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ブラックダスト

作者: 野島 海韻

物語は、とある噂から始まる・・・


「なぁ。屋上の話知ってるか。」

「あぁ。松原先輩の話だろ。屋上で自殺したやつ。」

「いや、その話に関係はするけどその話じゃないんだ。」

「えっ!」

「先輩が死んでから一週間ぐらいたってから屋上に行った教師と生徒が不慮の事故にあってるらしい。」

「それってつまり、先輩の呪い?」

「まぁ、そうゆうことになるわな。しかも、今となっては使われてない特別教室でもおこってるらしい。」

「おいおい、マジかよ。」


そして物語の幕が上がる。


                     1


ここは、T高校の使われていない生徒会室。

「なぁー。俺らさ、夏休み真っ盛りなのにさー、なんでこんな所にいんの?」

この少年の名前は、岡田桂梧。この高校の帰宅部に所属している。面白い事にしか興味を持たず、めんどくさがり。

「やることなくて暇だからじゃね。」

彼の名前は、高田龍稀。桂梧と同じで帰宅部。桂梧とは小学からの友人で、いつも二人で行動している。

「よっしゃー。4面クリヤー。」

最後の彼は、園原晴矢。帰宅部で、一番うるさいく、マイペースな奴。

「あんたってさー、いつもいつも、ゲームしかやってないよねー。」

彼女の名前は、雪花菜実榎。帰宅部で桂梧の幼馴染。桂梧の考えてることはだいたいわかる。

「あぁー。彼氏ほしなぁー。龍稀、男紹介しろよ。」

彼女は、佐倉捺美。帰宅部で実榎の親友。龍稀と幼馴染。おせっかいだが、根はいいやつだ。

「私たち、もう三年だけどさ、受験勉強とかしなくていいの?」

最後に彼女、松原留香。半年前に自殺をした、松原先輩の妹。帰宅部一、頭がいい。いつでも、どこでも、冷静沈着。

この六人全員が、帰宅部である。

「ところでさー、図書室にでるってしってる?」

「あー、知ってる。後輩の子が足つかまれたってやつだろ。」

話を切り出したのは、桂梧だった。他の帰宅部部員は興味なさげだったが、一人、テンションを上げた奴がいた。

「それじゃさ、それ、全員で調べに行こうぜ!」

晴矢である。マイペースでうるさいだけでなく、興味を持つと、とことん熱くなる。

「どうせ誰かがついたデマでしょ。」

っと実榎がつっこむ。

「いや、今回のは、デマじゃないらしい。」

桂梧の言葉で、全員の耳が傾いた。

「今回の件については、生徒が被害にあう前日は、誰一人として図書室には入ってない。そして、その日図書室を一番に利用したのは、被害にあった生徒だけらしい。」

その話きいた帰宅部の面々は驚きを隠せなかった。そして、全員そこまで証拠がそろってしまうと、文句のつけようがない。

「それじゃ全員で調べにいこうか。」

捺美の言葉に、全員が頷く。こうして帰宅部一同は図書室に向かう事となった。


                     2                       


P.M. 4:25 図書室


「図書室に来たはいいが、調べるっつったって、何を調べるんだ?」

晴矢の一言で、全員が沈黙する。確かに、調べるに行くといっても、何を調べていいかまったくをもって考えてなかった。相手は幽霊だ。かなりの霊感がなくては、退治するのはともかく、まともに見ることもできない。しかし、そんなそんな状況でもめけずに留香が、

「とりあえずさ、散策しようよ。何かつかめるかもよ。」

っと言う。この一言で、全員がやる気を取り戻した。たしかに、何もしないで生徒会室に戻るよりも何かやって帰ったほうが、後味も悪くない。何よりも、証拠が見つかったら、それは、それで、ラッキーだ。しかし、この学校の図書室の広さは、通常の教室の5~6倍はする。一人ひとりがバラバラに探索するのにはちょうどいい広さだが、それで誰かが襲われてしまったら、意味がない。だが、全員が束になって調べるとなると、かなりの時間がかかってしまう。その中で実榎が、一の提案をする。

