17.お風呂で考える
不定期に更新します。
クロードはその後20時過ぎまで粘って勉強を続けたが、妻によってお風呂に連行されていった。が、流石に一緒に入るのはダメだから、俺が一緒に入る。
俺はシャワー派だが、夜は少し冷えることも増えてきたので妻が湯舟にお湯をはった。それを見てクロードが驚く。
「驚嘆でござるな。」
「すごいだろ、自動湯沸かし機能。」
「機能ではござらぬ、水資源の豊富さでござる。我が城では湯殿は使えるが一般庶民にまでは到底無理である故。
パパ殿、ここではどの家でも毎日湯殿に浸かるのが当たり前でござるか?」
「ああ、俺はシャワー派だから湯舟に入らなくてもいいんだけどな。風呂好きなら毎日入ってるんじゃないか?」
「この国では水はどの様に得ているでござるか?」
「ん-基本的に雨じゃないか?」
「なんと恵まれた国でござるな。」
「お前の国は島国じゃないのか?」
俺とクロードは並んで頭を洗う。イスが一つしかないのでクロードには桶を逆さにして座ってもらう。
頭の泡を落とした後は身体を洗う。シャワーヘッドに驚いている。
「これはまた合理的で便利な…
水が優しく広範に降り注ぐ如き。全身を洗うのにとても良い塩梅でござる…
これは是非とも我が城にも所望するで候!」
「まずは泡を流して湯舟に入ろう、クロード。」
機械的な機能には驚かないが、シャワーヘッドやノートやボールペンのような技術的な製品には驚くのがアンバランスだ。
「パパ殿、このシャワーなるもの、後で分解しても宜しいか?」
「ん?ああ、シャワーヘッドならほら、こう回したら外れるぞ。ほい。」
ウチのはホース一体型じゃないからヘッドだけ外れる。渡したら嘗め回すように凝視し始めた。
「形状はすごく単純だろ?ただ穴がたくさん空いてるだけだ。」
「水に勢いが必要というわけでござるか…」
「水圧…じゃなくて水量か?どっちかか両方か、そっちの方が重要かもな。
お前の国に水道は整備されてるのか?」
「水は其々の家にて甕に貯め置いて使っているでござる。
その水道というのは水路のようなものでござるか?国中に張り巡らされていると?」
「水が通る管がな、地下に埋設されているんだ。それで貯水池から各家庭に水が送られてきている。ほら、こうして蛇口を開けると水が出てくる。」
「見事でござる!やはり水資源が豊富ならこその設備でござるな…」
何やら考え込んでしまった。
十分温まったし遼太の身体が上せる前に出るとしよう。
「おーい、出るぞー。」
あ、いつもの癖で妻を呼んでしまったがクロードは自分のことは世話出来るんだった。
妻が来てしまったがいいだろう、とクロードを託す。妻は嬉しそうに世話をしているが、大人しいと思ったらクロードは考えに耽っていたようだ。
「よし、決めたでござる。」
ん、どうした?
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