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DAY+ 枝編 黙示録の四騎士 赤き馬

ほんの少し余裕が出来たので投稿します。


少し寄り道。 


次は何時かな・・・・・。

 エクストリーム・ジェット・レース

 通称  Astrorace アストロレース


 密集した浮遊岩礁や浮遊諸島の間を専用のジェット機を使用し超高速で駆け抜け、その順位を競うレースである。

 年間を通して各種目世界公式戦16戦、各種全予選100戦が行われる人気レースである。

 名前の由来は諸説あるが、もっとも有力なのが旧20世紀の一世を風靡したSF映画でのワンシーンにある小惑星帯を宇宙船がドッグファイトするシーンに因んだものと言われている。

 それを証明する様に、レーサーの中には自らの愛機に、アルファベット一文字にウイングと付ける者が少なからず存在する。


 発祥は浮遊諸島の出現により、大幅に縮小されリストラされた各国に戦闘機や旅客機のパイロット達が、民間に払下げられ廃棄される予定の戦闘機(当然、武装は外してある)を使用し、戯れに始めたのが始まりとされている。

 最初の頃は安全対策も射出座席によるベイルアウトが精々であった、その為レース中の死傷率が非常に高かった。

 中には脱出に成功したが、射出方向にあった岩礁に激突し、頸椎を砕かれたと言った笑えない逸話すらあった。

 その為、最初の10年間は1レースに付き平均して2名の死傷者を出していたことから、レースに興じる者達を周囲の人々は"キチガイ"、"自殺志望者"と呼び軽蔑していた。

 それでも、このレースに参加する者は後を絶たなかったのは、それだけパイロット達の数が過剰であったことと、航空産業界の後押しが有った事が大きかった。


 浮遊岩礁や浮遊諸島の出現から世界中に拡散するまで約半年の開きがあるが、この期間、徐々に航空機が安全に飛行できる範囲が縮小されて行き、それに伴い、航空産業界はその経済規模が衰退の一途を辿っていったのである。

 詳しい説明はここでは省くが、航空産業消滅の危機に対するものとしてクローズアップされたのが魔導技術を使用した新たな航空機の開発と、旧式のプロペラ機の復活であったが。

 魔導技術の習得は一長一短でモノにできる物では無く、プロペラ機の開発はそれを専門に製造しているメーカーでも無ければカビ付いた資料の発掘から始めなければならなかった、しかも発掘できれば、まだましな方で、資料が廃棄されていたら一から試行錯誤の連続であった。

 こうして様々な理由から、産業の延命の為、白羽の矢が立ったのが"アストロレース"に対する出資である。


 レースは、

 決められたコースを周回すし順位を競う"サーキット"

 指定ポイントを決められた時間に通過し、その正確さを競う"ラリー"

 トーナメントで2機がスタートからゴールまでの勝敗を競う"チェイス"

 の三種が公式レースとして登録されている。

 これらのレースが1年を通して争われ、トータルポイントが最多のパイロットが各レースのワールドチャンピオンとなるのである。


 現在では機器に様々な改良が施され、年間を通して全レースでの負傷者は平均一名以下まで下がり、初期の頃の様な"命をチップとする、ならず者の集団"と言ったイメージは払拭され、安全でクリーン、そしてクールなスポーツへと変化している。


 現在でも安全対策以外は相変わらずジェットの轟音と衝撃波を撒き散らし空を駆け抜けていく、一時、魔導技術を使用し超高性能でエコな機体も出場したがさっぱり人気も出ず、誰も乗りたがらず仕方なく開発スタッフの下っ端が乗って飛んだが一勝も出来ず一戦だけの出場で終わってしまった。

(注・下っ端は一飛行で約5kg痩せていたとか)

 今では、推進系や操縦系に魔導技術を使わないのが暗黙の了解となっている。



------------------------------------------------------- 


 旧アメリカ合衆国 旧カリフォルニア州 都市国家L.A


 雲が疎らで、ジリジリと太陽が照り付けるアメリカ大陸の西海岸における典型的な夏の一コマ。

 観光客が散策し、地元の人々が海水浴を楽しむ人気の砂浜と今では珍しい自動車が疎らにノロノロと走る片側3車線道路に挟まれた僅かな面積にそのバーはひっそりと建っていた。

