材料集めは順調です
マリちゃんにめちゃくちゃ怒られた。
無茶をしないでくださいって。
なんで怒っているのか分からないけど、心配させたらしい。
「あんなに怒ってるマリちゃん初めて見た…」
『だからといって抱き付かないでください。重いです』
「だってあんなに怒られたの久しぶりすぎて…」
台所で作業中のメナードに後ろから抱き付いてっていうか、ぶら下がっていると嫌がっている雰囲気を漂わせてきた。でも僕は離れない。
はぁー、怒られ耐性が低下してたらしい…。
精神的なダメージをメナードで回復している。
メナードは僕の兄弟みたいなものだから凄く安心する。
…あれ?シャンプー変えた?
『ウィル様、敵影が見えました』
マリちゃんみたいな匂いをさせているメナードにどういうことだと頭を捻ってると、グロウがやって来た。
もう来たの?早いなぁ。
メナードから離れると、ひょいとメナードの背が伸びた。
膝曲げてやがったこいつ。
「何人くらい?」
『地平線一杯に、ですかね?』
「初撃で潰す気まんまんじゃん。じゃー、行きましょーかね」
ロックくんが僕に気付いて手を振ってる。
可愛い。背中の得物はえげつないけど。
何背負ってるの?バズーカ??
そんなの買った覚えないよ僕。
「どんな感じ?」
壁の上に下り立てば見回り組の皆が場所を開けてくれた。
ドンドコドンドコと遥か彼方から魔法弾を撃ち込んで来ている。昨日皆が設置してくれた魔法陣のおかげでその攻撃的みんな魔力チャージに使われてます。ありがとうございました。
『様子見って感じですかね?』
『魔王が軽くあしらわれているんだ。用心深くもなるさ』
『確かに』
グロウとヒウロが笑いながら言う。
君ら僕と魔王が壁の外でお茶してるとき壁の上で観賞会してたもんな。
ほんとそーゆーとこ気が合うね。
『反撃はどうしますか?』
ロックくんがバズーカを指差しながら訊ねてきたけど、君それ撃ちたいだけじゃない?
「もうちょっと魔力欲しいからそのまま待機。森への被害は考えなくていいよ、昨日の時点でこの森には僕ら以外の生き物は居ないし」
どんなに探しても虫一匹見付けられない。
見付かるわけがない。
『クレーム処理の事を考えなくていいのは楽で良いっすわ』
「だからと言ってやりすぎは駄目だからね」
後の反動が僕の方に来るんだから。
『わかってますよ』
本当かなー。
まぁ、いいや。本格的に動き始めるのは昼くらいだろうし。
「この調子だと、今日中には完成できそうだね。よし、みんなは引き続きここで囮、無いとは思うけど結界すり抜けた攻撃の対処と、魔王が来たときの連絡をお願いね」
それまで僕は最終調整だ。
『かしこまりました!』
くるりと家の方へと向いて、作業場へとテレポートした。
「よっと」
薬の瓶や薬草が干された僕の作業場へと到着した。
その中心の机の上に一つのフラスコが置かれている。
オレンジ色に輝く石の周りを僕の髪と同じ色の風がクルクルと回っている。
フラスコの周りには魔法陣が配置され、そこから光の塊が飛び出しては、フラスコをすり抜け石にぶつかって弾けていた。
あの光は攻撃に使われている魔力だ。
どうしても最後は大量の魔力がいるからね。
僕のでも良いんだけど、やっぱり使えるものなら使いたいじゃない?
「うん、良い感じに集まっている」
魔王軍は濃厚な魔力を持っているものが多い。
だから必然的に魔法弾の魔力は良質なものになる。しかも大量。最高だね。
あとは、彼が来てくれれば最高だけど。
気配を集中させると、前にラビリンガスに着けた使い魔が魔王城の動きを伝えてくれる。
といっても魔王の魔力を感知するだけだけど。
少なくとも、彼が此処に来るか来ないのかを判別───
「!!」
にやりと思わず笑みが浮かんだ。
「来た」
ズズンと空気が重く息苦しくなっていく。
魔王は本気の本気で僕を仕留めに来たみたいだ。
空が禍々しい赤に染まっていく。
──『ウィル様、来ました』
脳内に響くグロウの声。
「うん。今行く」
楢の杖を体現させ、窓に足を掛けると、壁へと飛んだ。




