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お久しぶりです

一旦森に戻り塩を置いて事情を説明。

そして出掛ける準備をする。


誰だか知らないけど用心するに越したことはない。


「あの、お師匠またお出掛けですか?」

「うん。僕の事待っている人がいるんだ」

「そうですか…」

「?」


マリちゃんがなんだかしょんぼりしている。

どうしたんだろう。

体調でも悪いのかな?


マリちゃんのおでこに手のひらを当てる。


「ぴっ!!??」

「うーん、熱はないなぁ」

「なっ、ねっ熱はないです!!!」


にしては顔赤いけど。


「そう?でも具合悪かったら心配だからさ」

「大丈夫です!!ちょっと…お師匠に見せたいものがあったから…」

「え、そうなの?」


なんだろう?


「なに?」

「後で大丈夫です!逃げませんから!」


逃げないって、生き物なの?(笑)


「どのくらいで帰ってきますか?」

「分からないけど、日は跨がないと思うよ。やばそうだったら即逃げるし」


ちょちょーいと。

逃げるのは得意なんだよね。


「じゃあ気を付けて行ってきてください」

「うん。ありがとう。行ってくるね。メナードも」


壁の影で様子見しているメナードにも声をかけた。


『いってらっしゃいませ』

「はい行ってきます」









夜の街は賑やかだ。

といってもやっぱり荒れてるけど。


「ノクターン、ノクターン…。ここかな?」


月と猫の看板。


いらっしゃい、という店員の声が客の声に書き消される。

酒臭い。

お酒は嫌いじゃないけどこの臭いは嫌い。


じゃなかった。

えーと。


見渡すと奥の方にこちらを伺う人達。

おや?あの顔は。


「すみません」

「!!」


席に近付いて声をかけると、こちらを向く人達。

やっぱりだ。


「使者さん達じゃないですか。なんで冒険者の格好なんてしているんですか?」


騎士の人が驚いている。


「!!…もしかして、君が彼か?それとも代理か?」


そうだ。僕いまリウの姿だった。


本人ですよと言おうとしたとき、奥の席に座っていた人が「いや」と遮った。


「代理なんかじゃない。本人だ」

「!」


衣剥がしの魔眼。

虹色の瞳が輝いている。


彼にはリウではない、ウィルとしての僕の姿が見えている。


「ご名答。ちょっと寄って貰っても?」

「は、はい。どうぞ」


女子魔術師二人が横によって席を空けてくれた。

そこに座る。


「本当に本人?」

「本人です」

「でも姿が違う…」


騎士は信じられないようだ。


「それ用の魔法があるんですよ。あまりにも難しくて使える人はほとんどいませんけど」


と、奥の人が説明する。


それでもまだ疑ってる。

しょうがないなぁ。


一つ指を鳴らせばこの席に魔法が張り巡らされる。


そうして元に戻ると使者達がどよめいた。

本当だったんだと。

あとは騒ぎになると警戒してだ。


「しー。ここに目隠しの結界を張りましたのでみんなに僕のこの姿は見えてません。声もね。うまく誤魔化してくれるでしょう」

「そ、そうか…」


ほっと息を吐いた騎士の人。


「で?そこの彼はどちら様ですか?声に聞き覚えがありますね」

「…………」


深く被っていたフードを脱いだ。

すると見覚えのある顔だった。


えーと、たしか名前は。


「ユーハだっけ?」

「よく覚えていたな。ウィル・ザートソン」


いつか僕に喧嘩を売ってきた魔法使いだった。

なのに今の姿は旅人で、取り巻きもいない。どうしたんだろうか?


「なんでそんな格好をしているんだい?」

「……………お前に喧嘩を売った事がバレてな。一族の恥さらしと破門になったんだよ」

「そうなの」


魔法使いの家はたまにこういうこともある。

家柄とか評判とか、あと順位を気にするあまり人を簡単に切り捨てるんだ。


「ふん。元々あの家は嫌いだったんだ。せーせーしてるさ!」

「そう。予想外だったけど元気そうで何よりだ。今は一緒に行動しているのかい?というか、使者さん達がそんな格好をしているのも気になるんだけど」


四人とも苦笑をしている。

え、なに?


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