 今では珍しい年代物のネオンの看板にはまだ明かりは灯っていないが、木製のドアに掛けられた看板は既に[close]から[open]に引っくり返されていた。

 店内は落ち着いた雰囲気で砂浜側のテラスは解放され、幾つかの椅子とテーブル、そしてデッキチェアが並べられている、天井に取り付けられた古びたシーリングファンがゆっくりと回転し心地よい風を、店内に運んでいた。

 客は三人だけ、もっとも平日の真昼間から酒場に入り浸るのは、よっぽどの暇人か、特殊な職業の人のどちらかである、そしてこの三人は後者の部類に属する。


 酒場に入り浸ってはいるが、彼等はこんな真昼間から飲んでいる訳では無い。

 ただ、黙々とダーツに興じながら、他愛無い会話にならない会話を交わしていた。

 これは、彼ら流の、一種の"ゲン担ぎ"である。

 店内に響くのは、規則的なダーツに当たる音と短い会話、そして窓の外から時おり聞こえてくるジェットエンジンの遠い響き。


 金髪碧眼、典型的なアングロサクソン系のがっしりとした男がダーツを手に的に正対していた。

 J.B、"ドラゴンの息子"と呼ばれ、誰からも敬意を持たれる英雄。

「若い連中は気合が入っているな・・・・・。 よっと! OK!」

 日に焼けた浅黒い肌に黒髪、東洋系の男がバーカウンターでミネラルウオーターのビンを片手に、窓の外に視線を向けていた。

 レイ・沢村、"空の侍"の異名を持つ古参の名パイロット、鋭い飛行は天下一品であった。

「本番前にぶち壊さなければ良いがな。 次は? ・・・・俺か?」

 淵無しの眼鏡をかけ、如何にもインテリと言った雰囲気の青年がスコアシートに得点を書きながら、冷静な声で面白みも無い突込みを入れる。

 エド・S・カーランド、博士号を持ち"プロフェッサー"とあだ名のある若手、その無駄のない飛行はその名に恥じる事は無い。

「酒も飲まないのに、酔っ払ったか? 器用なものだな・・・・」

「ほっとけ! 差は何点だ?」

 J.Bとレイの二人は最初から自分で数える気が無く、全てエドに任せっきりである。

「最下位のJ.Bとは15点、私とは一投では追い付かんから心配するな」

 J.Bは椅子から立ち上がり、盛大に文句を言う。

「ちょっと待て! 今の得点、ちゃんと数えたか?」

 エドはめんどくさそうに顔を上げ、視線をJ.Bに向ける。

「二回も的を外すからだ。 ・・・・らしくないぞ、何か気になる事でもあったか?」

「雑念とは珍しい。 ワールドチャンピオンに最も近い男、・・・・・・鋼の精神を持つ男。 オッと!」

 レイはダーツを投げ彼の方に振り向き尋ねる。

「どういた?」

 J.Bは肩を落とし、カウンターに座り直しミネラルウオーターを一気に飲み干す。

「実はな・・・・・」

 二人は彼の言葉の続きを黙って待つ。

「・・・・けっ!」

「「け?」」

「けっ! 結婚を申し込んだんだ!!」

 J.B、鋼の精神を持ちワールドチャンピオンに最も近い男、年齢38歳、

 彼は思春期のハイスクールの学生の様に真っ赤であった。


「・・・・・・・・ぶっ」

「・・・・・・くっ」


 雲が疎らで、ジリジリと太陽が照り付けるアメリカ大陸の西海岸における典型的な夏の一コマ。

 観光客が散策し、地元の人々が海水浴を楽しむ人気の砂浜の傍に立つバーから大爆笑と怒鳴り声が響き渡り、そばを通った人々が一瞬だが足を止め、首を傾げる。


 幼い頃から飛行機に乗り続けた根っからのパイロットの遅すぎた初恋である。



 レイは床に四つん這いになりながら、肩で息をしていた

「はあっ、はあ、はあ・・・。 あ~笑った。 エド、生きているか?」

 その隣でエドが仰向けで大の字で横たわっていた。

「・・・・・・無論だ」

 もっとも、未だ呼吸は落ち着いておらず、全身で呼吸をしていた。

 そして、怒鳴り疲れカウンターに突っ伏すJ.B。

