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煽ってみた

「んー………」


悩む。


アレ以上街をスラム化させたくない。

どうしたもんか。


「んんんんーー………」


かといって軍人達を一つにまとめてドカンはもっと良くない。

放っておくのは論外。


「…………あ」


そうだ。

確か彼処の野原はどの街からも遠い。

一回相手してやれば諦めてくれないかな?

ちょっとだけ本気だして、死者出さずにやれば…。


「…よし、試しにやってみるか」


お気に入りの丸椅子から立ち上がり、紙にペンを走らせた。














ウィル・ザートソンを討伐任務を受けて早半月。


「ははっ、実に平和だ」


コーヒー嗜み山を見る。

あの山に標的がいる。王曰く、この国の宿敵、らしい。

なんでも王命に逆らったからという理由だ。


そこで選ばれたのがこの俺、ザットンハン・ティファニーだ。


同期の奴等に可哀想にという目を向けられたが、俺はそんな馬鹿正直に山に行きはしない。

行く奴はバカだ。

暗殺者のやつらは賞金目当てで一斉に向かったが、未だに帰還したものはいない。

そしてウィル・ザートソンを討ち取ったという話も聞かない。


きっと山の途中でくたばったか、魔法に阻まれているかのどちらかだろう。


そんなことしなくても良いのに何をしているんだが。

じゃあどうするのかって?

もちろん近くの街で待ち伏せすれば良いのだ。


あいつも化け物だが所詮は人間。

何かしらの補給にいつかは街にやって来るはず。そこを取り押さえれば良いだけだ。

いくらウィル・ザートソンが凄い魔術師でも数の暴力には敵うまい。


まぁ、それまではこの街で悠々自適に暮らしているがね。


「失礼します」

「ん?」


部下が来た。

手に何やら持っている。


「なんだ」

「ウィル・ザートソンからの手紙です」

「なんだと!?」


コーヒーを置き、手紙を受けとる。

確かに名前はウィル・ザートソンだ。


裏返すと、鳥の姿が刻まれた珍しい青い蝋で封をされていた。

これは確かにウィル・ザートソンのものだ。


蝋を剥がして中身を見てみる。


そこに記された内容に震えた。

三日後、ヘラノ平原で皆様を待っています。

めんどくさいので纏めて相手をします、と。


「バカにしていやがる!!!!」


手紙を握り潰した。

あの鳥め、相当痛い目に合いたいようだな。

捕らえるだけにしてやろうとしていたが、これは一度酷い目に遭わないと分からないらしい。


「おい!」

「はい」

「周辺の隊にも連絡いれておけ。三日後、ウィル・ザートソンをボコボコに出来るチャンスがある。装備を整えてヘラノ平原へ向かえと」

「わかりました。あの…」

「なんだ?」


イライラと部下を見る。


「我々も出撃するのですか」


キレた。


「何を当たり前の事を言ってるんだ!!!!馬鹿なのかお前は!!!早く行け!!!!」

「は!!はいっ!!!」


バタバタと慌てて出ていく部下を見送り、さっそくウィル・ザートソンをどうやって痛め付けてやろうかと考えた。

一思いにでは楽しくない。


「ヒヒッ」


覚悟しておけ。














三日後。

一足先にヘラノ平原に辿り着いた。


「さて、来てくれるかな」


これで来なかったら笑うけど。


「お?来た来た」


地平線の先に影が。

ちゃんとみんな来てくれたようだ。


さて、ちゃかちゃか終わらせますか。


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