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二、自己紹介


~~スープ色になった青年は少女の案内でこの小さな家にあるシャワーで体を洗い流した~~



「スープの件、本当にごめんなさい!」


 体を流し終えた青年に、少女は深々と頭を下げた。理由は言葉の通り、先程のスープの一件である。しかし、何故あの時スープの皿が飛んできたのか理解できていない青年は、突然謝られたことにうろたえていた。


 そこで、青年は言った。


「謝らなくていいから、替わりに質問に答えてくれないか?」


 謝らなくていい、と聞いた瞬間、下げていた頭を勢い良くもとの高さに戻した。


「はい! いいですよ!」


 青年は感情の起伏の激しい少女に呆れつつ気になっていたことを質問する。


「さっきの飛んできた皿って、手品か何かか? 糸みたいなのは見えなかったけど……」


「何って……あれは魔術ですよ」


「へ~、魔術か~……魔術!?」


 魔術、それは青年にとって驚愕の現象である。この世に魔術なんてものが存在していたのか!


「別世界から召喚された人ってみんな同じ反応をするんですね」


 少女がさらりと言う。しかし、青年にとってはさらりと流せるほどの言葉ではなかった。


「ちょっと待て。『別世界』やら『召喚』やら、おれの常識を遥かに越えた単語が続々と出てきてるぞ。……まさか、『魔王を倒すため別世界から召喚された勇者』的なのがおれだ、とでも言うんじゃないだろうな?」


 少女は青年の質問を聞くと、申し訳なさそうな顔になった。少し間を置いてから答えた。


「えっと……実は、ハルさん……さっきのおじいさんは有名な魔導師なんですけど、そのハルさんがこの世界の秩序を保つために聖獣を召喚しようと考えました。でも……」


 少女は言葉を詰まらせた。まるで、言うのをためらっているかのように。


「でも?」


 あとが気になる青年が少女を急かす。少女は意を決し口を開いた。


「失敗しちゃったんです」

「えっ?」


 青年の気の抜けた声が響く。そして、察してしまった。


「……おれは、失敗作?」

「……そういうことになります」


「そんなっ…………」


 あまりのショックに青年は地面に膝をついた。


「……帰る方法は?」

「今の私達の魔術では、無理です」


「そうか…………そうか…………」


 青年は膝をついた状態で弱々しく何かを呟き始めた。召喚に少なからず関係している少女は青年を黙って見ているしかなかった。



 しかし、暫く呟き続けていた青年が、突然大きな声を上げた。


「そういうことか、それなら──」


 その言葉も言い終わらぬうちに彼はおもむろに立ち上がり、そして大きく背伸びをした。


「──悩んでても、しょうがない!」


 彼はそう言い少女の方に顔を向ける。少女は青年の顔を見て驚いた。先程までの根暗な印象からは想像できなかい、清々しい笑顔がそこにあったから。


「絶対もとの世界に帰る方法を見つけてやる! それまでよろしく! おれは(しょう)()(みつぐ)


 少女は思った。この人は強い、勢いがある。でも、この世界を生きる能力はまだ身に付けていない。そんなこの人を、私は支えていきたい、と。


「私はあなたを支えます。私はルナ=ドルフ、こちらこそよろしく!」


いや~、キャラが安定してませんね(汗

たぶん主人公とヒロインはこの二人になると思います。

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