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女の俺は世界で一番エロ可愛い  作者: 椎木唯
序章 目覚めは迷子の子猫ちゃん
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闊歩!! 異世界散歩道

「その格好、動き辛くないっすか? 何度か躓いてるし……」


「馬鹿っ、女の子には利便性よりも重要視するものがあるんだよ! なっ?」


 シェルダの肩を叩き、満面の笑みで振り返る。前衛を男二人、後衛キルビアの万全の体制で森の中を闊歩していた。気分は遠足である。迷子ってのが難点だけどね。

 そんな背景を思い過ごしながらガルバの同意を求めるドヤ顔を眺める。え、何? 何でおっさん筆頭のガルバが……?

 心は乙女ですよアピールっすか? なんか違うな。多分間違ってるよな。

 若者だぞ、アピールが回りまくって性転換しているまである。俺かな?


 なんやかんや自分で図星かつ、煮干しだな〜と、思いつつ自身の格好を再度確認する。何度見てもウェディングドレスだった。やっぱり、格好おかしいよな。どこの絵本の世界線だって話。


 エルダートレント、ウィンドドラゴンとの逃走劇を含め、スカートで居ることには慣れたのだが……いや、慣れちゃおかしいよな? まあ、経験値の差って事で。悪化してるね。

 流石にヒールはキツ過ぎるのでドラゴン討伐の後に履き替えたけど……あれ、ウェディングドレス固定じゃないんだね。マジでコスプレじゃん。


 慣れはしたのだが適応はしていなかった。何度でも掘り起こすけど森の中をドレス姿で行動するってどんな縛りプレイなんだって話。羞恥プレイは性癖的にオッケーだとしても歩き辛いったらありゃしない。こうなったら服を脱いで全裸で行くしかないよなあ? どうも、露出狂のアクです。

 花嫁から性犯罪者にランクアップだね。


〈職業、花嫁から性犯罪者にランクアップ……失敗。一ヶ月のクールタイムが解除出来ていません。〉


 しなくて良いから……何勝手に人を犯罪者にしようとしてるの? しかも性犯罪って。


 脳内に響く危ない声におっかなびっくりしながらイヤらしい手つきのシェルダと目を合わせる。こいつ、将来性犯罪おかしそうだよな。顔が良い分泥沼展開になりそう。なったら教えてね。

 勿論ギルバはスルーだ。変に関わったら駄目なタイプ。


 初対面から十数分の間であるが教わった事である。テンションがおっさんじゃないんだよなあ。見てて悲しくなるものがある。


「確かに動き辛いけど……あ、着替えとか持ってるか? 出来れば上質なものがいいんだけど」


「さり気無く条件付け足すっすね。俺は……サイズの問題があるんでキルビアさんは持ってないっすか? あ、でも胸部がーー」


 何が? と、疑問に思う前にキルビアのアイアンクローがシェルダの顔面に突き刺さった。地雷を踏んだらしい。


「何か言ったかしら? ーー着替えなんだけど生憎日帰りで帰る予定だったから持ってきてないよの。代わりにシェルダの物だったらあるんだけどね」


「いてててで……え、着替えって俺もこの一着だけなんすけど?」


「それよそれ。ほら、早く着替えて? 幸か不幸か大自然のど真ん中だし通報はされないわよ。寧ろ、現地人と思われるかもね」


「うほ、うほほほ?」


「ちょ、アクちゃん? 現地人ってそこまで時代逆行しないと思うけど……? え、ガチで脱ぐの? ……新しい道が開けそうっすね」


 頬を赤らめ、いそしそと脱ごうとしているシェルダの股間を軽く蹴り上げる。マジで脱ぐなよな……俺、これでも乙女なんだぜ? 内面は養殖も養殖だけどな。性転換は養殖って言うのか? ニュートンも驚きだな。


 悶えているシェルダの腰から使い古されたナイフを取り出し、長ったらしいスカート部分を切り取る。気分は図工の時間である。どこの小学校にナイフでスカートを切る授業があるんだよ、と思ったが世界は広いのだ。探せばあるかもしれない。ここ、異世界だし。


 ぱっと見式場から逃げ出した花嫁からコスチュームから一点、戦場を駆ける花嫁に変貌した。印象的にはコスプレ度が上がったって感じだね。エロスでもある。夜営が心配だ。夜の営みに変わってしまいそうで……。

 と、自身の女としての魅力に酔いしれながらナイフを戻す。

 意外と苦戦して数分弱かかってしまったが、バッチぐーだ。その頃には股間の痛みに悶えていたシェルダも完全回復していた。金玉が金玉として使えなくなってしまったらごめんな? その時はペニパン付けて高笑いしてやるから。何その世界線。面白そう。


 呆気に取られているキルビアと、我慢していただけだったのか汗が止まらないシェルダ。そしてこの間までずっと一方通行で喋り倒しているギルバ。と情報量が多すぎる現状をスルーする。

