家族の血は水よりも濃いけども、血で血を洗う仲でもある
良く。姉貴のいる人に聞くと。姉は弟の前ではかっこつけないようだ。
『あちー、クーラー故障した。健、アイス買ってこい!』
『姉、足で小突くなよ』
しかし、俺の義姉は違う。かっこつける。義母の連れ子だ。
親父とは養子縁組を結んでいないので、義姉弟ですらない。
一緒に暮らした他人だ。
「勝、私が車だすから」
「大丈夫だよ」
「嘘、手元が震えているわ」
今日は、実母に会いに行くのだ。
待ち合わせ場所はファミレスだ。
不思議な感覚だな。母親は中学入学前に離婚したのだっけ?
あ、ファミレスの駐車場についた。
「私も中に入ろうか?」
「いいよ」
何故、義姉が店の中についていくと言ってくれたかは、実母は宗教団体に入っている。
いつも、周りに人がいる。実母1人に会うのではないのだ。
赤の他人だがまるで家族のようだ。
「勝!久しぶり。ここよ。ここよ」
母の周りに三人の人がいる。
これはお仲間かな。
皆、老人だ。
理由も知らないのに、俺を責める老人。
「勝君、母親は大事にしなければならないよ。先生の母を思う詩がある。この本を読んでみたまえ」
「結構です」
全く知らないが、俺を懐かしむおばさん。
「勝君は仏間で遊んだ子なのよ」
「そうですか?」
いや、人によってはニコニコして良い人達というのかもしれない。
その団体にも善い人悪い人がいる。
と他人は言うのかも知れない。
しかし、価値観が大幅に違うのだ。逆転している。
「母さん。一体、何?」
「勝、今度、教義の試験があるの。受けて見ない?貴方なら、三級受かるわよ。試験範囲は・・」
「いいよ・・」
「この試験に受かるとね。困った時、議員さんが市役所までついて来てくれて、生活保護受けられるのよ」
「そうか、大変だね」
すると、老人が怒りだした。
「勝君、人生は厳しい。生活保護がいらないというのかね」
「いえ、もし、そうなったら、自分で申請します」
「そんなの通るわけがない。世間知らずだ!」
「響子さんの気持、汲んであげないの?一緒に教学試験の勉強を一緒にしようって」
「そうですか・・」
実母と和解か、距離を詰めようとしても宗教がついて来る。
俺は金だけおいて、ファミレスを出ようとした。
「勝、今度の選挙、比例は自民、候補は・・・、勝?」
久しぶりにあったのに、選挙か。
愚直と言えばそうなのかもしれないけど、やるせない気持になった。
「まあ、もういいの?」
「いいよ。義姉さん。帰りもよろしく」
「分かったわ。どっかよる?」
「コンビニにお願いします。義姉さん。コンビニスイーツは?」
「そうね。コンビニで一番高いスイーツを買ってもらうわ。義母の分もね・・・って、普段は軽口叩くのに・・」
血のつながった家族か?近くの他人か。その答えはもう少し先になるだろうな。
最後までお読み頂き有難うございました。