一、青年と老人と少女
初投稿。
ものすごく気まぐれに思いつきで書いているので大目に見てくだされば幸いです。
とある小さな家の一室。ベッドで横になっていた青年が目を覚ます。
「……ここは?」
青年は体を起こし周囲を見渡す。目に映るのは見慣れない石造りの殺風景な部屋。しかも、やたらと広いのでなんとなく落ち着かない。
「おお、気付いたか!」
不意に声をかけられた。青年が声の方向に顔を向けると、部屋の入口に、杖を手に黒と紺を纏った白ひげの老人が立っていた。
──まるで魔法使いみたいだな。
青年がそんなことを考えていると、老人は廊下に出て誰かに叫んだ。
「ルナ! 温かいの持ってこい! 男が起きたぞ」
「はい! ただいま~!」
その声にすぐに若い女の声が反応した。青年が結構親切だなあと思っていると、
「おい、バカ! それじゃとスープが……」
と聞こえたのも束の間、スープの入った皿が物凄い勢いで部屋に入ってきた。そして、青年の目の前までくると皿は急停止した。言わずもがな、スープは慣性の法則に従い皿から飛び出し……。
ビシャッ
老人が慌てて部屋に戻ったときには、青年とベッドはスープ色に染まっていた。
そこへ、一人の少女がとたとたと走ってくる。
「ど~ぞお飲みくださ……あれ?」
彼女にとって想像だにしていなかった光景に、頭に疑問符が浮かぶ。
「何をすべきか……」
「ひっ!」
少女は横にいた鬼の形相、いや、悪魔の形相をした老人に気付く。
「…分かっておるじゃろうなあぁ!!」
「はいぃーーーーーーーーーーー!!」
少女の悲鳴のごとき返事は家中に響いた。