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キノコのこのこ

考えている。


「うーーん」


考えている。


「んーーーーっ」


物凄く考えている。


「…………思い付かない」


どうやったら良い感じにこの戦争が終息するのか。もしくはさせるのかを精一杯考えたけど思い付かない。

思えば、僕ってばこの戦争が平和的に終わるの見届けたことがなかったなと。

そうだよいっつも途中で失敗して死に戻りか僕が世界を滅亡させて終わりにしているじゃん。


もちろんあっちの世界での戦争の終わり方は知っている。


大体国が滅亡してますね。

原爆とかで。

僕も人のこと言えないよね。

むしろ僕が原爆みたいなものだもん。


「どっかの物語みたいに犠牲を出さずに両成敗したい」


それが理想。

ついでに二度と僕に関わってこなくなってくれるのが夢。


「なーんかいいの無いかなぁ…。記憶も怪しくなってきてるし、といっても大体が大きな戦争が起きて主人公が活躍して多大な被害を出しつつも勝利を納めるってのが王道だし」


いつの時代もそうだ。


でもでもでもー、もうそろそろさ、そういうのは終わりにしたいしー。


そうするにしても魔王のあのチートを何とかしないといけない。

てっきりすぐに攻撃してくるのかと思ったけど、予想に反して何の動きもない。

何かの作戦かなと探りを入れようとしたんだけど、ラビリンガスに仕込んで魔王城に侵入させた簡易偵察使い魔はプッチンされてた。


なので、今んとこどういうタイミングで攻撃してくるのかまったく分からない。


僕の千里眼も限度があるからなー。

せいぜいが望遠鏡と未来予測と魔法解析とか…。


「あ」


ウィンデーネが空を散歩してる。

雨が降るのかな?


「!」


唐突に閃いた。


これなら人間の武器をほとんど封じることができるし、うまくいけば魔王のチートの一つを封じられるかもしれない。

それには色々準備が必要だ。


腹筋を使って跳ね起きると、あることを確かめるために家へと急いで飛んでいった。














雨が降っている。

そんな雨の中、お師匠は魔法で雨避けをしない状態で庭にしゃがみこんでいた。


「…ボソボソボソボソボソボソ…」


そしてなにやら高速で誰かに話している。


誰もいないはずだけど、何か視えるのかしら?


『キノコの精…』

「キノコの精?」


クーちゃんが教えてくれた。

いわく、あそこに生えているキノコに宿る妖精に話し掛けているんだとか。

なんで?


『なにかあるのかも…。だから邪魔したらダメ…』

「そうね…」


すごく気になるけれど、大切なことに違いない。


『マリ!クー!ビーズ手伝って!』


リンリンがドラゴンのサイズを纏めた書類を運んでいる。

そうだ。私にもやることはたくさんあるんだ。

お師匠の事は気になるけれど、まずは自分のことをしなくちゃ。













おけおけー!

みたいなテンションでキノコの妖精が消えた。

良かった上手くいった。


これで近いうちに国全部のキノコ達に伝わることだろう。

その為には僕も手伝わないといけないのだけど。


「さーてと、後は銃弾の干渉魔法を作成しないと。で、あの槍の対策は、そうだなぁ…」


頭をフル回転。


アイツさえなければ幾分か楽になるのだ。

かといって、あれは命を狩ることに特化した魂が植え付けられている。

説得なんてできるはずがない。


「とすると、叩き折らないといけない」


しかし、あの槍を折ることの出来るものなんてあっただろうか?

あれでも水中使用じゃないから威力が落ちているなんて信じられないほど凶悪で固いんだもんよ。

あんな物を折れるものなんてあったかな??


「………………………、あ」


同じではないけど、知っている逸話に似たようなものがあったのを思い出した。


「ちょっと遠いけど、取りに行くしかないか。でも僕のいない間に襲撃されたら嫌だしなぁ」


どうしたもんかなと首を捻っていると、窓辺から髪をバッサリと斬ったシャドウがこっちを見ていた。

様子見されてる。


「…そういえば影って忍者みたいだよね」


シャドウの元へと向かっていくと、それに気づいたシャドウが急ぎ足で去っていこうとする。

待って待って待って!用があるんだってば!

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