 代わりにキルビアの胸部を凝視した。


 胸部についてシェルダが突っついていたが……。

 ぱっと見、俺よりもデカイ気がするんだけど、まさか盛りニスト? 何だよその造語。

 こんなモンスター蔓延る世界で胸の詰め物とかあるんだね。もっと違うところを充実させろよ、とは思ったが充実させたゆえの娯楽だろう。パットを娯楽と呼ぶのかは定かではないが。


 視線を察知したのか睨みつけられたので視線を戻す。ウザったらしい顔にひっついていたベールは道中で捨てました。不法投棄って奴ですかね……。でもギルバが後で拾っていたのを見ていたので心配はない。拾って何に使うのか気になり過ぎて心配だが俺への法的な処置はされ無さそうです。

 逆に俺が訴えるまである。


「結構、豪快に行くんすね……金的も、スカートも」


「ほら、男は度胸って」


 短くなったスカートに居心地の悪さを感じる。一周回って……気持ち良い? 最近、一周回りすぎて世界一周んできるんじゃないか? と思う日がある。夢物語だね。

 ふふっ、と息を溢すようにキルビアが笑う。


「それ、女には言わないわよね?」


「愛嬌も一周回って度胸に……」


「回ってる最中で突然変異でもしたのかしらね、それ」


 そこまでっすか……。


 勿体なさそうに見つめていたのは最初の数秒だけですぐに話は戻った。ギルバは案の定拾っていたが。流石にキルビアに怒られていた。ロリコンだって。

 ギルバは怒られたし、俺はロリだと罵られた。背丈と声質的にロリではないと思うけどなあ……。だが、判断するのは他者である。悲しい次第である。ロリなら男風呂にも侵入できるよね? 男子風呂をボッキの嵐にしてやんよ。何その通り魔。逆の立場になってみてえな。


 浅ましい欲望が出てしまったが両性具有の両性なしである俺はR的発禁は無いに等しい。ん? なら、安全なエロのコンテンツとして楽しめるのでは?

 まあ、俺にクソほどのリターンもないのでする気にはなれないのだが。どうも、貞操概念の固いで有名なアクです。穴はねえけどなっ!








 時間は進み、夕方頃である。


 迷子、のギルバの言葉通りにマジで迷子らしく、当てもなく、たっだコンパスの北に沿ってまっすぐ歩いているだけだった。出れるまで何年掛かるのだか……。

 道中、何度か思ってしまったのだが言いたい事を体験してきたのか三人の表情は意外にも明るかった。人間、境地過ぎると面白く感じてしまうんだね。知りたくない情報だったわ……色々と。


 辺も暗くなり、静かった森の中が一点、様々な動植物の鳴き声が煮込み料理並に自己主張をしていた。植物の鳴き声って何だよ、とツッコミを入れたかったのだが聞こえてくるものはしょうがない。たまにボイパみたいになるので楽しくはある。割合的に空気中の二酸化炭素の割合なので誤差レベルなのだが。


 夜営の準備、とリーダー的立場であるギルバが背中に背負っていたドデカイリュックを下ろし、テントなど様々な道具を取り出す。

 男と、女で別れて行動することになった。勿論俺は女グループである。私、か弱い女の子だもん。マジで箸以上の重さの物が持てなさそうな腕をしているのだ。これじゃ、男を満足させられないぞっ! はい、師匠!!

 誰だよ、師匠。


 寝床であるテントの設営である。

 見ているだけで男心を擽るものがあったが、いざ体験してみると滅入る物があった。


「これ、結構疲れるんだな……。こんなの、ほぼ筋トレと同じじゃん」


「ふふっ、確かにね。組み立てが難しくても頑丈だから安心感はすごいわよ? 身近に狼がいるけど」


「……遮音性が凄いのってそう言う事なの」


「真実は闇の中ってね。二人が帰って来たみたいだしご飯の準備しましょ? 美女二人の手料理ってだけで二人の心はギンギン間違いなしよ」


「精力剤は混ぜないでな?」


「ふふふーー」


「こわっ」


 夜営で安心感を得れますのセールストークは嘘だったのか。新手のナンパなのね……、と気が滅入る物があるがそれをかき消す勢いのガルバの声が聞こえてきた。


「エルダートレントの群生地を見付けたぞっ!! 今日はサラダパーティーだなっっ」


 気の滅入りを加速させる悪魔の囁きだった。

 キルビアのは表情的に嘘だと理解できるがガルバはダメだ。アイツは大真面目にバカをやるから信用ができない。


 夜営のテントから飛び出し、見えた光景に笑顔のフェルダが居たので今晩のご飯の人肉になりそうです。何だよアイツ、草食系か? それともヴィーガンか? エルダートレントを植物と仮定するのは難しいところだけどな。いや、そもそも食えるの? 木だぞ、アイツ。

 ウィンドドラゴンの伐採音の咀嚼が脳裏を過る。何かの間違ってあって欲しいわ。

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[良い点] とりあえず続きはもう少し読むかな [気になる点] 文章が毎回言い回しとかお祭りなのでやはり読むの疲れる たまにならいいけど 毎回毎回お祭りな思考や会話の文章なので 続きが気になっても挫折し…
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