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国のつくりかた 会談

ちょっと真面目な話。



「こちらです」

 扉を先には、昼前の太陽の光が四つのアーチ状の硝子扉から漏れていた、天井には豪華なシャンデリアが不思議な光を放ち部屋の中は決して暗くは無かった。

「こちらの部屋で、お掛けになってお持ちください」

 案内してくれたメイドが一礼をして返事を待たずに去っていった。

 伯爵令嬢であるエイレリアを蔑ろにされたと思ったのか。

「無礼なメイドですな」

 護衛の一人が憮然とした表情で思わず呟く、それを横目で見ていたもう一人の護衛が肩を竦めながら諭す。

「仕方がなかろう、彼女らの主人は彼らであって我々ではないのだから。 それはそうとユイット卿もう少し場を弁えぬか」

 そう言いながら部屋の中に踏み入れる。

 エイレリアと護衛が通された部屋は非常に凝った造りの部屋だった、中央には重厚の造りの楕円形のテーブルが置かれ二十脚ほどの椅子が周りを囲んでいた、絵画なども飾られてはいるが壁は薄いクリーム色で統一されており落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

 彼女は手近な椅子の腰掛けながら周りを見回す。

「見事な造りですね・・・」

 その部屋を一目見るなりエイレリアはこの部屋が優れた物であることを見抜いた、今時の城の様に石材がむき出しの壁でもなく、貴族の館の様に過度な装飾が施されているわけでもない、無駄な装飾をそぎ落とし、それでいて貧しく無い、絶妙な美的センスで纏められた部屋だった。

「このテーブルは幾らくらいするのでしょうか」

 護衛の騎士が椅子の一つに腰掛けながら、まるで鏡に使えそうなくらい磨かれたテーブルを傷つけない様に恐る恐る指先で触る。

「ふんっ、セーズ卿は何をそんなに遠慮しているか」

 先ほどから気に食わないのか護衛のユイットがそう言いながら手甲に覆われた腕をテーブルに乱暴に乗せる。

 その音が思いのほか部屋に響いた、セーズは同僚の乱暴な態度に眉を顰めながら嗜める。

「ユイット卿、もう少し立場を考えた方が宜しいのではないのか」

 ユイットはその下手な態度が気に食わないのかさらに熱くなる。

「何を遠慮する必要がある! 俺達は伯爵家の使者として来ているのだ!」

「だが我々は使者ではない! 只の護衛だ!」

「同じことよ!」

「二人ともいい加減にしなさい」

「「!」」

 言い争いを始めた護衛の騎士をエイレリアは諌める。

わたくし達は争いをしに来ているのではありませんよ」

 彼女は硝子扉から見えている庭から視線を外さずに二人を淡々と叱責する。

「申し訳ありません!」

「申し訳ありません! しかし、畏れながらエイレリア様の扱いがそのあまりにも・・・・」

 ユイットの弁明を、彼女は手で制しながら。

「ユイットは私が伯爵家の者に相応しい扱いを受けていないので憤慨していたのですね」

「あっ その~」

 彼女は昨日の騒ぎや大浴場の設備を思い浮かべながら苦笑。

「構いません、私の存在や伯爵の称号など、彼らに比べたら大したものでは無いのですから」

「しかし!」

《コンッ! コンッ!》

「失礼します」

 先ほどのメイドが扉を開けて脇に待機する。

「「?!」」

「それより来たみたいですよ、この宮殿の主が・・・」


 メイドに先導されて部屋に入って来たのは典型的な田舎の名士といった感じの中年の男性と田舎臭い格好をした二十代の美青年、そして、質素な格好ながら非常に仕立ての良い服装のごく普通顔立ちながら妙に迫力と存在感のある青年と、彼に付き従う揺ったりとした異国の衣装を着た可愛いらしいが神秘的な女性。

「お待たせいたしました、なにぶん朝から立て込んでまして」

 全員の代表らしい青年が挨拶をする。

「いえ、こちらこそお忙しい所お時間を取らせてもらいありがとうございます」

「そう言ってもらえれば助かります。 先ずは改めて自己紹介から始めたいが宜しいか?」

「ええ、お願いします」

「私は、この白亜の宮殿に住人「アダマス」のリーダーでカズm・・・・・


------------------------------------------------------------


「絶対者」又は「超越者」エイレリアは、その言葉を思わずにはいられなかった、カズマと名乗った青年とサクラと名乗る女性は、魔人ではなく異世界からの客人であると明かし、自らの事情を包み隠さずに説明した。

 エイレリアは彼らの話を聴き頭を抱えたくなった、護衛の二人などは言葉も無く完全に彫像と化していた。

「では、王都を消し去ったのは貴方であると?」

 彼女は何とか言葉は捻り出して言葉を続けた。

「はい」

「何故ですか・・・」

「とっ言われますと?」

「何故、王都と陛下を消す必要が有ったのですか?」

「討伐軍を皆殺しにした方が良かったと?」

「それは・・・」

 出来ないとは思わない、おそらく王都を消すより簡単であったのだろう。

 今まで黙っていたサクラと名乗った女性が静かに話し始める。

「私達もこの村には恩が有ります、攻められたら無抵抗と言うわけにはいきません、あなた方の臣民の血が万と流れるでしょう。 流血の責はその流血を招いた者が負うべきです。 違いますか?」

「・・・・」

 それまで黙っていた村長が静かに語りだす。

「エイレリア様。 この村は、いえこの近辺は彼らのおかげで非常に助かっております、願わくばより良い関係を築けますようお願い申し上げます」

「私は・・。 私達はあなた方に怨まれてはいないでしょうか?」

 彼女は怯える子供のように、迷子の子犬のように彼らに問うた、怨まれていたら彼女らに抵抗の術は無いのだ。

 カズマは、そんな彼女を安心させるように。

「そんな事はありませんよ、我々は差し伸べられた手を払うことは致しません。 もちろん代価は要求しますがね」

 エイレリアは彼の最後の冗談に少し笑いながら、顔を上げて、勇気を出し。

「では・・・・


 後に騎士セーズはこの会談の様子を書き残す事となる。


 後世、その書を基に歴史書が記された。


【アダマス】と呼ばれる現人神達が最初に歴史書に出現した瞬間として。


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 会談の結果、エルタスの村から街道の整備や魔道技術がアルトニース伯爵領に供給され、その見返りとして伯爵令嬢エイレリアが村に大使として残る事となった。


 一年後、アルトニース伯爵夫人が村に移り住み、これを期に領都をエルタスに遷都する。

 村長の息子セオドラは、エイレリアと婚姻し伯爵家の家督と爵位を相続する、アルトニース伯爵家は、この時を持ってエルタス伯爵家と名乗る事となる。



真面目な話は書いてて疲れる。


次回は、エイレリアのほのぼの日常編の予定。

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