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異世界のはじまり 冒険者 怒りの野菜畑 前奏

これは、名も無き冒険者達の記録である。

彼らがこの大地をいかに、駆け、泣き、笑ったのか、その全てを残そう・・・・


なんちゃって(笑)

今回は映画「〇ンボー」的なストーリーでお贈りします。

「つまり。 10日間の間に冒険者5組17名が消えたと言うのかね?」

イースオーリ王国、王都イザイアの何処とも知れない場所、照明が最小限で薄暗く相手の顔も良く見えない部屋の中で複数人の男達が深刻な話し合いをしていた。

「はい、大臣。 我がギルドとしましては、これ以上の人員の投入はリスクが高いと判断するしだいです」

「ふむ・・・。 しかし、事前の協定では・・・」

「むろん存じ上げております。 ただ、この依頼だけに冒険者を掛かりきりするわけにも行かず、ギルド単独での人員投入は既に限界なのです・・・」

 大臣と呼ばれた男は少し考えてから結論を先に告げた。

「ふむ・・・。 我々の支援が必要と言うことか」

「はい」

「しかし、騎士団や魔術団から人を出すのは・・・・」

 大臣は王国所属の騎士や魔術師を派遣するのには難色を示した。

 騎士団と魔術団の本来の任務は、戦争や街と街道の治安維持であって、探索や調査は不得手だからである。

 勿論、ギルドの職員もその様なことは百も承知である、慌てず騒がずに。

「はい。我々も騎士や魔術師を貸してくれとは申しません、調査人員の方はギルドから厳選した冒険者を派遣します」

「つまり・・・」

「私達に必要なのは物質と武装、そして輸送関係なのです」

「成る程な・・・」

 大臣は納得しながら、今出せる装備を頭の中で並べていく。

 王国所属の騎士や魔術師には帝国ほどではないが最新の武装や魔術装備が支給される。

 職員は少々言いよどんでから。

「それと・・・ 出来ましたら飛空船も出していただければ・・・」

 飛空船、空を飛ぶ乗り物。

 帝国ではこの船を多数揃えて独自の兵団を組織しているが、王国ではようやく少数隻、配備して実証している段階である。

「馬鹿な! あれを高が冒険者の調査に出せというのか!」

 大臣の連れがたちまち色めき立ち怒鳴りだす、大臣はそれを手で制しながら。

「まあ、待て」

「どうでしょうか・・・・」

「そうだな。 王国としては問題はないが・・」

「では!」

 ギルド職員の顔に喜色が浮かんだが、大臣はそこで強烈な提案をした。

「だが、飛空船を出すと成るとギルド主導という理由にはいかない。 表向きはギルドの主導でも、我々の指揮で動いて貰う事になる構わないか?」


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 彼の名はライナー。 中堅冒険者パーティー「青い牙」のメンバーの戦士である、最近は金銭を貯蓄するようになった、仲間からはそのことで良くからかわれるが、将来の事を真剣に考える様になった。

 理由は、同じパーティーの女魔術師ユナの存在だ、最近、親しい間柄になった、その為か出切れば纏まった大金を手に引退を考えるようになっていった。

 仲間にはまだ秘密にしている様だが、実際は2人の普段の態度でバレバレで温かく見守られている。


 そんな中、リーダーが高額の依頼を持ってきた、内容は機密、一定期間の守秘義務が発生するギルドからの依頼、青い牙のように探索や調査が得意な冒険者を厳選した声を掛けているようだ。

