転生したらしい
「おいおい、もう一歩下がったら死んじまうぞ??」
ニヤニヤとしたその金髪の男は軽薄で見下した顔を浮かべながら目の前の中肉中背の男を追い詰める。
そこは屋上で1人の男を四人の男が囲んでいる。追い詰められている男はわなわなと震えながら後ろずさる。背中が後ろの柵に当たる。冷たい感触がさらに男の精神を追い詰める。
「やめてくれ。俺が一体何をしたって言うんだ!」涙を流しながら懇願する男は顔を上げて金髪の男を見る。
「別に何もしてない。ただムカついただけだ。それに目障りだ。それだけ。もしかしてなにか理由があると思ってたのか?馬鹿だな。まさかなにか理由を話したらそれに納得して安心でもするのか?」
金髪の男はニヤニヤしながら男を見下す。
「くっ」
俺は息を飲む。圧倒的に理不尽で納得いかなかった。
クソ!どうして俺がこんな目に。ただ大人しいからって俺をいじめの対象にするなんて、前のこいつらのいじめてた同級生が退学してその次の標的になったのが俺だ。本当に運がない。そもそもこんな学校に入ったのが間違いだった。もし、ここからどひ降りたら少しでもこいつらに対する復讐になるのかな、ダメだ、そんなマイナスな思考になってはダメだ。そんなことをしたってこいつらが喜ぶだけだ。
ごはっ!
腹から強烈な痛みが伝わってくる。どうやら膝蹴りを食らったらしい。
ぐっは!
今度は顔がじんわりと熱を帯びる。どうやらアッパーカットを食らったらしい。
後ろずさるが退路はない。俺は後ろの柵を掴む。もう体力がない……立てる力すらない。もしこの世界がもし神がチャンスをくれるなら俺は世界無敵になって圧倒的な武力をもってこの理不尽で非条理の世界を打ち破りたい!
手で思いっきり柵を握る。
ガタッ、ガシャン。
あれっ、唐突な浮遊感と4人共の間抜けな顔を目にした俺は真っ逆さまに落ちる。そういえば朝礼で先生が屋上は工事中だから行くなって言ってたけ?視界が暗転する。
暗い、まるでトンネルの中を通っているか錯覚になる。細細とした通り道を抜ける。まるで永遠がずっとそこにあるかのような気の遠くなるような時間が経つ。
眠いまぶたをあげる、口をパクパクさせるが声は出ない。周りを見ようとするが力が入らずそれは諦める。
息が苦しいなんだ俺は一体どこに来てしまったんだ。確か俺は屋上から、あれ、生きてる?どういうことだ!
「あら起きたのねほら、あなたそっくりよ。」
穏やかな黒髪の女性が俺を抱き上げる。目の前にいかつい髭面の爺が立っている。
「うむ、では仕事に戻る。」
「はい、いってらしゃい旦那様。」
髭面の男は頷くと、そそくさに病院らしき部屋から出ていく。
なるほど
どうやら俺は転生したらしい。




