三題噺第11弾「北」「墓標」「最悪の殺戮」
全てはあの時から始まった。
“最悪の殺戮”と呼ばれた惨劇を覚えているだろうか。
今から10年前、1999年。2000年問題が騒がれ始めた頃、事件は起こった。
ある一人の学生が世の中に対するデモを起こした。それが過熱してしまったために、全人口の半数にあたる人間が“墓標”に沈む結果になってしまった。
なぜそんなことになってしまったのか。
「ボタンを押してしまったのさ」
狂ってしまった歯車を止めることができなかった。
核兵器のボタンが誤って押されてしまったのだった。
2000年問題で起きる予言を、1999年にしてしまったのだから、予言者を殴り飛ばしたくもなる。
まぁ、もうこの世にはいないと思うがね。
“北”の大地は荒れ果て、人は南に生きるしかなくなった。
さぁ、これからどうやって生きていくのだろうか。
いつかまた、君に話す事件がやってくるかもしれない。
そのときはまた、取り止めもなく、淡々と事件について話そう。
それでは、また。いつの日か。
お読みくださりありがとうございました。