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怒らせましたね?

「グロウ!!マリちゃんお願い!!」

「わっ!えええええ!!!」


まさか空中で放り投げられるとは思ってなかったマリちゃんが悲鳴をあげながら落ちていくのをグロウがキャッチしてくれた。


ごめんねマリちゃん!!

後でちゃんと心のそこから謝罪します!!


ピュンピュンと銃弾が飛んでくるが、全て当たる直前で起動変更してピッチャー(射撃者)返しをすると、草むらに潜んでいた人達が被弾して倒れていく。

草が汚れちゃった。後で綺麗にしないと。

というかさ…。

ダメだよ、魔法使いに魔法返しされる可能性を考えて、ちゃんと防壁張ってないと。


まぁいいや。


「僕は少し怒ってるからね…」


ゆっくり降下していくと、デモナスが僕に気付いて驚いた。


『あれ!おっかしいなー、なんでウィル・ザートソンが二人…』


デモナスが人形を更に引きずり上げ、見比べた。

そしてようやく理解したらしい。


『あは。あー、どーりで弱いと思ったんだよ。こんな雑魚が魔王様とやりあえるわけないしっ!』


人形が乱暴に投げ棄てられた。


爆発に巻き込まれたのか服はボロボロ。足も片方無くなってて、攻撃を受けたらしい両腕は徹底的に折られていた。

人形の記録が転送されてくる。

そうか、最初の爆発からメナードを庇ったのか。


「1号。ありがとう。もう眠って大丈夫だよ」

「《…は………ぃ…》」


人形が停止して元の姿に戻る。


その隙にとクーとリンリンがメナードを引きずって安全地帯まで回収していく。

マリちゃんもグロウからわたあめに引き渡されてメナードとともに搬送。


さて、どうしてくれようか。


『なーんだ。せっかくウィル・ザートソンを討ち取ったと思ったのに残念だなー』


と、ニタニタ笑いながらデモナスが言う。


「お前ごときが僕に敵うとでも?」

『いくら強くても隙くらいあるからね。だからこうして森に乗り込めた。どう?悔しいでしょ?自分の城が荒らされるのは』

「そうだね。僕の楽園に土足で足を踏み入れて、更に踏み荒らしてくれたんだ」


一歩足を踏み出す。


風が舞い上がり、つむじ風が生まれていく。


「まさか、無事で帰れるなんて思ってないよね?」


懐かしい臭いが思い返される。

鼻につく、戦場の香り。

大嫌いな匂い。


僕の圧に押されたのか、デモナスが思わず一歩後退した。


『…ふふふ、そっちこそ負けるわけがないって顔してる。何の準備もせずに来るわけないだろ!?バアーーカ!!!!』


草むらからゴーレムが起き上がった。

体長は2.5m。

金属の体に銃砲がたくさん付いている。

それが5体。


『見ろ!これが最強の──「銃身ゴーレムとでも言いたいんだろ?全くめんどくさいの造ってくれたね」──なっ、なぜ名前を…っ!』


反吐が出る。

ああムカつく。

こんな人間が死んだ瞬間に発動するゾンビゴーレム達に森を荒らされるなんて、ほんと…。


「… “崩れ落ちろ” 」


『は?』と、デモナスが間の抜けた声をあげた。


グシャリ、潰れる音。


バチバチと表面に電気が走って、ゴーレム達は潰れてほどけて、崩れ落ちていく。グシャリ グシャリ グシャリ。


最後のひとつもグシャリと呆気なく。


『………………ぁ、え…??』


理解できないと、顔に書かれたデモナスだけど、それを丁寧に説明してやる義理もない。


一つの瞬きの間にデモナスの目の前に来ると、つむじ風で空高くへと吹き飛ばす。

ばたつかせる手足を無視して、更に上へ上へ上へ。


空と果ての境目まで吹き飛ばして、デモナスの表情がようやく恐怖に歪んでいた。


ここらへんは魔王の加護も薄いからね。

怖いよね。

転移の範囲からも外れているもんね。


「これで死ぬとは思わないけど、まぁ、僕の怒りの一撃をあげる」

『た、たすけ……』


うるさいよ。

せめてメナード達を怪我させた責任はとってもらう。


魔力を込めた両手を組み、デモナスへ向かって力一杯振り下ろした。


「激怒砲ッッッ!!!!!!」















その日。

凄まじい衝撃波を放つ、空を貫く白い矢があちこちで観測されたのだった。





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