異世界のはじまり 冒険者 怒りの野菜畑 反撃
ライナーが手に入れた片手剣は
【ヴェジタブル・スレイヤー(仮)】
ショートソード 片刃 40cm
攻撃力 -255 / 植物系には即死 ただし樹木は除く
命中率 -255 / 植物系には必中 ただし樹木は除く
特殊 全方位知覚(植物限定)
はっきり言って使え無い、包丁より使い道無し(笑)
ライナーは戻って来た、野菜畑に・・・・
傷つき、薄汚れ、疲れきった身体を引きずりながら。
その手には片刃のショートソードを持ちながら。
一歩、畑に足を踏み入れる。
何処からとも無く、真正面から赤い何かが高速で飛んでくる。
彼は慌てず剣を一振り、赤い物体、否、トマトが見事なくし形切りされた。
一瞬の静寂の後、激戦が始まった。
全方位から打ち出される、ジャガイモ、トマト、玉葱!
複雑な機動を取りながら飛んでくる、人参、トウモロコシ!
大地を耕しながら迫る、巨大南瓜、巨大キャベツ!
だが、しかし。
彼に当たる事は無い、トマトを身体を捻ってかわし! 飛び上がりジャガイモを薄切り! 玉葱をスライス(ちょっと涙目)!
滞空時に、オールレンジ攻撃してくる人参を短冊切り! 近距離で粒を炸裂させるトウモロコシを炸裂する前にコーンに解体し着地、留まる事無く駆け出す。
駆けながら迫り来る巨大南瓜をジャックランタンに加工し(中身をくり貫くのを忘れない)、すれ違いざまに巨大キャベツを千切り!
《見える! 全てが見える!》
ライナーには全周囲が、まるでスローモーションの様に観えていた、まるでどこぞの新型人類の全方位知覚や遺伝子改造人類の種割れ現象の様に。 彼は今、間違い無く人類を半分辞めていた! 人間は空中に10秒以上滞空出来ないし、滞空中に機動変更などできない、某機動兵器みたいな事を生身でやっているのだ。(アダマスの面々は除いて)
それはそれとして、話を戻そう。
周囲に爆発と爆音が響きわたり、捕らえられていた青い牙の仲間や冒険者達は檻の中で歓声をあげる。
あっ! トマトぶつけられた。
煙が立ち昇り。
爆音は森中に響き渡った・・・・・・・
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「間違い無いか!」
「はい! 二度確認しました!」
二隻の飛空船は編隊を組み、森の上を滞空していた。
トライト中隊長は不敵に笑い、直ちに命令を発した。
「よし! 二号船に連絡しろ! 直ちに進路変更! 陸戦用意!」
「ハッ! 了解しました!」
トライトの後ろに控えていた副官が彼にどうでもいい報告を入れた。
「中隊長! 中継地点で大臣が何か喚いていますが!」
彼は後ろを振り返りながら、人を食った笑いを浮べ言い放った。
「あのクズ(大臣)には周囲の危険を排除しに行く、とだけ言っておけ!」
副官はトライトの意を汲み、にやりと笑いながら。
「ハッ! クズはゴミ箱に居ろと言っておきます!」
周囲で笑いが起こる。
「中隊長! 見えて来ました!」
操縦士の声につられて、トライトが船の下に視線をやると、そこには。
拓けた森の一角で一人の男が此方を見上げていた、広場は所々から煙が立ち昇り、多くの面積がまるで耕された様に地面が露出していた。
真ん中辺りに樹木が密集していて窺い知る事は出来ないが、樹木の陰から一人、二人と行く人かの人が男の下に集まっていくのが見えた。
操縦士の声が響く。
「着陸します! 捕まってください!」
若干の揺れの後、舷側の扉が静かにゆっくりと開く。
「第一! 第二分隊は周囲を警戒! 第三分隊は負傷者を救助しろ!」
副官の鋭い声が響く。
トライトは静かに舷側から大地に降り、正面にいる青い牙の青年と隣にいるリーダーに声を掛ける。
「すまない! 少し遅かったかな!」
リーダーは全員を代表してトライトに軽い調子で返事を返した。
「いえ! 時間より早い位ですよ」
リーダーはトライトの苦労がどれ程のものか判っていた、大臣の命令違反、無断出撃、彼のような騎士団のエリートに辛い決断をさせてしまったのだ。
男達は万感の思いを込めて向かい合う、多くを語りたいが言葉が出ない。
刹那で、永遠の沈黙は突然、破られた。
「中隊長! 救助出来た冒険者は青い牙を入れて13人だけです!」
行方不明の冒険者は5組17名いる、残り9名が今だ所在不明だ、このまま探すべきか・・・
「不明勢力! 北方より接近!」
トライト中隊長は苦渋の決断をする。
「一旦! 撤退する! 全員を船に乗せろ!」
「しかし! それでは!」
ライナーは食って掛かろうとするが、それをリーダーが止める。
「気持ちは判るが、現状を正しく認識しろ! 俺達は本来の目的を達成出来ていない」
本来の依頼はエルタス村にある白亜の建物とそこに住む住人の調査、彼らはまだ入り口にも立っていない、本来、予定に無かった騎士団と飛空船を出してしまった。
「すまない。 今は我慢してくれ」
「・・・・はい」
「撤収する! 全員搭乗しだい離陸しろ!」
「ハッ!」
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中継地点
そこは昼間でも日光の光が全く入らない暗い部屋の中、僅かな照明の下、直立不動の人物がその部屋の主に報告した。
「大臣、御報告します。 トライト中隊長が冒険者を救出した模様です」
人間性の感じない無機質な声が淡々と部屋に流れた。
「ふんっ 先が見えない馬鹿どもが!」
真昼間からワインを飲んでいる大臣と呼ばれた男が皮肉げにかえす。
「それで、[黒餓]の連中は何処まで来ておる?」
「既に所定の位置に付いております」
再びワインをあおる。
「ふんっ 不運なものだな全員死亡とは」
「はい」
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???
「隊長、命令に変更無しだそうです」
「そうか、命令を伝えろ全員を殺せと」
「了解しました」
To be continued
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次回予告
全てが終った
ライナーは全てを取り戻したのだ
彼らは船上の人となる
だが、魔手は迫っていた
黒餓とは何か
明かされる大臣の真の目的とは
ライナーは幸せを掴む事が出来るのか・・・
次回 最終回 「冒険者 怒りの野菜畑 帰郷」
教訓:ご近所で騒いではいけない、怖い人が怒鳴り込んでくるから。
さて、ライナーの戦闘シーンは某無双系のアクションゲームをノーミス・ノーダメージでクリアすれば大体似た様な場面に成るので割愛させと貰います。
救助されない冒険者は若干あとの伏線です(回収できるかな・・汗)




