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異世界のはじまり 住処は一日にして成ら・・・

今回も彼らは大人しいです。

その村は、平凡な村である。


草原と森の間に、辺境の村エルタス。


 エルタス村。 人口は約350人程の王国辺境で、農業と放牧を主な産業とした中規模の村。

 どの国とも国境は接していないが、北方の土地は山脈と深き森に閉ざされ、人と踏み入れることの出来ない魔物と魔族の領域となっている。

 そんな、長閑な村に4人と1匹の旅人が北の森から現れた。

 人間の男性2人と女性2人、そして大型で灰色の狼。

 男性2人は腰に剣を下げ不思議な光沢の鎧を纏っている、女性2人は無手でそれぞれユッタリとした上質な衣装を着ていた。

 道を尋ねた村人の問いに旅人だと名乗った彼らは、村の代表に挨拶したいからと村長の在所を尋ねた。


「言葉は通じるみたいですね・・・」

 フードを被り、長い耳を隠したイサベラが呟き。

 その呟きに対してチヒロは村の様子を観察しながら返事を返した。

「おそらく、システムに有った自動翻訳だろう。 ステータス・ウィンドウやアイテムボックスの機能が持ち込まれていたから、システム的機能も一緒に持ち込まれたのではないかな」

「なるほね。 それはそうと、カズマ。どうして4人だけで村に入ったの?」

 大型の灰狼のライオンの背に腰掛けながらサクラは隣を歩く、カズマに尋ねた。

「格好が比較的まともで大人しい姿を選んだつもりだが・・・」

「なるほ・・・。 観た感じ中世位の文明か・・・ 機械の人馬に大型の鳥、小型だけどドラゴンは確かに刺激が強いな」

「イサベラを連れて来て、ミウやエレェリアを外したのは何故だ?」

「真っ黒や純白の服が、どういった習慣になるのか観ただけじゃ分からんからな。 ついでにマイヒメに腹芸は無理だ」

 日本人としてのさがで喪服や死者の衣服を連想される黒と白の衣服の事を無意識に考えてしまうのは仕方の無いことであった。

「後は、エルフを見てどういった反応をするか・・・・」

「それで、大体の人以外の種族に対する価値観を見るという訳ね?」

「そういう事」

「見えてきました、あそこの建物のようですね」

 道の端に、石造りで小規模だが比較的立派な建物が目の前に見えてきた。

「さて。 鬼が出るか蛇が出るか・・・」

「どっちが出ても、たいして怖くないわね」

「クスッ!」



 時刻は昼過ぎ。使用人に案内され、彼らは石造りの暖炉のある結構、広い応接間に通された。

 流石にライオンは室内に入れと貰えず、玄関脇で待たされていたが。 

 そこそこ豪華なソファーや調度品から、この村が比較的豊かである事を推測しながら。

「意外と、良い部屋だな。 調度品も良い物が揃っている」

「確かに・・・」

 サクラとイサベラが調度品や絵画を物珍しそうに見ているのを横目に見ながら、カズマとチヒロは出された紅茶を飲み今後の方針について話し合っていた。

「村の様子から、裕福な村だとは思っていたが・・・」

「と言うと?」

「石造りやレンガ造りが比較的多かっただろ?」

「なるほど・・・」

 そんな会話を交わしながら、10分ほど待たされてから質素な衣服の壮年の男性が室内に足早に入ってきた。

「お待たせいたしました」

 カズマ達は立って挨拶しようと腰が浮きかけたが、それを制して。

「あ! どうぞお構いなく、お掛けになったまま結構ですよ。 お嬢さん方もどうぞお掛けになってください おや?」

 フード外していたイサベラを見て、ほんのちょっと驚きながらも。

「ほう。 エルフの方とは珍しいですな・・・。 旅人と伺っていましたが、あなた方は冒険者の方達ですかな?」

 自らもソファーに腰を掛けながら、自問自答。

「はて? この辺りでは討伐を要する案件は無かったと記憶していますが?」

 ようやく、壮年の男性がソファーに腰を掛け一息ついたので、短く目配せし、皆を代表してチヒロが挨拶を返した。

「お忙しい処、お時間をとって頂きありがとうございます。 失礼ですが村長で間違いありませんか?」

「おっと! これは先走りし過ぎましたな。 私はこの村の長のギルダーと申します」

 ようやく、それぞれが自己紹介が終わり、ゲームの事をぼかしながら他の仲間の事や、来訪の目的を簡潔に話し理解を求めた。


 ギルダー村長は時折、質問を挟みながら、説明を聞き終え。

 少し自らの考えを纏めてから、徐に口を開いた。

「なるほど・・・・。 つまり、魔法の事象に巻き込まれて見知らぬ土地に飛ばされてきたと」

「ええ。 概ねその様な感じです」

「余り驚いていらっしゃらない様ですが、この地にも過去にその様な事例が有るのですか?」

 村長は少しの間考えてから。

「そうですね・・・。 この地ではありませんが、伝聞でその様な事が、つまり、突然、人が出現したとか。 何者かが新たな技術や魔法を齎したと聞いた事はありますが・・・・」

