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古代の英知はカビだらけ 今と昔 東と西でカーニバル

今日はちょっと早めに投稿


前半分は馬鹿の真面目な話。

後半分は悲哀の篭った話。

『神世時代』

 その時代の痕跡は世界中の遺跡で見ることが出来る、非常に高度に発達したこの文明は今世に数多くの福音を齎した。

 今ある魔道機技術の大半はこの時代の技術を基にした物が多くある。

 だが、この優れた文明も、ある日を境に突然の終焉を迎える、そして数多くの遺跡だけが残された。

 遺跡に残された石碑を調べる事が出来れば当時の事を知る事が出来るだろう。

 空飛ぶ船、馬の引かない馬車、天に到る塔、そして鋼鉄の巨大騎士。


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 アダマスがこの世界に出現する約1年前、西方の一つの大陸で一つの勢力が起こった。


「わっははははははは・・・・

 その男は幸福の中にいた。

 今から20年前、男の研究は国や神殿そして学会から異端として糾弾された、頼みの妻からは離縁を突きつけられ、一族からはから絶縁され、そして文明圏から追放さらたのだ。

 だが、運命は男を見捨てなかった、死は男を受け容れなかった、そして、かつて彼の研究を異端として追放した物に男を導いたのだ。

 彼は全てを失い、そして全てを手に入れたのだ。


 地鳴りの様な歓声。


 男は国に密かに帰り、貶めた者共に復讐を始めた。

 怪しまれない様に少しずつだが確実に、ある者は病死を装い殺害し、またある者は汚職の末に自殺に見せかけ殺し、20年の月日の間で、男を貶めた者で息をしている者は一人もいなくなった。

 男は復讐だけで満足はしなかった、少しずつ同志を増やし、男を追放した国を裏側から支配し、やがて実質的な統治者となった。


 風にはためく幾万の戦旗。


 男は満足していた、眼下には男に絶対の忠誠を尽くす大勢の死兵と、整然と並ぶ鋼鉄の巨大騎士の群れ、そして天を埋め尽くす重武装の飛空戦艦。

 全ては男の為だけに存在する。


 男は片手を眼下の群集に掲げる、すると波が引く様に歓声は止み、やがて旗がはためく音だけが辺りを包む。


 男はそれに満足して、やがて演説を始めた。

「諸君! 時は来た! 永き雌伏の時は終った! 盗人共の偽りの時代に幕を引き、栄光の神世時代が再来するのだ!」

 眼下から再び地鳴りの様な歓声が木霊する。

「我が同志諸君! 進軍せよ! 我らの財産を不当に占有する盗人に鉄槌を下せ! 繰り返す! 進軍せよ!」


 新生ヴァン=オルグ征国は一年未満で西方大陸全土を統治下に置く。


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 エルタスの街は沸騰していた。

 夏祭り! 

 エルタスの街では、昼夜を通して大騒ぎである、宿屋と言うより豪華ホテルがあっちこっちに建設され、商人や技術者が、冒険者や旅行者が引っ切り無しに訪れていた。

 誰が言い出したのか判らないが、行き成り開催されることになってしまった、このお祭りは周辺の領や国に、凄まじい経済的な波及を齎した。

 このころには鉄道や道路は隣国のローレリシア帝国まで伸ばされ、帝国などはイースオーリ王国消失の損害を補填し余るほどの利益を生み出すのに成功した程である。

 夏祭りを名目に各地から大勢の商人と大量の荷物が行き来して、それを護衛する冒険者が滞在する、商品を目当てに多くの人々が往来し、それがまた人を呼ぶ。

 止せば良いのに、飛空船の発着場として浮遊大陸を創るものだから、さらに人を呼ぶ事になってしまったのである。

  祭りの準備期間でエルタスの街はローレリシア帝国の帝都アンスムと並ぶ物流の拠点へと変貌していったのである。

 もっとも良い事ばかりではないのも事実である、この機会に犯罪人が流入し治安悪化が表面化したが、犯罪を犯した者はろくな目にあわないのも事実である、犯罪者に容赦しない者達が白亜の宮殿に居るのだから。