「二つのグループに分けて、散策しよ。そっちの方が効率がいいよ。」

その話には全員が納得した。バラバラに調べるよりも、時間はかかるが、全員が束になって調べるよりは効率がいい。何より、一人で調べるよりも安全だ。ということで、二グループに分けることにした。

Aのグループは、桂梧、晴矢、実榎。Bのグループは、龍稀、捺美、留香というグループ分けになった。

Aグループは東側を、Bグループは西側を散策する事となった。

「やっぱり広いな。調べるのはよいじゃない。」

愚痴を言いつつも、黙々と調べているのは、東側のグループだ。東側は、生徒が被害にあったのとは、逆側に位置している。幽霊がまた、同じ場所に姿を現すとは限らないので、東側も念入りに調べる。

「こっちはすっからかんだが、そっちはなんかあったか。」

西側を調べているBグループからだ。西側は、生徒が被害にあった方角なので、かなり念入りに調べる。

「桂梧。そっちはどうだったか。こっちはなんもなかったが。」

「いや、こっちも全然だ。」

どちらも念入りに、くまなく探したが、手がかりは見つからなかった。とりあえず、今日のところは引き上げることにした。全員が図書室から出ようとしたその時、

「グイっ」

「えっ?」

留香がいきなり後方に倒れた。全員どうしたと言わんばかりに留香のもとに集まる。

「う、腕をつかまれた。」

全員が唖然とした。だが、桂梧だけは冷静だった。桂梧は図書室の奥を見た。わずかだが本棚に隠れる影を見えた。

「待てっ!」

っと桂梧はが叫んだ。そして、一目散に影の隠れた本棚を目指して走った。それにつられ、残りの五人も走りだした。影が隠れた本棚を見たがそこには、誰もいなかった。その時、晴矢が、

「オイッ!これを見ろよ!」

っと、言った。その言葉で、全員が晴矢の所に駆け寄った。そして、晴矢は床を指さした。晴矢の指の先を見て、帰宅部一同は全員、唖然とする。

「お、おい。これって・・・松原先輩の名札・・・だよな?」

そこにあったのは、留香の兄、松原巧輔の名札であった。南高校は名札の名前は、全てフルネームで示されているので、誰のものかが、一瞬にして分かる。そのため、この名札が、妹である留香のものと間違えずにすんだのだ。

「松原・・・これ、お前のだろ?この名札落としたの。先輩の形見かなんかでずっともってんだろ?」

怯えるように龍稀が美香に問いかける。

「わ、私のじゃないよ。名札は、お兄ちゃんの制服につけっぱだから・・・」

その言葉を聞いて全員、図書室から全力で生徒会室に逃げて行った。


                      3


全力で逃げ帰ってきた帰宅部のメンバーの息は、完全に上がっていた。まだ、息が整ってない状況で桂梧は言う。

「なんで!?なんで家にあるはずの松原先輩の名札があんの?意味がわかんねーよ!」

桂梧が全員に問いかけても、答えられるはずがない。残りの五人も分からないのだ。半年前に松原先輩が自殺した場所は屋上。しかし、名札が見つかったのは二階の図書室だった。全く違う位置にある場所だ。これは何と説明したらいいか示しがつかない。

「あの噂本当だったのか」

龍稀が忽然と言葉を発した。全員があの噂かと言わんばかりに思い出す。

「松原巧輔の呪い」

六人全員が同時に言った。屋上に行った生徒と教師が不慮の事故あっている。そして今では、特別教室でも起こっているという噂だ。もし、このうわさが事実ならならば、松原先輩の思念が図書室にいるという形で話がすむ。しかし、ここで疑問が生まれる。それはなぜ、自分たちは事故に巻き込まれず、留香の手をつかまれただけだったのかだ。そのとき、捺美が一つの仮説を言った。

「私たちは生前に松原先輩とかなり親しかったから。あるいは、妹である留香であったからじゃないかな。」

全員が捺未の仮説と一致した。自分ともっと親しかったから。もしくは、実の妹である留香であったからだ。しかし、なぜ松原先輩は思念になり、人を襲っているのかだ。この疑問についたは、六人全員の意見は同じだった。