 ほんのちょっと言いよどみ。

「「「「?」」」」

「なにぶん、この辺は田舎でして、その・・、確かな情報は中々、伝わってきません。 

 なるほど、確かにこの様な辺境の村まで伝わる情報は限られている。

 ギルダー村長は申し訳なさそうにしながら。

「そのことで皆様のお役に立てるかどうかは・・・・」

 サクラは、そんな村長の本当に心苦しい態度に若干慌てながら。

「いえ、私たちの事でそこまでして頂かなくても」

 イサベラがその言葉に追従するように。

「そうですよ。ギルダー様 私たちは今夜の泊まれる場所を提供していただければ十分ですので」

「そう言っていただければ嬉しいのですが、実はこの村には宿が無いんですよ。 泊まりに来られる方は、我が家でお泊めしていますが、皆様は10人以上と伺ったので。 村の者に協力を頼みませんと・・・・」

 チヒロは村長を安心させるように。

「いえ、その事ですが、我々は村近郊であいている土地を提供して頂ければ、宿泊施設は特に必要ありません。 どこか心当たり在りませんか? 村長や村民にご迷惑は掛けられませんので」

「そうですね・・・。 そういうことであれば・・・。 北の畑の向こう側の森付近であれば。 あそこは誰の土地でもありませんので自由に使っていただいて構いません。 ですが・・・」

「何か問題でも?」

 少々、気まずそうにしながら。

「ええ。 北の森は良く魔物が出るので、村の者も滅多に近寄りません。 その・・・」

 村長、要らぬ心配。

「ああ! そう言った事でしたら、特に問題はありません。 全員、結構腕が立ちますので!」

「そうですか! それならどうぞご自由にお使いください」

 村長はようやく安堵し提案を快諾、もっとも彼らは腕が立つ処ではないが。

 そんなこんなで話し合いの末、村長から北の森を自由にして良いといった下知を取り、村長宅を辞するのであった。

 翌朝、北側の畑に仕事に来た村人達や 彼らの事を心配して様子を見に来た村長が、北の森が切り開かれ白亜の宮殿が出現しているのを見て、暫く彫像と成るのだった。



「ねえ? マイ姉、どんな建物造るの?」

「う~ん・・・ ノイシュバンシュタイン城造りたいんだけど、良い?」

 [ノイシュバンシュタイン城] 某国鼠遊園地のお城のモデルになったドイツにある非常に豪華なお城である。

 カズマとチヒロが声を揃えて突っ込み!

「「いや! いや! いや!」」

「もう少し大人しい落ち着いた建物にしてくれ」

「え~! じゃあ・・・・ バッキンガム宮殿は?」

 イギリスのロンドンにある王家の宮殿

「更に豪華に成っているし!」

「う~ん! エリゼ宮!」

 パリ市内にある宮殿で、フランス大統領官邸。

「頼む! もう少し質素に!」

 暫く、世界中の宮殿や豪華なお城を候補に挙げるマイヒメと、それを却下する他の面々(主にカズマとチヒロ)の攻防が約30分近く続き・・・

「じゃあ・・・ これで良いのね?」

「ああ・・・・・」

「それで良い・・・・・」

 疲労困憊。 妥協成立。


 そして、一晩もかからず北の森が切り開かれ突貫で完成したのが。

 某超大国の白亜の大統領宮殿 通称ホワイトハウス & 周辺の庭・・・・


 製作者曰く。

「満足♪ 満足♪」


 彼女は、一仕事終えて自ら造った部屋の中で自作のベットに上機嫌でねっころびながら、嬉しそうに鼻歌を歌っていたが、暫くして規則正しい寝息に変わっていた。

 その寝顔は非常に幸せそうである。




 後に、更に周辺を開拓して、工房から農場や牧場ついでに食堂レストランまで造り上げるのにさして時間は掛からなかった。




「ねえ。 サクラ姉!」

「どうしたの?」

「みんな、元の世界に帰る気あるのかな?」

「・・・・・ それは、かなり微妙ね・・・・」



ようやく魔窟が完成!


そろそろ、犠牲者を動かそうかな・・・

領主とか、冒険者とか。

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