王様と友達
ある所に、わがままな王様がいました。
世界は魔王の脅威に晒されているというのに、
王様は他のことに気を取られていました。
友達が欲しい。
王様は毎日、そのことばかりを考えていました。
王様には命令に従う家来がいるものの、
心から信頼できる友達はいなかったのです。
そこで王様は国中の魔法使いたちに命じ、
別の世界から友達になれそうな人間を召喚させました。
そして、3人の男が呼び出されました。
1人目はアイティーシャチョーという職業でした。
若くして巨万の富を築き上げた成功者とのことですが、
王様はこの男とは気が合わず、処刑させました。
コンプライアンスだとかイノベーションだとか、
意味のわからない横文字を並べ立てたのがいけなかったんでしょうねえ。
2人目はマナーコーシという職業でした。
王様に欠けている礼節を教えてくれるだろうと、
大臣や魔法使いたちがプッシュしていた人物でした。
この男も処刑されました。
王様のやることなすことに文句をつけ、
意味不明な常識を押し付けてきたのがいけなかったんでしょうねえ。
3人目はニートという職業でした。
学ばす、働かず、自分の好きなように生きる。
そんな男が王様に認められるはずがない。
大臣たちはそう思っていました。
しかし、王様はこの男を気に入りました。
自分が何もしなくても周りがどうにかしてくれる。
その境遇に通ずるものがあり、一番の理解者だったのです。
かくして二人は友達になりました。
国は滅びました。