異世界のはじまり 会議は踊る、されど・ えっ! 海!
原文 会議は踊る、されど進まず
カズマはヘタレである。
イースオーリ王国、王都イザイアの王宮に激震が走った。
会議室の中は喧騒に包まれていた。
「だから!・・・・・・」
「いや! それなら・・・・」
「そもそも・・・」
イースオーリ王は、大臣達の発言を聴きながら思案していた。
会議は紛糾し、重臣達の意見は纏まらず、決定権を持つ国王のいまだ沈黙を守っている、そもそも会議が荒れている原因は帝国の大使から齎された情報と王都に流れている噂による。
『王国の辺境の役人が帝国の帝城に突っ込み破壊した』と言った情報と、
『アルトニース領の辺境の村エルタスに異界から魔人が召喚され村を支配している』と言う噂。
件の役人と兵士は帝国との複雑怪奇な交渉の末、我が国から存在を抹消した。
帝国側も王国に対する強力な外交カードを手に入れたので今の所、沈黙を守っている。
問題は噂の方であった。
件の役人がアルトニース領エルタス村の納税官で在った事が魔人云々と言った噂に信憑性を与えていた。
重臣達の意見も直ちに討伐するべきだと言う強行意見が大勢を占めるが、先ずは友好的に接して様子を観るべきと言った少数の慎重意見も出ていた。
国王自身の考えとしては強行意見に近かった、帝国との交渉で王国がどれほどの外交的・財政的な損失を蒙った事か、その連中が財宝を持っているのなら国の損失分を弁償させるの当然の事であろう。
だが、連中の情報は一つも無い、魔人どもが強力な力を持っていたら。
無論、負けるとは思わないが、損害が出るのは好ましくない、尤も少々の損害は致し方ないが。
容易に結論など出せる物ではない。
今だ喧騒収まらぬ会議を見て、国王はおもむろに片手を挙げて議論を制した。
「その方らの意見は良く分かった」
「わしの考えとしては、討伐する方が正しい意見に思える」
強行論の重臣達は明らかに喜色を浮かべ、慎重論の者達は落胆を隠せなかった。
「では陛下! 早速、動員w・」
「まあ、待て。 強硬論は良いが、その魔人共の情報が少なすぎる」
重臣達はお互いに顔を見合わせながら、困惑をした表情を隠せなかった、王はそんな重臣達の様子に苦笑しながら。
「ふっ。 どうせ戦をするなら万全な準備するべきだろぅ?」
「先ず、冒険者達を雇い、偵察に出せ。 依頼内容はその方らに任せる、力量を探らせるのだ」
そこで一旦言葉を切り。
「もっとも、仕上げは国軍で討伐しなければ国の利益が減るがな」
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王宮で物騒な会話が交わされている丁度、同時刻、エルタス村の白亜の宮殿では。
「そうでス! 海に行きましょウ!」
「「はぁー?」」」
他の者が全員絶句するのをお構いなく、エレェリアが唐突に勢い良く立ち上がり宣言した!
「突然、どうしたの?」
「エレェリア様。 体調は大丈夫ですか?」
「サクラ。 昼飯に何か変わった食材使ったか?」
「えっ~と・・・・」
『ミストレス。 ベットルームニ、オハコビシマショウカ?』
何故か言いたい放題。
彼女は頬を膨らませながら。
「違うんでス! 違うんでス! 厳重抗議でス!」
「じゃあ、何?」
若干、恥ずかしそうにしながら小声で
「実は・・・・」
全員が耳を澄ます。
「実は?」
少々、言いよどんでいたが、覚悟を決め!
「お魚が食べたいでス!」
「お魚?」
「ハイ! 焼き魚が食べたいでス! お刺身が食べたいでス! お寿司が食べたいでス!」
エレェリアは外国人であるが、日本食にアクセル全開であった!
「そういえば・・・・」
「この頃、食べていないね・・・」
「ついでに、生簀でも造るりましょうか?」
「サクラ姉! 天ぷらも食べたい!」
「主よ。 鮭はこの世界にもいるのか?」
ひとしきり、お魚の事で盛り上がる一同。
喧々諤々。
騒ぎがひと段落してから、カズマが最終的な決断を下す。
「それじゃ~。 明日、海に行くか? チヒロ、畑は大丈夫か?」
「半日くらいなら問題ない」
「サクラ。 カフェはどうする?」
「今日、村長に言って。張り紙しておくわ」
「なら問題ないな。 明日の朝、出発な全員、準備しておく様に」
カズマはさっさと話を切り上げて自分の部屋に戻ろうと、急いで立ち上がろうとしたが。
「ねぇ♪ 何処に行くの♪」
サクラは笑顔で、彼の肩をガッシと捕まえ無理やり座らせた。
「え~。 明日の準備を・・・」
「ま・だ・は・や・い♪」
「その・・・・」
彼はヘタレである、既に逃げ腰・・・。
「私さ~。 水着持っていないのよ。 海と言えば水着でしょ♪」
サクラさん、笑顔が怖いです。
「そっそれなら! 他の人に!」
「この中では、あなた以外、作れないの♪」
カズマ ・メインジョブ 軽戦士
・サブジョブ 装備職人
符術師
「いや! しかし!」
「喜びなさい♪ 女の子達のスリーサイズ間近で観られるんだから♪ イサベラそっち持って♪」
「ハイ♪」
両脇をサクラとイサベラに抱えられて引きずられていく。
「ちっ ちょっと待って!」
なお、必死に抵抗するが。
「安心しなさい♪ 今回は他の女に目線をやっても怒らないから♪」
「カズマ様♪ よろしくお願いします♪」
『バッタン』
ドアが閉まる、暫しの沈黙。
呆然とするも今後の方針を確認する他の面々、主の女性陣。
「エレェ姉。 あたし達どうしようか?」
「そうですネ・・。 サイズとデザインだけ伝えて作って貰いましょうカ・・」
「それしか無いですね・・・。 海で水着無いのも寂しいですし・・・」
「それじゃアー。 ミラとアーリアも一緒に来なさい向こうでデザイン決めまショ!」
「・・・・・・」
「分かりました」
女性陣が出て行った談話室で残った、男性陣は・・・
熊の獣人の影丸が首を捻りながら主であるチヒロに尋ねた。
「主よ。 水着とは必要なものなのか?」
「いや~。 影丸には必要ないよ、熊だし・・・」
「主は?」
「オレは今回は釣りが主目的だからいいの」
「左様か・・・」
「左様だ・・・」
物語の季節は初夏あたりですが、赤道まで行く予定なので関係ないです。
生簀と言う名の湖?が出来る予定です。




