イヴ・ルーシュ
「今日からこのクラスを担当することとなった、名前はイヴ・ルーシュだ。気軽にイヴ先生とでも呼んでくれ。よろしく。」
この教室には俺含め11人しかいない。
ぱっと見たところ、男が6人、女が5人といったところか。
「今年からここ、アヴェレッジ魔法学園に赴任した。そして先生という役職自体初めてなもので、この学園の先輩であるおまえら、分からないことがあったら頼るから、覚えておいてくれ。」
仕事の都合上、仕方がなかったのだが、まさかこの俺が先生という職に就くことになるとはな。人生一度はやってみたかったからまぁ良しとするか。
始めてなのに初っ端から2学年生担当になるとはな。
俺の自己紹介が終わり、生徒たちにも軽い挨拶をしてもらうことになった。
俺がいる位置から最も近かった、金髪で赤目の女からでいいか。
「えーっと、そこの金髪、おまえから順番に軽くなにか言っていけ。」
「名前は金髪ではありません、先生なら名簿というものがあるのではないでしょうか?
私は、アンジュ・ドール。おそらく誰もが知っているであろう、ドール家の人間よ。よろしく。」
「ほら次はおまえだ。」
という感じで軽い挨拶をし、最初のやることが終わったので、ホームルームを終了することにした。
金髪......ぇえと、アンジュか。アンジュから指摘された通り名簿というものが俺の資料の中に紛れ込んでいた。名簿を見る感じ、有名な貴族様や一般人、訳あり学生などが点在していた。
「イヴ先生?先生の担当って何ですか?」
「ん?えぇっと...。」
「ヘイロです。」
「あぁ、ヘイロ。忘れてた。今年から方針が変わったみたいでな、クラスの人数を少数にして、教員が面倒を見ることになった。つまり、剣術、魔術、魔法、座学、全部の講義を俺が担当することになった。
まぁ俺は前の方針なんて知らないんだがな。」
「それって新しい先生には荷が重いんじゃ...。」
「大丈夫かあんな見た目で...。」
俺の身長は平均よりやや下だが、そこまで気にするほどのものでは無い。この世は実力主義だというのに、見た目で決めつけるのはいかがなものかと思うんだがね。
「俺はこう見えても、おまえらより強い。なんなら全員まとめてかかってきたとしても、倒せる。」
少しかまをかけてやった。生徒達がイラついたのが感じ取れた。
アンジュが席を立ち、こちらに歩いてきた。
「先生、私たちの実力を見たことも無いくせによくそのようなことが言えますね。
このクラスは学園内でもトップに近い、ほぼ将来が確定された、そんな人間が集まっているのです。」
「それで?何が言いたい。」
「はぁ...先生、あなたさきほど私たちの事を煽りましたよね?この学園の先輩として、アドバイスを。
この学園は生徒、教員、関係なく競い合うという目標があります。もし、生徒が教員に勝てた場合、教員は生徒の言うことに従わなければならない。というルールが存在します。」
「逆の場合はどうなるんだ?」
「何もありませんけど?」
なんだか理不尽な学園に来てしまったようだ。
にしてもとトップの実力、将来が確定、貴族様。壊してやりたいな。壊してやりたいな。新学期が始まり次第、生徒ではなく教員が面倒ごとを起こすのは非常事態だ。
それに今日はホームルームが終わったら俺は家に帰るという予定があったのだが。
「先生?聞いていますか?いまさら逃げるつもりですか?」
「面倒ごとは避けたいんだが?」
「そちらから始めたことでしょう?みんなどうしたい?」
アンジュは他の生徒たちに問いかけった。
皆の反応は、早く帰りたい...というわけでもなく、賛同している表情や行動をしていた。
ある意味学園の問題児たちを押し付けられた、そんな気がしてやまないのだが、俺も自分の発言には責任があるので、仕方が無く了承した。
「それで、何をするんだ?」
「簡単です、私たちであなたを倒します。あなたは攻撃禁止です。」
「はぁ、分かった。それでいこう。」
先生って大変なんだなぁと思いつつ、こんな仕事を押し付けてきたやつらのことを憎みつつ、重い腰を上げて、指定された場所に向かった。