「復讐・・・」

もう、思い当たる節がこれしかない。松原先輩は、生前、大きな裏切りをしてしまいいじめを受けていた。先輩の親は、受験を苦にして自殺したと言っているが、実際は、そのいじめが原因で亡くなっている。そして、屋上の事故につながる。屋上と特別教室の事故については、被害を受けた生徒は、先輩をいじめていた生徒とかかわりのあるもの。教師については、先輩の学年を担当していた教師だけだった。図書室で足をつかまれた生徒は、先輩をいじめていたグループの主犯格的存在だった生徒の妹だった。

「お兄ちゃんを止めなくちゃ。・・・お兄ちゃんにこんな事止めさせないと!」

全員の考えと決意は決まっていた。もう先輩にあんなことはさせない。復讐なんてもうこれ以上やらせない。かくして、帰宅部の六人は、松原巧輔の退治および、成仏を決意する。


                      4


松原先輩の退治を切り出したものの、退治の方法が分からず、考えるだけの一夜が過ぎる。そして放課後になり、六人は生徒会室に集まる。

「なぁ、なんか良い方法、見つかったか?」

「いいや、まったくもって何も。」

桂梧が全員に問いかけるが、桂梧を含め全員、退治の方法が見つけられずにいた。そしてまた、全員、考え出す。そんな中、この沈黙を破るやつがいた。

「なぁ、こんなんじゃ駄目かな?」

晴矢だ。晴矢は、五人が良い方法はないかと考えている中で、ずっと、生徒会室をくまなく調べていた。そして、彼が手にしていたものは、奇妙な札と、その札が貼られている木刀であった。札は、何十枚とあるが、木刀は二本だけであった。

「お前、それどこで見つけたんだよ。」

と、龍稀が尋ねると、

「そこの長い箱の中にあったぞ。」

この札が実際効くかどうかわからないが、もう、これしか頼りになるものがないので、イチかバチかこれにかけてみることにした。とりあえず、喧嘩が強い晴矢と桂梧が木刀を使い、龍稀が札でフォローすることになった。そして、もうひとつの問題にぶつかる。それは、先輩の今現在位置だ。前回は運よく図書室に現れたが、噂では、すべての特別教室に出るという。仮に、すべての教室に行ったとしても、先輩が出てくる確率は、かなり低い。その時,桂梧は、黒い影が教室の前を通る姿が見えた。

「俺たちはとことん運がいい。待てっ!」

っと、言って桂梧は走りだした。それにつられるように、五人も走りだす。桂梧が突然走りだした理由は聞かずとも分かった。今、自分たちは、先輩を追いかけている。そして、たどり着いた先は、屋上だった。さらに自分たちの目の前にいたのは、

