朗報!和樹殿は唐揚げの出る中華飯店でハッケイを習いますの。これで無双ですわ
僕の母さんは、僕が子供だからって、家計のことを話さないなんてことはない。
「いい。和樹、高校受験は、塾に行かせてあげられないけど、国立の大学なら、お父さんの保険金で行かせてあげられるわ。
塾も行かせてあげられるわ。だから、勉強を頑張るのよ」
「母さん・・・が使いなよ。働き過ぎだよ」
「フフフ、保険金の半分は老後の資金にするから、気にしないでね」
母さんはパートの掛け持ちをしている。
この田舎では、コンビニやスーパーなどぐらいしか働き口はない。
技能を身につけようにも、時間がない。
家事と仕事で母さんはヘトヘトだ。
僕も家事を手伝っているが、限界があるな。
☆中学校
あの山本祐介が、スクールカーストから脱落して転校して、学校の力関係が変わった。
上級生が出張ってきた。
「ああ、祐介がいなくなってから、スポンサーがいなくなったのよ。一人千円でお前らを守ってやるぞ」
「矢沢直樹・・・先輩」
上級生のDQNだ。家は〇ヤ、ガラが悪い。祐介の取巻きをしていた上級生だ。
僕は・・・断った。
「嫌です。母さんが一生懸命に働いてやりくりしてくれたお小遣いです」
「ああ、何だと!」
ボコ、ガシ、ドタン!
「チッ、弱いクセに粋がるなよ」
・・・僕はボロボロになって帰った。悔しい。ボコられたことじゃない。母さんからもらった小遣いを抵抗出来ずに取られたことだ。
家は母さんは仕事中で留守だ。泣いているところを見られなくて済むと思ったが、エリ姉さんがいることを忘れていた。
見つかってしまった。
「グスン、グスン」
「まあ、和樹殿、如何為されたのかしら」
「エリ姉さんには関係ないよ」
「そうですの・・・じゃあ、【スリープ】ですわ」
ドタン!
・・・フフフフフ、和樹殿の寝顔、美味しそうですわ。はあ、はあ、はあ、たまらないですわね。
「違いますわ。目的は和樹殿の悩みを聞き出すことですわ。魅了は・・・最終手段ですわ」
さあ、膝枕をして、
優しく、心に語りかけるように思念を送って。
寝ている間がもっとも心が無防備なのですわ。
「ムニャ、ムニャ、千円・・母さんからもらった小遣いを取られた」
「そう・・・」
☆土曜日、聖女市、アー中華飯店
・・・エリ姉さんとお出かけをした。今は中華飯店の前にいる。うわっ、「アー」って電話帳で一番最初に来るためだけの名前だ。
「ええ、エリ姉さん。お金ないよ」
「違うわ・・・和樹殿の悩みをとって差し上げますわ」
店には、チャイナ服と、お団子二つの、ステレオタイプのお姉さんがいた。
「いらっしゃいあるよ!でも、今、準備中あるね・・・って、不法滞在女!」
「フフフフ、お久しぶりです。和樹殿に、中国拳法の奥義を授けて下さいませ」
「何を言ってるあるか!私、就労ピザあるよ。お前、ない!不法滞在者は雇わないよ!」
・・・ええ、話を聞いたら、この店に雇って欲しいとエリ姉さんが来たそうだ。
エリさんは欧米系の白人、観光ピザだろう・・・そして、この中国人のお姉さんに断られた。
「私、就労ビザからの永住権目指しているね!不法滞在者の職の斡旋はしないアルヨ!」
・・・真面目だな。いや、普通が真面目に見えるって、この国はおかしいのかも。
「フフフフフ、対価に、ドラゴンの鱗、提供できましてよ」
「????見せて見せてみるアルヨ。漢方に使えそうあるね・・・恐竜の化石あるか?」
エリ姉さんはこっそり何かを見せた。
「日本には即時所得制度あるね。お前、これは盗品ではないか?」
「ええ、故郷から持って来たものよ。エイッ!」
エリ姉さんは、空間に開いた穴に手を突っ込んで、恐竜の鱗みたいなのを取り出した。
すごい手品だな。マジシャンで食っていけるよね!?
