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外伝 勇者召喚 その壱

これの外伝は不定期連載の予定です。


アダマスが飛ばされた大陸の丁度反対側にある国、神聖テラリュル皇国、光輪翼の神の教義を絶対とする強大な宗教国家。

 王都ラルドは教都テラスの従属都市の一つでしかなく、国王は実質的な権力は無く国内の全ての権限は教皇と頂点とする教皇庁に決定権がある、国王の選出権ですら枢機卿の投票で決定されるのである。


 教都テラス、新円の湖の中央の十二の橋で外界と繋がった新円の人工島に建造された街である、その中心に建つ壮麗な神殿、否、教都それ自体が巨大な神殿とする巨大な構造物である、神殿と都市が一体となり、様々な建築物が幾何学的に全て繋がり同化した街、それが教都である。

 その街は計算されつくした都市景観を持ち、初めて都市を訪れた者には綺麗すぎてどこか作り物めいた街並みは、精巧に作られた玩具で出来た街に、来た様な錯覚を覚えると言う。


 神殿の中心というより、教都の中心にある魔方陣の描かれた広場では教皇や枢機卿の見守る中、数多くの神官が儀式を行っていた。

 神託によって示された、その儀式は既に十日以上も続けられ、その日の太陽が中天になった時に完成する事となる。

 真夏の炎天下の中、数多くの神官が代わる代わる儀式を継続し呪力を高めていく事となる、この過酷な儀式の所為で、神官の中には過度の疲労で倒れた者や、命を落した者も少なくない。


 やがて太陽が中天へと昇りきった時、魔方陣に蓄えられた呪力が音も無く光の柱へと変化し天へと、太陽へと昇っていく。

 その光の柱は徐々に太くなりやがて教都中を包み込む強大な光柱へと変貌した。

 永遠とも思える光の乱舞は突如、中心に収束しやがて静かに消えていった。

 そして、光が収まったとき、魔方陣の中心には四人の男女が静かに倒れていた。


「どうやら・・・。 上手くいったようだな・・・」

 広場を見下ろす貴賓席で、一番壮麗な神官服を身に着けた一人の壮年の男が、手際よく運ばれて行く四人を見下ろしながら静かに呟く。

 壮年の男性が貴賓席から足早に出て行くの追従しながら御付の神官が返事を返す

「はい。 これも神託の通りでございます、猊下」

 猊下と呼ばれた男性、教皇は頷きながらこれからの事を思案していた。

「うむ。 これで神の国に一歩近づくのだな・・・」

「はい」

 執務室に続く回廊ですれ違う神官達の最敬礼を適当に無視しながら、教皇は後ろを振り返り御付の神官=枢機卿に今後の事を指示する。

「勇者達が眼を覚ましたら我の執務室に通すが良い。 だが無理をさせる必要は無いぞ」

 枢機卿はその場に立ち止まり恭しく最敬礼で教皇を見送る。

「仰せのままに、猊下」


 この世界を祝福するように豪華な回廊に太陽の光が静かに射す。


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 気持ちのいい朝だった、どうしようもない空腹感が眠りが浅くなっているのを教えてくれる、瞼の中に光が射す、気持ちいい睡眠が光に邪魔され、彼は思わず身体に掛けられた布団に頭まで引き上げる。

 誰かが彼の身体を揺さぶる、寝ぼけた頭で思考にならない思考をする、揺さぶる方に背中を向け思わず本音が口からこぼれる。

「もうすこしだけ・・・・」

 それでも揺さぶる手は止まらず、母親ではないが聞き覚えのある声が彼を起こそうとする。

「お願いだから起きてよ」

 聞き覚えのある声、でも自分の部屋では絶対に聞く事のない声、同級生でそれなりに親しいが此処に、自分の部屋に居る筈の無い声、成美の焦った様な泣きそうな声。

 突然の覚醒、正人は布団を跳ね飛ばし起き上がる。

「成美! お前! 何で僕のへy・・・」

 正人は周りの風景と成美の姿に言葉を失う、そこは彼の部屋でもないし、彼女は見慣れている学校の制服でも無かった。

 そこは真っ白で天井の高いが過剰な装飾の無い四つのベットの並ぶ部屋だった、向かい側の二つベットには誰か眠っていた。

 一瞬、病院の病室かと思ったがカーテンの仕切りも無く、今の病室には当たり前の様にある端末やディスプレイも無い質素な部屋がここが病室ではないこと物語っていた。

 そして一番、場違いな物が彼の前に在った、彼女、成美の着ている服が学校の制服でも私服でもないコスプレの様なファンタジーの衣装だった、良く見ればその服は彼らが最近、遊んでいるVRMMO[ワールド]で彼女が着ている服にソックリだった。

「コッ コスプレの会場か?」

 正人は現実逃避気味に現状で一番、現実的で一番ありえない状況を尋ねた、何故なら彼女にその手の趣味は無いのだから。

 成美は力なく首を振りながら不定する。

「うんうん。 ゲームの中でも、コスプレでもないよ。 現実リアルだけどリアルでは無いみたい・・・」

 正人は無言で彼女の次の言葉を待つ、彼女は力なく笑いながら彼の姿を見ながら。

「正人君だってコスプレの趣味は無いでしょ」

 そこで彼は初めて自分の姿を確認した、彼の眼には鎧下の衣服に身を包んだ自分の姿が映っていた、ベットの脇のテーブルには彼がゲーム内で装備していた鎧一式と武器が置かれていた。

 言葉の無い彼に、成美はテーブルの脇まで歩いていって鞘に入った剣を手に取り彼に差し出した。

 正人は思わず剣を受け取りその重さに驚きながらもう一度、彼女の方に視線を送る。

「その剣、たぶん本物だよ、刃も入っていると思う」

 彼は手の中の剣を凝視し、恐る恐る剣を半身だけ鞘ばしる。

 そこにはゲームとは違う、鈍い輝きを放つ刀身が彼の顔を写していた、ほんの少し刃に指を当てる、鈍い痛みと共に血が少し流れ、そのゲームではあり得ない痛みが彼を現実へと引き戻す。

 成美は傷ついた彼の手を取り、短い詠唱を呟き【精霊の癒し】を施す、彼の指から急速に痛みが遠のく、正人は傷一つ無い自らの手を見つめながら。

「魔法が使えるのか・・・」

 彼女はベットの脇に腰を下ろしながら。

「使えるのは魔法だけじゃ無いみたいよ」

「ゲームでもなく現実でもない、そのくせ魔法が使える世界」

「・・異世界・・」

「・・・・・」

『異世界』その言葉を出したら二度と現実に戻れない気がして避けてきた言葉を、成美はあっさりと言葉にした、驚くような衝撃も無くその現実は彼らの中に融けて馴染んでいった。


 マサト ナルミ セイジ ヨーコの異世界での一日目がこうして始まった。



正人達はまともな異世界ものなら主人公です。


マサト達のスペックは、

 マサト(正人) 16歳 Lv80 戦士  / 騎士

 ナルミ(成美) 16歳 Lv83 魔術師 / 精霊使い

 セイジ(誠司) 19歳 Lv87 盗賊  / 狩人

 ヨーコ(陽子) 14歳 Lv75 神官  / 僧兵

この世界では十分強いですけど、はっきり言って彼らは雑魚です。



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