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リンゴ

リンゴの木。

アヴァロン。


そういえば、アヴァロンってリンゴ関係の土地だったな。

植えてみるか。


「うちあるぜ。持ってこようか?」

「ほんと?凄くありがたい」


と、いうわけでマジリックが持ってきたリンゴの木。


「そーゆー持ってき方する?」


苗木のレベルではなく、リンゴの木丸ごと。

煌竜様が咥えて持ってきて下さった。


『うれしい?』

「めちゃくちゃ嬉しいですどうもありがとうございました!!!!」


煌竜様が持ってきたのは全て嬉しいし宝物です。


『これはこれは…』

『いいにおい!』

『甘いにおい!おいしそう!!』

『魔力凄い…』


メナードは立派な木だとしげしげ眺め、大福とわたあめは匂いを嗅ぎまくり、クーは魔力測定していた。


『リンゴ酒作れるな』

『先にアップルパイだろ』

『両方はダメなんですか?』


一方大人組のグロウ、ヒウロ、ロックは少し離れたところでそんなことを言っている。

たくさん実ったら作ってみるか。


「リンゴって、体内の魔力調整しますよね」


突然のマリちゃんからの質問。


「そうだね。他にも虫歯とか、腸内環境をよくしたり、二日酔いにも効くね」

「町で売れますね!二日酔いにこれ一本!って感じで」

「確かに」


酒場にも言いくるめたら売れそうかも。

だけど、マジリックがやめた方がいいと首を振った。


「こいつは竜の国産だ。どっちかって言うと魔力補強剤に近いし、普通の人間が飲むと魔力酔いで倒れる」

「そうなんだ」

「たしかにそれは止めよう」


生産地を問い詰められても困るし。








「これでよし」


リンゴの木、設置完了。


「じゃ、俺達は帰るけど…」


ビシリとマジリックの人差し指が目の前に突き出される。


「くれぐれも無理してマリを困らせんじゃないぞ!」

「兄さん!!」

「わかったな!!」


グリグリとおでこに刺さる指。


「肝に銘じておきます」


ふんっ、と満足そうに鼻を鳴らし煌竜様の元へと去っていく。その後ろを追い掛けて、マリちゃんがポカポカとマジリックの背中を殴っていた。

微笑ましい。


そして去っていった。お土産もって。

マリちゃんが少し寂しそうにしてた。


そのうち竜の国にも門を設置でもしようかな。












宙に浮いて、アヴァロンから抜ける。


アヴァロンは風の精霊だ。

属性は風だが、同時に空間そのものであり、結界でもあり、生物でもある。

見た目は鳥だが、僕の調整にて現在の基本的な食事は空気と日光と水と魔力。

植物みたい。


「アヴァロン」


呼び掛ければこちらを向き、るるるると声をあげる。

可愛い。


「これ、食べるかい?」


マジリックの持ってきた竜の国産のリンゴ。


きゅー!きゅー!とリンゴを見せるなり、雛が親に餌をねだる様にして口を大きく開けた。

お?もしかして食べるかな?


「はい、どうぞ」


ぽいっとアヴァロンの口に放ってやれば、パクンと閉じる。

すると、シュワワとリンゴがほどけて森全体に広がる。そして空間内の魔力濃度が上がった。


「おお!?」


これは、すごくない?


え?リンゴ巡回良いじゃん。

アヴァロンも喜ぶし、森も喜ぶし、みんな喜ぶし、僕もハッピー。


その時、良いことを思い付いた。

悪いことかもしれないが、ニヤニヤ止まらない。


ふふふふ。

これは面白くなってきたぞ。


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