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後日談

そよそよと風が花の香りを運んでくる。


あれから一年経ったが、魔王もあの王様も大人しい。

理由は僕がお互いに攻め込ませないようにさせたから。


王様側、というか人間側には魔界の境界付近に例の蔦を張り巡らした。

敵意に反応して取り込む蔦で、達の悪いことに武器の中にある弾を種に変える魔法が発動するようにしているので、屈辱の地と名付けて近寄ろうともしない。

綺麗なのに残念。

時折僕の贔屓している街の人達が遊びにくるくらいかな?

薬草もたくさん生えてるからね。


魔王の方はオベロンとティターニアの願いもあって、意地悪だけど能力を封印させてもらった。

今の領地以外に根を伸ばすことが出来なくなった。


まぁ、もともとオベロン達精霊の土地だしね。

人間が繁栄してたとしてもそこは変わらない。


魔王はもしかしたら長い時間を掛けて解いちゃうかも知れないけど、蔦の主導権を既にオベロンに手渡しているので問題はないはず。

あれは解かれた時用の結界の杭の役割も果たしているから。

寿命が無い妖精を敵に回すと怖いんですよ?


それでも行き来自体は出来るから魔王はたまに遊びに来るんだけどね。

毎回来るときに攻撃されるんだけど、殺気が込もってないから前のようにお土産持たして帰してる。








アヴァロンが楽しげに歌いながら飛んでいる。


今はゆっくりと南下して、海の上を移動中。


土地の縁が切れたからあっちこっち行けてすごく楽しい。地上で僕は空帝の称号が広まったのでみんなお月見みたいな感覚で見上げてくれるだけで攻撃とか無いので、通過するお礼に煎じて飲めば薬になる花びらを降らしていく。

ギブアンドテイクだ。


あ、そうそう。

あの戦争でマジリックが“竜の先行者”という称号と、世界最強の魔法使いの称号が与えられた。

といっても今もドラゴンの国に引きこもって薬の研究に勤しんでるけど。

おまけに各竜王直々の弟子にされて学んでいる。

正直羨ましい。


シャドウはカラクリの素晴らしさに惚れ染み、僕に要求した報酬の巨大カラクリ人形を見世物として世界中を渡り始めた。


ユーハと使者達とは相変わらずの関係。

マイペース最高。


「はぁー、平和っていいなぁ」


そして僕なんだけど。


相変わらずゆるゆるっと平和を楽しんでいる。

髪も短いままだし瞳も片方色が無くなったけどそんなの全然問題ない。

使い魔達にめっちゃ怒られたり泣かれたりしたけど、必要な犠牲だったしね。というか、いつか髪は戻るよ。瞳は多分無理だけど。


「ウィル、メナードさんが呼んでたよ」

「マリちゃん…」


ああそうだ。

変わったことがひとつ。

あのあと色々ありまして、僕とマリちゃんが付き合うことになりました。

僕の方はマジリックの事や弟子の事とかもあって渋ってたんだけど、マリちゃんに押し負けました。

強かった。


「もしかしてまたアップルパイの件かな……」


髪の毛を切られた事に何よりショックを受けてたメナードだったから、魔力が元の量に戻れば…って溢したばかりにここぞとばかりにリンゴを食べさせようとしてくる。

心遣いはありがたいんだけどね、そろそろアップルパイ飽きました。


「じゃない?一応他のものに変えてみるのも良いんじゃないかしら?って言っておいたけど」

「すっごい助かる」


よいしょ、と、腰掛けから立ち上がると、マリちゃんが手を差し伸べてきた。

出会った頃よりもより美しく、女性らしく、それでいて逞しなくなった手を取る。

傍らに立て掛けていたアルスレッドさんを腰に差して、メナードの元へと歩き始めた。

















こうしてウィル・ザートソンは一時封印騒動はあったものの、もう巡る事なく、最後の最後まで手にいれた平和を楽しみましたとさ。



めでたしめでたし。

最後まで読んでくださった読者の方々へ


これにて世界最強の大魔術師のお話は完結となります

本当にありがとうございました


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