 胡散臭いが報酬は非常に高額で、現場から持ち帰ったものは自分達の物にして良いという破格の条件である。

「どうするんですかリーダー?」

「少々胡散臭いが、如何やら本当の依頼主は王国らしい・・・」

「本当ですか?」

「ああ。 この話を持ってきたギルドの奴がそれとなく匂わせていった」

「では・・・」


------------------------------------------------------------

アルトニース領、領都アルトニースの貸し倉庫の中。


 青い牙のメンバーは驚いていた、依頼を受けてから直ちに馬車に詰め込まれ昼夜を問わず、馬の交換しながら連れてこられた先では。

 その大型倉庫には最新の魔法剣に魔道装備、膨大な支援物質が積み上げられ、三隻の小型飛空船と一隻の中型の飛空船が鎮座していた。

 そして、国の重鎮である大臣と騎士団の中隊長を始めとする大勢の人員が待っていたのだ。

 休む暇も無く、大臣から大体の目的を説明された

「村の調査ですか?」

「そうだ。 具体的なことは中隊長から聞きたまえ。 わしは何かと忙しいでこれで失礼する」

 何のために居たのか判らないが、言いたいことだけ言ってさっさと出て行った。

「すまないな。 大臣はあまり長旅はしないので一寸気が立っているのだ」

 気のいい人らしい中隊長が、本当にすまなそうに話しかけてきた。

「さて、私は今回の作戦で全体の指揮を執ることになり騎士団から派遣された中隊長のトライトだ」

「さて、早速で悪いが具体的な説明をさせてもらう」

 ・ 

 ・

 ・

「此処までの説明で何か質問はあるかね?」

 トライト中隊長は倉庫の一角で地図と書類を示しながら一通り説明を終え。

「つまり・・ その白亜の建物とそこに住む住人を調べればいいのか? 何で我々の様な・・ その・・」

 リーダーが代表して皆の疑問を代弁した、その様な簡単な仕事、自分達の様な中堅冒険者に頼む仕事ではない、駆け出しのパーティーに依頼する様な仕事である。

「その疑問は尤もだ。 だが、実は過去半月の間で5組17名の冒険者が調査に向かい、未帰還になっている」

 その場にいた全員が息を飲ぬ気配、それに構わずトライトは話を続ける。

「中には君達の様な中堅冒険者も含まれている」

 暫し絶句 トライト中隊長は地図を示しながら説明を続け。

「君達には、小型飛空船で目標地点から森の中を歩いて1日の距離から接近してもらう そこから更に3日の距離を置いて中継地点を設ける」

「我々、支援の部隊は基本的にこの中継地点を動くことは無い」

「俺達に対処できない問題が起きた場合はどうするんだ?」

「基本的には撤退してよい、通信出来る魔道具を支給するのでそれで連絡をくれ。 逃げるのが困難な場合は我々が支援に向かうことになる。 だが」

 此処でいったん言葉を切り 真剣な表情で。

「今回はあくまで調査であって、余計な事はしない様にして貰いたい。 無事に情報を持ち帰るのが最優先の目的である」

 トライトは全員に言い聞かせるように強い口調で言い切った。

「質問は」

 青い牙のメンバー全員が頷くのを見て。

「なら直ぐに準備してくれ、この倉庫にある装備はどれでも好きに使ってくれ、無い物は直ぐに用意させる。 日が暮れたら直ちに出発するぞ」


------------------------------------------------------------


 翌日、エルタス村近郊森の中 夕刻。

「いいか! 三日後だぞ! 俺達は三日後の朝に此処に来て日が暮れたら飛び立つ!」

 小型飛空船の操縦士が搭乗口から半身を乗り出し大声で地面に降り立った冒険者達に声を掛ける

「了解だ! もう行ってくれ! 直に夜になる!」

 青い牙のリーダーが手を振りながら大声でかえす。

「無事に戻ってこいよ!」

 飛空船は徐々に高度を上げながら飛び去って行った、リーダーは飛空船を見えなくなるまで見送った後、メンバーに振り返り出発の合図する。

「さっ! 行くぞ」


------------------------------------------------------------


同日同刻、白亜の宮殿の食堂。

 夕食の準備をしながらサクラが帰ったばかりのカズマに声を掛けた。

「カズマ、村長なんだって?」

 椅子に座りながら、首を捻りながら。

「う~ん・・ 村人が畑の近くの森で奇妙なモノを見たんだってよ」

「奇妙なモノ?」

 椅子に座りながら、先ほどの村長との会話を思い出すように宙を見ながら。

「ああ・・ 植物みたいな野菜みたいな物が動物みたいに動き回っていたとか・・」

「何ですカ! そレ?」

 皿を出すのを手伝いながら、エレェリアが突っ込みを入れる。

 エレェリアが突っ込みに苦笑を浮かべながらも。

「いや~ 何と言われても。 分からないから何か心当たり無いかて・・・」

 言いながら視線がチヒロに向ける。

「さあ~。 何だろうね?」

 明後日の方を見て、わざとらしくすっ呆けるが、カズマは更に追求する。

「森から出てこないから、取り合えずほうっておくらしいが」

 全員の視線がチヒロに集中する。

「被害が無いなら良いんじゃないか!」

 声が上ずり、暑くも無いのに汗ダラダラ。

「何か言いたい事は?」

 カズマの珍しい氷点下の声。

「別に」

 最後まですっ呆ける事にしたらしい。

「・・・」

「・・・」

「吐け! 何を創り! 何を解き放った!」

「創ってないし! 解き放ってもいない!」

「じゃあっ! 何だ!」

 一切やましい事なんかないといった表情と態度で爽やかに言い放つ。

「勝手に進化して! 勝手に逃げ出しただけだ!」


 その場にいた全員から総突込み。


『『偉そうに! 言うな!』』

 


次回予告

 鬱蒼と茂る森を進む青い牙

 逃げ出してきた捕虜

 迫り来る異形の追っ手

 次々と倒れる仲間達

 その身を朱に染め盾となった恋人

 そして、大臣の非情なる決定

 ライナーの怒号が虚しく森に響くのだった

次回 「冒険者 怒りの野菜畑 仲間」


死人は全くでないのでご安心を(笑)

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