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国のつくりかた 迷子の竜

出会いは突然なのです。

「大変だ!!」

 まだ日も昇らない時刻に、チヒロの大声が白亜の宮殿中に響き渡り、まだ眠っている全員を順番に叩き起こし始めた。


「それで」

「いや・・・。 その・・・・」

 簀巻きにされ玄関先に逆さ吊りされた彼にもっともな問いが全員から発せられた。

「落ち着いて、始めから順序立てて言って下さい」

「分かった・・・、実は」

「「実は?」」

「ロックウッド・マーカス・アルフレッド三世が居なくなったんだ」

「「は~? 誰だそれ?」」

 突っ込みの声が見事に揃った。


 ちょっと時間をさかのぼりチヒロの回想。

「皆! 元気かな♪」

 まだ暗い竜舎の中でチヒロの陽気な独り言が漏れていた、まだ寝ている羽竜の部屋を一つ一つ確認して、何やら手元の端末をチェックしてる。

 順調にチェックしていた時、空の部屋の前で立ち止まった。

「はて?」

 部屋の表札には『ロックウッド・マーカス・アルフレッド三世』と書かれていた。


 ロックウッド・マーカス・アルフレッド三世、チヒロが渡り竜をアレして、コレして、ナニを施して誕生させた羽竜である。

 ま~、ぶっちゃけるとこの世界のニワトリだと思えば間違いない、全長10mも無ければ。

 回想終了。


「・・・とっ、言う訳です」

「なるほどネ・・・」

 カズマは深い溜息を付き、後ろに控えていたイサベラの方に振り返り。

「イサベラ、タマは?」

「ここにいますよ」

 手の中でまだ眠っているタマを撫でながら返事をした。

「起こしてくれ」

「はい」

 イサベラが白い飛び猫の頭を指先で優しく叩き起こす、タマは半分、眠りながら。

「ふみゃん~」(何ですか~)

 念話での会話。

「朝早くからすまんが、敷地の外で一番近くにいる羽竜を探してくれ」

「ふみ・・・」(りょうか~)

(村の近くにいるよ~)

「ありがと。 悪いな、もう一眠りしてくれ」

「にゅ~」(どういたしまし~・・・ く~)

「と、言うわけだ。 何か心当たりは?」

 今だ逆さ吊りのチヒロに尋ねた、彼は少し考えてから、何か思い出したように。

「あっ! そういえばセオドラの処かな・・・」

「セオドラて・・・。 村長の息子さんの?」

「そっ! 良く手伝って貰っているから、ロックウッド・マーカス・アルフレッド三世も懐いているよ」

「なら・・・」

「心配ない」

「ですネ」

「二度寝します・・・」

「わたしも・・・」

 全員が邸宅の中にぞろぞろと引き上げていく、再び静寂が辺りを覆う。

「おい~。 誰か~、解いてくれ~」

 逆さ吊りのチヒロを除いて。


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 昼夜を問わず走り続ける馬車の中で重苦しい溜息が漏れた。

「は~」

 アルトニース辺境伯の令嬢エイレリアは憂鬱であった、思わず溜息も漏れよう。

 父で、国の重鎮でもある伯爵が王都で女を作って金を使い込み、例の騒ぎで行方不明、その知らせを聞き母は臥せてしまう。

 母譲りの綺麗な金髪が馬車の中で突っ伏していた、再び溜息。

「は~。 何で私こんな所にいるの・・・」

 本来なら領都で母を助けて領を切盛りしなければいけないのに、何ゆえにこんな辺境の村に向かう為に昼夜問わず馬車に揺られているのか。

 勿論、頭では理解している、混乱している領内を纏める為だ。

 エルタス村は王国から切り離されたり、討伐軍が組織されたり、王都が消失したり、はっきり言って訳が分からない。

 ついでにエルタス村は周辺の四つの村をその勢力下に治めた、と言う噂が流れている。

 むろん、この様な不確実な噂で伯爵令嬢であるエイレリアが僅かな護衛を引き連れて動く事など在り得ない事である、それなのに何故、直接出向くのか。

「あの納税官の事が此処まで尾を引くとわね・・・・」

 そう、あの存在が抹消された小役人と護衛のように、本当の事情も知らない使者を出して無礼な行いをした時には、考えるだけでも寒気がしてくる。

 だったら、最初から事情が分かっていて、ある程度の決定権がある人間が出向いた方がいいと言った事になる、現状で全ての条件を満たしているのは伯爵夫人と令嬢だけであった。

 消去法の結果、エイレリアが向かう事となったのである。

 しかも横槍が入らない内にである、王国内が混乱している為、のんびりしていると横から掻っ攫われる可能性があったので、馬車に押し込まれて蹴り出されたのである。

「あ~もう嫌~!!」

 備え付けのテーブルに突っ伏し淑女に有るまじき台詞が漏れてくる、というか既に淑女の面にひびどころか割れて欠片になっていた。


 エルタス村の近郊で馬車が急停車するまで彼女はこのままであった。


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 ギルダー村長の息子セオドラの朝は早い、村長の息子でありながら農業に精を出しているからである。

「う~ん。 今日もいい天気だぺ!」(?)

 この辺鄙な村でも滅多に居ない訛りのある典型的な田舎者で農家である、これで汗臭いダサい男であったなら完璧な田舎者だが・・・・

 彼は〇オナルド・〇ィカプリオとタメ張る美形であった、両親は実に平凡な顔立ちである。

 だからと言って似ていない訳ではない、片親ずつ隣に立てば目元や口など似ていて親子だと理解できるのだが、3人並ぶと誰もが首を傾げるのだ、そう、両親の良い所を取って絶妙なバランスで配置するとまさに彼になるのである、つまり奇跡の範疇をぶち超えた容姿をしているのである。

 年の離れた妹などは比較的平凡な顔立ちで逆に両親を始め周囲の者を安堵させた程であった。

「さっ! 牛さの様子でも見てくんだかな!」

 誰もが魅了される顔から、誰もがドン引きする訛りの言葉がもれでる。


 彼が村の南の郊外にある共同牛舎に向かう事となる。


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 ロックウッド・マーカス・アルフレッド三世(長いよ)は朝の散歩をしていた、途中でお腹が空いたのでロックワーム(全長10mのミミズ)を見つけて食事。

 村に出たが家畜を襲ってはいけない、畑を荒らしてはいけないと躾けられているので大人しく街道を南に歩いてゆく。

「キュール?」

 前方から見慣れない一団を発見、好奇心の赴くまま突撃。


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 後に記されるエルタス建国史にこうある、

『不出世の英雄にして建国の祖セオドラと、彼を終生支えたその妻アルトニース辺境伯令嬢エイレリアは朝露の中で生涯の伴侶と出会う』と・・・・




エルタス建国史は美化200%位になっていますよ。

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