)」
「ん? 効率が悪い?」
「そっ! (モグモグ)魔道機の主機の出力は高いのに(パリッ)、魔力の九割が外に駄々漏れ状態なの(ペロペロ)」
「なにそれ?」
サクラが素朴な疑問を発した。
「効率以前の問題ですね」
話を聞いていたイサベラがもっともな結論を出す。
「主機の出力が物凄く高いから(パク パク)力は有るけど、はっきり言って、(ペロペロ)あんまり意味のあるロボットじゃないね(もぐもぐ)」
カズマがここでフッとした疑問を口に出す。
「どうやって飛んでいるんだ?」
カズマは符術師としての知識があるので、エッグマンも人型ロボットも空を飛んでいた、なのにそれほどまでに効率の悪い機関でどうやって飛行に必要な出力を出しているのか、さっぱり分からなかった。
「う~とね、(パク パク)機体の全体から放出される魔力に方向性を与えて移動しているみたいだよ(ごっくん)」
「「「??」」」
ミウ以外の三人は、さっぱり解らなかった。
ミウはスプーンと口を一旦止め、他の人にも分かる様に、噛み砕いて説明する。
「そうね~ 例えとして、無重力空間で四方八方に同出力のロケットを付けて、同時に起動と同じタイミングで推力を増やせば、ロケットの推力に関係なくその場に静止し続ける」
「移動したい時は、一方だけ推力を弱めるか強くすれば移動する事が出来るの、 つまり、連中は駄々漏れの魔力に方向性を与えて飛行しているの(パク パク)」
彼女以外の三人は何とも言えない、あきれて物も言えなくなっていた。
暫く、ミウの咀嚼音だけが店内に流れた。
「ごちそうさま♪」
ようやく、時が動き出す。
「つまり・・・、連中は普通の人々にとっても脅威ではないと?」
カズマがようやく結論を出す。
「うん! そうだよ! あの巨大騎士もそうだね~、普通の騎士が五人と魔術師一人の人数で十分対処できると思う」
あっさり認めるミウ。
「つまり・・・、連中の装備はこけおどしでしかないわけね?」
サクラが連中の正確な戦力を推定する。
「うん! 張りぼてもいい所だね!」
彼女は、こちらもあっさりと認める。
「夏祭りのイベントの一つとして組み込んで見ますね」
イサベラが解決策をだす。
「頼む、ギルダー市長に提出する書類をそろえてくれ、最優先で処理させる」
自動人形メイドの主である、彼らの命は最優先で処理されるのだ。
「分かりました、業務に割り込みをかけます」
ギルダー市長の仕事量を加速度的に増やす決定をあっさりと承認する主従。(無意識の鬼である)
サクラが獰猛な笑みを浮かべながら宣言する。
「せいぜい、喧嘩は高く買ってあげないとね♪」
金魚鉢パフェ、さすが一人では食えないな、ミウは完食したけど。
次回は
『古代の英知はカビだらけ 四天王て美味しいの』