「ミテイロ、ツギノれーすデ・・・・・」

 何か真っ黒い事をブツブツと呟いているが見なかった事にしよう。


「当然、返事は貰ったんだろ?」

「・・・・・ああ」

「その様子だと・・・・、条件を付きつけられたか?」

「・・・・・ああ」

「無理難題みたいだな」

「ワールドチャンピオンは・・・・、簡単すぎるな」

 J.Bは力なく、天井を指さしながら。

「"あれ"に勝てたらだとよ」

「「"あれ"?」」

「「?・・・・・・・・!!!!!!!!」」

 天上を指さすのと"あれ"と言う単語だけで二人は察したのである。

「"あれ"って"あれ"か? "あれ"の事か?」

「ちょっと待て!! ちょっと待て!! それは無理だろ?」

"あれ"とは、この空域と浮遊諸島を縄張りとするエンシェント・ドラゴンの事である、しかもこの空域に居るのはロード種と呼ばれる上位竜なのである。

「そんな無理難題! 言ったのは誰だよ! てっお前のチームでそれを言って許されるのって、彼女しか居ないよな?」

「確かに、彼女ならその条件に合致するな」

 二人は同時に同じ女性の姿を頭に思い描いた。

 流れるような金髪、モデル顔負けのスタイル、そして溢れるカリスマ性、だが、その素顔を見た者は存在しない。

 眼に遺伝子異常があり、常に大きめで色の濃いサングラスを身に着けているのだ。

 それでメカニックなんてやっているもんだから、絶対、職業間違っているだろうと周囲から思われているのである。

 実際、レースの前夜祭のパーティーでは、国の重鎮や大企業のトップが必ず挨拶していたりするのである

 周りからは、メカニックなんてやめてオーナーかスポンサーになってくれと密かに思われていたりするが、本人は一切、気にしていなかったりする。

「・・・・・・・つんだな」

「勝率はゼロだな」

 彼は突然、椅子から立ち上がり宣言する。

「いや! 必ず! 勝機はある!!」

 その目は既に燃え上がっていた。

「勝機も無いし、正気でも無いな」

「無理と無謀とを履き違えているな」

 二人の忠告は彼の耳に決して入る事は無かった。



 三日後、サーキットレース本戦。

 J.Bの独走状態での終盤、突如、レースに乱入して来たドラゴンに大会運営は中止を宣言したが、J.Bと、レイ、エドは飛行を続行。

 そしてJ.Bはフルパワーで頭から浮遊岩礁に突込み、爆発炎上、近年では非常に珍しい重大事故を引き起こし、病院送りとなり、安全装置にも限度がある事を身を持って体験したのである。

 そして、一緒に飛んでいたレイとエドは、彼等と競っていたドラゴンが炎上する機体を一瞥し、溜息を付くのを確かに目撃したのであった。


 J.B、今期復帰は絶望、サーキット・ワールドチャンピオンはレイ・沢村が会得した。


 

 J.B、病院のベットで嫁をゲットし、歴史上はじめて古竜姫を嫁に貰った男 年齢38歳


 因みに、レイとエドが親友の見舞いで病室を訪れた時、全身包帯を巻かれベットに縛り付けられ、サングラス姿の美女にリンゴを食べさせて貰っている親友の姿であった。


 J.B、オフシーズンに結婚、初夜で嫁の正体を告発されて絶叫を発するまで、もう少し後である。



「ダーリン♪ 今夜はシロナガスクジラの姿焼きで良いかしら♡」

「・・・・・勘弁してください」(土下座)



「母に言われました。 男は少し炙って、尻を叩くくらいが丁度良いと!」

「・・・・少し炙るってどれくらい?」

「え~と・・・・。 大理石が蒸発するくらいかな?」

「(・・・・骨も残らんな)叩くってどれくらい?」

「石炭がダイアモンドに変化するくらいよ」

「(・・・・・・酒は少し控えるか)」





次回は「DAY-06 ゲーム スタート」(仮)

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