プロローグ
…ぼんやりした脳から覚醒する。目が覚めると、見知らぬ場所に居た。周りには、ポツンと置かれたサイドテーブルとその上に何かの本。
それと部屋に馴染めていない、無機質な扉。昨日の記憶を思い返す、いや思い返そうとした。だが昨日の記憶がすっぽりと抜け落ちたように思い出せない。
私の名前は"木伏柚葉"好きな食べ物は林檎。職業は,,,。自分のことは思い出せるのに、その記憶だけが。いや、そんな事はどうでもいい。一体ここはどこだろうか。私は、どうしてここに来てしまったのだろうか。よく分からない。カバンの中を漁って見るが目ぼしい物は見つからない。確かテーブルの上に本があったはずだ。何か書いてあるかもしれない。そう思い本を手に取った。
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ここは、つみをおかしたものがあつまる。
だれもじゅんぱくのままじゃいられない。
きっとあなたもそう。
そうだよね。
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本をめくると、探偵帽子を被った7人が赤い男に咲いている薔薇を囲んでいる絵に、子供が書いたような幼稚な字でそう書かれていた。
何故だろう。懐かしい。一度も読んだことが無いのに。何だか懐かしさが溢れてくる。そんな懐かしさに浸っていると扉の外から、騒がしい声が聞こえた。
「お前がやったんだろ!」「いや、俺はやってない。それで言うとこっちの女の方が怪しいでしょう!!」「、、、はぁ。私が今さっき来たのにどうやってやるんですか。それよりこの顔、、どこかで、」
本をすべて読みたかったが、外が気になる。ここがどこが知るためにも、本をカバンに入れ、ドアを開けた。
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ドアを開けると、こっちを振り返り見ている6人の男女と、1人の、ひとりの、
「………先生!!!」
目線の先には椅子に座り静かに眠って胸に薔薇を刺されている、先生、私の師匠、探偵鳳月日暮がいた。
「…先生?先生!大丈夫ですか!」
急いで駆け寄り肩を揺らすが反応はない。周りから奇怪な目で見られているが関係ない。
「みゃ、脈は、、?、、、、あ。」
袖をめくって、腕に触れた。だがもう既に先生は冷たくなっていた。
「、、はっ、あ、どうして。だれが、?だれがやったの、、」
数秒の沈黙の後、プラチナブロンドの髪色をした美しい女が答えた。
「、、はぁ。私は知らないわ。何よりここがどこかも知らないから。」
「っだ、だったら、だれが、こんなことを、したの。」
「知らないわ。」
「、おい。おい!そういう言い方はないんじゃないか。」
180は優に超えていそうな大男が言った。
「何というか、この、この男はこいつの大事な人だった、ってわかるだろう!」
「「知らないわ。」って言葉だけでは振り切れないだろ。何よりこういう事件を解決するのも探偵ってもんだろ?」
「、、探偵?」