1.厨二病になっちゃった?!
「ちょ、ちょ、ちょっと!りょ、りょ、遼太が、ちゅ、ちゅ、厨二病になっちゃった!!」
リビングで一人スマホをいじっていると妻が血相をかえて飛び込んできた。相当混乱しているらしい。
「厨二病ってww 遼太はまだ1歳8か月だぞ?何がどうしてそうなるんだよ。
お前今寝かしつけしてたはずじゃん。」
「い、いいからこっち来て!」
妻は強引に俺の腕をひっぱって寝室へと連れて行く。
この時はこれが「あわわ」ってやつかぁとか暢気なことを思っていた。
薄暗い寝室に入り電気をつけると、握りこぶしを膝の上に置いて正座していた遼太がおもむろに立ち上がった。
「ご主人でござるか?拙者はクロード・エンジュと申す。
此度は異世界から我が国を救うべくこの世界に参り申した。しばしご子息の身体をお借りするゆえお許し願いたい。」
と一礼した。名前の発音だけ外国人みたいにいいのがイラっとした。
確かに、これは…俺の頭がおかしくなったのでなければ、遼太がおかしくなった…わけないよな。
どう答えたものか頭が回らない。
「遼太、遼太!どこで覚えてきたのかな?ママとねんねの時間だよ。もうおしまいして寝よう。」
妻は受け入れることを拒否したようだ。
「えーと、エンジュさんが名前?異世界転生者なんすか?」
理解が追い付かなくてまぬけな質問をしてしまった。
「いや、両名混乱されるのも無理はない。
拙者は転生者ではござらん。次の満月の日には元の世界に帰還せねばならぬ。今の状態は異世界から魂だけが憑依している状態でござる。あとエンジュは家名でござる。」
「ってか、なんでござる?侍なんすか?」
「言語は自動翻訳されており、拙者の性格に一番あった言葉遣いになっているにすぎぬ。」
「じゃあ年は幾つなんすか?」
「拙者は24歳でござる。」
「なんだよ!年下じゃん!」
「異世界間憑依の魔法陣を使うには、生命力に溢れた健康な男児でなければ叶わぬ故。」
「いや、でもこれ、赤ん坊に憑依しちゃってるじゃん…」
「憑依は自我の強い相手だと成功しない故、小さな子供に憑依することが多いのでござる。」
「確信犯かよっ!」
「拙者、異世界間を渡って憑依したせいで活力が不足しているでござる。しばし眠る故、目覚めの後にまた説明するでござる。ごめん……くぅ」
と倒れこんであっという間に眠ってしまった。
「自由かよ、おい!」
思わずツッコんでしまった。
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