「ま・・・松原先輩・・・なのか?」

全身が黒く、闘争心丸出しの構えをしてこちらを威嚇している。まるで、松原先輩じゃないみたいに。「松原先輩だ彼って気を射抜くなよ。ゲームで言うとラスボスだぜ。」

龍稀が言う。しかし、桂梧も晴矢も、気を抜く気はなかった。倒せば、先輩は成仏される。その思いを込めて、この戦闘に臨む。


                      5


松原先輩との戦闘が始まった。直後、晴矢が先手を取るようなこと言う。

「この木刀が本当に効果があるかが分からないから、最初に行かせてくれ。」

何か嫌な予感がしたが、ここは晴矢に任せてみることにした。そして、晴矢が一歩前に出る。大きく息を吸い込んで大声で、

「先輩めちゃくちゃかっこいいです。」

っと、叫んで、先輩めがけて突進してった。

「えーーーーーーー!」

残りの五人は唖然とする。

「どはっ!」

晴矢は、先輩の平手打ちを食らって吹きとんだ。そして、全員に、ぼろくそ言われた。

「お前は何やってるんだよ!何が俺に任せろだ!変な期待しただろーが!少しは役に立ってみろ。」

そこをすかさず、先輩が先制をとる。

「どわっ!」

全員が双方に散らばる。とりあえず、女子三名は端に逃げて、男子三人は戦闘体形に入る。最初に切りかかったのは桂梧だ。先輩の体めがけて振り下ろした。

「ガシッ!」

しかし、その攻撃は、いとも簡単に受け止められる。しかし、桂梧は笑みをこぼした。

「かかったー。今だ、やれ、晴矢!」

と言って札を張り付けた。

「ウグッ!」

先輩がのけぞった。札が効くことがわかった。ひるんだ先輩に休む暇も与えず、桂梧が背後から降りかかる。

「どりゃぁぁぁ!」

「ザンッ!」

「グッ!」

完全に何かを切った音と感触がした。これで、木刀も効くこと分かった。これならいけると思った時、「ハァァァァ!」

先輩が思い切り飛び上がり、屋上入口の屋根に飛び乗った。屋根に上る時間は、二人にはなかった。だが、先輩の背後に誰かがいた。

「甘いな、敵は二人じゃない!三人だぁぁ!」

龍稀だ。いつの間にかに、屋根の上にいた。どうやら、二人が下で戦闘中に、はしごを使って屋根に上っていたみたいだ。そして、たたみかけるかのように、札を一気に五枚ほど張り付けた。

「ガァァァァァ!」

先輩が悲鳴とともに、屋上の屋根から転落した。その下に晴矢と桂梧がいた。二人は、落ちてくる先輩に、渾身の一振りを繰り出す。

「これで、終わりだぁぁぁぁぁ!」

「ザンッ!」

「どかっ!」

二人の渾身の一撃が決まり、先輩は屋上入口の扉に吹き飛ぶ。


                      6


「ドサッ」

先輩が床に倒れた。六人は、とうとう先輩を倒した。三人は女子の方に歩いてきた。そして、桂梧が留香に一言言った。

「留香、最後はお前の言葉で成仏させてやれ。先輩もそれを望んでるはずだ。」

二人は、最後に留香に成仏させてやろうと、とどめは刺さなかった。

「お兄ちゃん、いじめられたことはわかってたよ。相談してくれてのに、死んで、復讐だなんて、お兄ちゃんらしくないよ。いつもいつも、明るくふるまってたのに、何でよ。でも、もう大丈夫だよ。もう、お兄ちゃんの悪口は、誰にも言わせないよ。だから、もう、楽になって。お兄ちゃん・・・大好きだよ。」

全ての言葉が言い終わったとき、先輩はまばゆい光に包まれた。その光は天まで登って行った。その光の中から、

「あり・・・が・・とう。」

かすかだったが、はっきりと先輩の声がした。その光を六人は手を振って見送った。今回の事件は、幸いなことに、晴矢がバカをこいて怪我した以外は、全員負傷はゼロだ。屋上の扉は、少しばかしへこんでいるが問題はないだろう。

「あー。これからまた、退屈な日々だぜー。どうするよ。」

だるそうに龍稀。

「んじゃさー、全員でバーベキューしようぜ。」

「おっ、ナイスアイディア。今度、河原でバーベキューだ!」

全員で笑いながら、これから楽しくなるであろう夏休みの計画を立てながら、夕暮れの階段を全員で降りていく。 

 

                             ブラック・ダスト 完

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[良い点] 面白かったです [気になる点] ・誤字脱字が多かった。 ・先輩との戦闘の描写が山場なのにそこが少なかった。 [一言] がんばってください。
[良い点] ・面白かったです。 [気になる点] ・「物語は、とある~」「そして物語の~」 どちらかにしたほうがいいです。 ・描写が少ないです。 ・誤字・脱字が多い。 ・誰がセリフを言っているのかがわか…
[良い点] 物語りの展開が早く、読みやすいです。 [気になる点] 誤字脱字に気をつけてください; [一言] たまに展開が早すぎてついていけなくなりますが、同じ年代の人たちが主人公ということで読みやすか…
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