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「“いいえ”」

魔王が降りてくる。

ドロリとした重い魔力を纏わせながら。


断られることも見越して用意してきたな。


こっそりと地面に防御魔法、回復魔法、干渉不可魔法を展開。そして被害を最小限に抑えるための魔法も。


魔王が降り立つと、足元の草が萎れていく。


「……ッ」


怯える気配。

ああ、そうか。そういえばシャドウがそのまま治療を受けていたっけ。

魔王からは絶えず呪いの風が放たれているし、僕が更にシャドウに直に当たらないように位置を変えたけど、魔王はシャドウに気付いて精度を上げ始めた。

狙い撃ちにされては僕の魔力の保護も効かなくなるな。


「クー」

『ん!』


さすがは僕の使い魔、なんともない。


周りには使い魔が集まってきているが、やはり相手が魔王であるから武器を出さないでいてくれている。

事前に言い聞かせていて良かった。

変に刺激すれば何をされるか分からないから。


「そこの人を家に運んであげて。パニック起こしているようなら少しアレをやってもいいから」

『わかった…!』


過呼吸になりかけているシャドウを抱き上げ家の方に走っていく。

良かった。パニックになるまではいってないようだ。

精神プロテクトが強いのかな?

よかった。

魔王も足元からしきりにこの森を支配下に納めようと干渉魔法を発動してきているし、僕も急がないと。


『おい。わざわざ魔王である俺様が来てやったんだ。ここは茶の一つでも出さないのか?』

「それは失礼しました。立ち話もなんですし、おもてなし用の空間にご招待致します」


景色が剥がれ、その色彩のままで部屋を構築する。だが、突如としてその魔法はキャンセルされ、景色がドロリと解けて森に戻されていく。

魔法妨害か。それも僕の魔法を妨害なんて結構高度な魔法だ。能力が偏ってるのか、それとも隠しているのか。


この魔王は警戒しておいた方がいいかも。


『いいや、俺様は此処で良い。俺様が、此処で良いと許可をした。ならば、はやく下僕に命令しろ』


僕に対しても従属させる魔法を掛けてきた。

効きはしないが…。


「“いいえ”」


全干渉を拒否。

すると干渉を切断された魔王がピクリと僅かに反応した。


「僕は貴方の部下ではありませんし、なにより」


言葉に魔力を込める。


「ここは、“僕の森、僕の縄張り(テリトリー)”です。主人はこの僕。今の貴方はただの客です。ならば、ここでの主導権は僕にあり、貴方は大人しく僕に従うべきである」


バキンと音を立てて、この森の魔法や魔法陣すべてに解読不可の鍵が掛かった。

森の水から、僕の使い魔、そして同意無しだが命を守るために勝手に主導権を僕が握ったシャドウまで。

こんなこと、本来は相手に“あなたを敵として見てます”という合図になり失礼な事になるのだが、あえてそうやって立場は対等だと示した。


この森を流れる空気、魔力まで僕のものだ。

戦うのであれば魔王は自身の魔力を使うしかない。


だけど、その魔力を使いたくない理由を僕は知っている。

それに賭ける。


すると、魔王は干渉魔法を解除した。


『ふふ、ふははははは!!!魔王である俺様に向かってその態度か!ははははは!!!善い、許す。今回は貴様に従ってやろう!!』

「それでは…」


景色が変わってゆく。

あっという間に豪勢な迎賓室が出来上がると、魔王は近くのソファーに腰掛けた。

ふわりと雲のような柔らかさに魔王が一瞬驚いた顔をした。


掛かったな?

そのソファーは“人をダメにするソファー”を参考にして作ったものだ。例え魔王であれど、本能には逆らえまい。


『…これを土産にすることはできるか?』


持ち帰りたいほどお気に召したらしい。


「交渉次第ですかね?」

『むう…』


さて、僕も頑張らないとな。


『魔王さん。お茶とコーヒー、どちらにしますか?』

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