僕は主人公になれなかった。
高校をさぼり始めて3か月がたった。
僕は決して恵まれていないわけではない。
親は僕のやりたいことをすきにやらせてくれるし、家も裕福な方だ。
先生や親は私がいじめられているのではと心配してくれもする。
でも違う。私は何か特別な理由で休んでいるわけじゃない。
僕は勉強も運動も才能がない。
かといって努力できるタイプでもない。
友だちはいない。
中学生くらいからだろうか、私は他人に劣っていることをだんだん感じ始めた。
学校に行っても、内容がろくにわからない授業を受け、帰るだけ。
それにどうしようもないめんどくささを感じ学校を休み始めた。
学校をさぼると、そのたびに罪悪感にさいなまれる。
親は苦労をして私を学校に入れてくれているのに、私がさぼることに文句ひとつ言わない。
それがどうしようもなくつらかった。
家にいても、寝ながらユーチューブをみてだらだら生きるだけ。
一日が終わるころには、今日も何もしなかったという無力感だけが残った。
4か月前、そのころから学校を休みがちだった僕は、担任に呼び出された。
普段学校になぜ来ないのかについて聞かれた。
僕は、「特に理由はない」と伝えた。
「君の人生は君が主人公なんだ。やりたいことをすきにやればいい。それを先生は止めないよ。応援する。」
そう言われた。
みんなは自分の人生を、目的を持ち、主人公になって生きている。
でも僕は、モブキャラですらない。
誰かの記憶に残ることもない。
ああ、神様。僕が普通の人生を歩む方法を教えてください。
私には目標も、役割も、自分が何者かもわかりません。
僕は僕を愛せない。
主人公でなくても、脇役にはなりたい。
このねがいは届かない。
みんな僕のことを分かった風な口を利く。
なぜわかると思ったんだろう。
自分ですら自分が何なのかわかっていないのに。
私がこの世界を普通に生きて幸せになる方法を教えてください。
だれもこの質問の正解を出してくれない。
僕は何もしらない。
何もわからない。
僕は弱い。
貴方たちは僕のことを何もわからないし知らない。
ああ、どうか親不孝な僕を許してください。
私はどうにもダメ人間で生きることが嫌になりました。
今までありがとう。ごめんなさい。
僕は主人公にはなれませんでした。