「お前、すごい手品だな。恐竜の化石はお前の私有地で発見されたに違いないあるよ。だから、お前が正統な所有者、所有者からもらう私は善意の第三者あるね」
「フフフ、そうとってもらって結構ですわ」
ゴクリ、
「やるあるよ。父は拳士だったあるヨ。ハッケイ教えるある!」
「ええ、それ、何か、すごい技っぽいけど」
「これを読むあるね。日本にハッケイの奥義書あるね」
・・・渡されたのは、「投球の超科学」
「1日で概要を読むね。側だけつくるね。それから徐々に中身を詰めればいいあるね」
・・・投球の超科学、野球の本だ。ネットで調べた。
しかし、一部の中国拳法修行者から、ハッケイの原理と同じだと評判??
「え、と、体を打者に向けて、側面を見せて、いかに、体を遠くに速く移動することこそが、投球の基本、頭から、地面に落ちるイメージは間違いです・・・ふむふむ。何か分ったようで分らないような」
そして、中国人のお姉さんから、技の基本を習う。
「立っているね。馬歩立ね。肩幅よりも広く開いて、足はアーチでつながっているイメージね」
「分りました。キツいですね・・・」
「仕込みあるから、来るまで立っているね」
そして、技を教えてもらった。
「踏み込むね。そして、体を横に回転するね。そして、肩から相手にぶつかるね」
「ええ、それだけ」
「違うあるね。仕込みあるから一人で練習するね」
そして、型通りに出来るようになってから、
「そろそろあるね。車に乗るね」
フィットネスジムに連れて行かれた。
「ビジターね。家族割ね。短期でいいね。不足分は、チャーハンをごちそうするね」
チャリン♪
「お、チュンリーさん。500円ってそりゃないぜ。この子、中学生だよ。まだ、器具を使ったトレーニングは早いかな」
「違うね。呼吸を教えて欲しいあるね」
「何か事情があるのかね」
・・・・・
「そうか。偉い。千円を取り戻すために、そうか。そうか。俺たち協力するぜ!」
「「「おおーーー」」
マッチョなジムの人たちにトレーニングを受けた。
軽い30キロくらいのでベンチプレスをやる。
ジムの人に補助についてもらって、寝て、持ち上げる。
「持ち上げるときに、息を吐くあるね。そのイメージね。ついでに筋トレするね」
「ええ、ハッケイって筋肉必要ないんじゃない?」
「馬鹿あるね!必要あるね!ハッケイは日本語に訳すとパンチね。パンチは体重が重い人、力の強い人が強いね!ハッケイを撃つは、パンチをパンチする意味になるね!」
そして、ジムでは、
主に足腰を鍛えた。
時々、チュンリーさんは、中国のことを話す。
「日本は平和あるね」
・・・中国で兄ちゃんと一緒に街中でケンカしていたね。警官来たね。
皆、逃げたね。
だけど、逃げながら、警官に、「バーカ、バーカ」と言った奴いたね。
そしたら、警官は拳銃を上に向けて撃ったね。
パンパンパンパン!
『ヒィ』
『こっちに向ける気だぞ!』
・・・・・・
「自動拳銃ね。連発ね。日本の警官は絶対に撃たないあるね。日本は法律さえ守れば撃たれないね。だから、日本のルールを守ると決めて、永住することに決めたね」
「・・・・」
僕は何も言えなかった。正直、僕は恵まれている。しかし、これを言ったら、失礼だ。
そして、修行は続く。
基本の立ち方で、重心を低くする。
体当たりの型をしながら、
「ここで、リフトを持ち上げる呼吸ね!」
「フン!」
パン!
サンドバックを振動で揺らせるようになった。
「ふう~何とか。吹っ飛ばすレベルに行ったかな」
「まだ、まだね。だけど、そろそろいいあるね。この技は陸の船ね・・・・」
そして、月に一回の、集金日を迎えることになる。
最後までお読み頂き有難うございました