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メナードのストレス発散

朝。


サンサンと朝日が差し込んでいる訳ではないが、わずかに明るくなっている空が壁の上から確認できる。


最近、色々あって少し疲れが溜まっていた。


人間よりは頑丈でも、魔物だってストレスくらい溜まるのだ。


『………久々にやりますか』












メナードがメイド服着て、更に女性へと変わっていた。

何年ぶりだろう。女性になるのは。


「おはよう」

『おはようございます、ウィル様』


メナードは時々変身する。性別ごとだ。

だから、その胸にあるのは本物だし、下のはなくなってる。

骨格も内臓もまるまるまるっと総入れ換えだ。


こうすると体内に蓄積された疲労や魔力の乱れが治るらしい。


本当はそうしなくてもリラックスしてちゃんと休めば治るんだけど。


「ここ最近忙しかったもんね。ごめん」

『いえ。この前のファッションショー辺りからそろそろとは思っていたので』

「そう言ってくれるの嬉しいな」


それでもストレスは溜まっていたんだからぼくの管理不足だ。

気を付けよう。


ということは今日はメナードは休日ってことか。

じゃあ僕が代わりに執事やろう。

主人僕だけど。


「よいしょー」


久しぶりに執事服になってみた。

髪が邪魔だ。

お団子にして纏めるか。


「わあー!!何してるんですか!?」


マリちゃんがやって来た。


「お師匠。なんでそんなに執事服似合っているんですか?普段着と真逆なのにおかしい」


そんな力一杯言わなくても…。

苦笑。


「昔着てた時があってね」

「えー、ほんとですかー?」

「ほんとほんと」


それでも疑いの目を向けられた。

わかるよ。ギャップ凄いもんね。


「そんで」


くるりと今度はメナードの方へと向く。


「メナードさんとっても可愛いです!!なんでそんなに可愛いんですか!?私を動悸で殺す気ですか!?」

『えっ、あの』


メナード困惑。

顔真っ赤にさせて固まってしまっている。


「それに、なんか胸も凄く本物みたいで」

「あ、まってマリちゃ──」


むぎゅう。


「…………」

『…………』


あー、間に合わなかったぁ。


「……ん?んん??」


もみもみと揉みながら首を傾けるマリちゃん。

もうやめてあげて、メナードのライフはもうゼロよ!


『きゅう…』

「あ」

「ああー!!」


メナードは顔をトマトにして意識を飛ばした。




ちゃんとマリちゃんにメナードは性別変えられるのを説明をした。

手をわきわきさせながら申し訳ないことをしてしまったと言ったが、その手をやめなさい。



「ごめんなさい」


目を開けたメナードにマリちゃんが誠心誠意で謝った。


『いえ、事前に説明すればよかったんです』

「…………あの」

『?』


なんでしょうとメナードがマリちゃんを見る。


「一緒に街をお出掛けしませんか!?」


お洒落して!!

と心の声が聞こえる。


『へ?』


メナードが僕を見る。


「一緒にお洒落して街で遊び歩きたいんだって」

『…い、良いのでしょうか?』


恐る恐る訊ねてくる。

何を遠慮してんだか。


「今日はメナードはお休みなんだから好きにしていいんだよ」


そう言えばメナードが嬉しそうに笑う。

思えばこの森に来てからメナードが街にいくのはなかなか無かったな。悪いことしたかも。




『それでは行って参ります』

「お師匠お土産楽しみにしていてくださいね」


二人とも目一杯お洒落して扉の前にたつ。


可愛らしいな。


「うん。ここは任せて楽しんでおいで。危なくなったらすぐに逃げるんだよ」


街とはいえ、以前と同じではないのだから。

といっても二人とも強いし大丈夫とは思うけどね。

念のためにとこっそり防御魔法とかを付与。


『かしこまりました』

「じゃあ行ってきます」

「いってらっしゃい」


ばたん、扉がしまった。


さて、二人がたくさん遊んでいる間に僕も久し振りに執事業頑張りますか。

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