モアとニェリカ
「おい、先生の後をついてくるなんて、聞いたことが無いぞ。」
俺の後ろをついてきている二人組に話しかけた。
おそらくニェリカとモアだろう。
「何の用だ。」
「おかしいな、俺の魔法を見破られるなんてこの国にはいないと思っていたんだが。」
「モア、あなたも腕が落ちたんじゃないの?」
「おい、俺が聞いているんだ。答えろ?」
少し強めに言ったら、すんなり答えてくれた。
「まぁまぁ、私たちは学園でとある任務についているの。でもまさか、先生がこんなにも強い人だったなんて、聞いてないわ。」
「そうだ、俺たちは任務のため先生、あなたを殺す。」
「任務ってなんだ?それにあの場でお前たちの実力は見切った。あのぐらいの殺気で怖気づいてるお前たちに俺が倒されるとでも?」
「あの場にはみんながいたからな。今後の任務のためにも力は隠しておくべきだ。」
「そうね、モア、あなたの言う通りよ。」
「ほーん、俺はこれから用事があるのだが、それが終わってからでもいいか?」
「逃がさないよ?」
「モア、やって。」
それは一瞬だった。
一瞬の間に、空間が変化していた。
驚く隙もなく、明るい街から暗く、何もない空間に飛ばされた。
「ほう、空間魔法の使い手か。久しぶりに見た。」
「俺以外にも見たことがあると?それは凄いことですね。ニェリカ頼んだ。」
「うん、やるね。」
ニェリカがそう発したら、俺の足元が凍り付いた。
二人とも無詠唱で魔法を発動させるのか。学園内だったら、まぁまぁぐらいのレベルだな。
「先生?どうかな。」
「二人とも何の任務だ?それを教えてくれたら今なら許すぞ?」
「私の氷で動けない癖に強がっちゃって。」
「ニェリカの氷魔法は俺らの組織でもトップの実力だ。諦めな。」
どこかに属しているのか。
念のためにもう一度聞いてみようか。
「最後だ、何の任務だ?そしてどこに属している?」
「ほらモア、余計なこと言うから質問が増えたじゃない。」
「まぁまぁ、ここは誰にも聞こえない、完全防音空間なんだし、何もできずに殺されちゃう先生なんて、かわいそうじゃないか。」
「そう。じゃあ私が教えてあげる。」
「教えてくれるのか。ありがとう。」
「ん。...、私たちの任務はこの国の学園とその魔法や技術の水準が上がっているかを確認するため派遣されたの。私たちは【ギワール】所属、聞いたことあるでしょ?」
「あぁ、三流がゴロゴロ居座ってるお遊び殺人集団だっけか。」
「挑発のつもり?私たちの手の中にあなたの命はあるのよ。発言には気をつけなさい。」
「おまえらこそ、こんなちっぽけな魔法で満足しているのか?あぁそうだ、おまえらにもいいこと教えてやるよ。」
そう言って、俺は何もない右手から小さな短剣を取り出す。
短剣を握り、氷に突き刺す。
氷は最初からそこに無かったかのように霧散して消えていった。
その様子に二人に緊張でも走ったのか、警戒態勢になった。
「俺は仕事でこの学園に来たんだ。三流のおまえらに本物を見せてやる。」
俺は短剣を目の前で振り、空間を斬った。
その光景にモアは驚愕し、ニェリカは絶句してた。
空中に違和感のある傷ができ、俺はそれを開けた。
ありえない速さで二人の前に近づき二人の手を取り空間に入った。
「招待しよう。俺が許可を出す。」
空間を抜けたどり着いた場所は机を囲むように5人の人と1つの空席があった。
尋常じゃない空気の密度に二人は気絶してしまった。
「遅かったね、シューヴィル。」
「あぁ仕事で遅れた。もう初めていいぞ。」