 誰もが忙しく動き回る中で一番苦労しているのはギルダー村長、もといギルダー市長であろう。

 長閑な村はすでに過去の物で、既に都市と言っても差し支えない規模まで急速に拡大した為、行政機関が追いついていないのだ、白亜の宮殿の住人達から、自動人形のメイドが派遣され二四時間、休み無く働いてくれるが人間はそういう訳にはいかないのである。


 旧村長邸、拡大改装された現都市行政役所兼市長邸の市長室ではギルダー市長は力尽きていた、書類山脈に埋もれた部屋の中で市長は、その手にはペンを握り、枕代わりに書類におでこをつけて眠っていた。

 部屋の外から、誰かがタイプする音が休み無く響き、足音が途切れることは無いが、ギルダー市長は起きる気配は無い、っていうか市長はここ十日あまり家のベットで寝た記憶は無い、というよりこの部屋から出る事が出来ていない。

《コンッ! コンッ!》

「市長、失礼します。 こちらの書類を・・・・」

 ノックの後に、二四時間働けるメイドが台車に大量の書類を積んで部屋に入ってきた、そして力尽きた市長の姿を確認して言葉を途中で切る。

 メイドは驚くこと無く、市長の傍に立ち懐から二つの道具を取り出した、片方の道具で首筋を消毒し、もう片方のスティック状の無針高圧注射器を逆手に持ち慣れた手つきで市長の首筋に注射。


 使用する薬剤は、副作用が無く、意識を無理やり覚醒させて、疲労を回復させ、栄養を補給する魔法薬の一種、一度の注射で40時間は働けるといった物である、しかも座りっ放しで発症するエコノミー症候群の防止もしてくれる親切な万能薬である。

 健康には・・・、良いわけが無いなこんな薬、ギルダー氏の寿命は何日か確実に削られていることだろう。

 自動人形のメイドがこんな事をするのには理由がある。

 メイドはギルダー氏に貸し出されているのであって仕えている訳ではない、しかも命じられた事は「市の行政を滞りなく運営すること」の一点であった。

 つまり、「市長の健康に配慮せよ」とは命じられていないのである。

 人間には睡眠や食事が必要だという配慮がスッポリ抜けているのである。

 ある意味、市長は馬車馬の様に・・・・・訂正。

 馬車馬の方がまだましであろう、馬は少なくとも休憩と食事は与えられるのだから。


 市長は自動人形のメイドによって馬車馬よりも過酷な扱いを受けているのである。

 それはさておき。


 一瞬で覚醒し飛び起きるギルダー市長、状況が判らずに混乱し頭を左右に振り周りを確認する、暫くしてメイドに視線を向けると、メイドは何事も無く要件を切り出す。

 もちろん、その手には書類以外は持っていない。

「市長、こちらの書類の処理と、この資料に眼を通してください、それと・・・・」

 寝ていたら無理やり起こされ、書類の処理で部屋に缶詰、この状態があと十日間も続く市長の仕事である。


 ちなみに、この激務がギルダー市長が息子セオドラに職を譲る遠因の一つである。

 ギルダー氏が市長を辞した時、その顔は爽やかでやり遂げた男の顔であったという。


 セオドラが跡を継いだ時には、行政機関がある程度は整い、ここまで無茶することは無く、彼は定時出勤、定時退社の週休二日を満喫した。


 ついでに本当にどうでも良い話として、ギルダー氏は息子より長生きし享年120歳の大往生であったとか。


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 一つの影が海面を高速で横切る、だが海面に波はたたない、空を飛んでいるからだ。

 影は西から東に飛んでいく、追われる様に、逃げる様に・・・・





どこかで誰かの舌打ち聞こえたとか・・・


日曜日投稿予定のサブタイトルだけ先行公開します。

『古代の英知はカビだらけ 空から間抜けが降ってくる』



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