その10、水戸黄門でザマァを学んでみる
祖母が水戸黄門の再放送をよく観てまして、一緒に観てみて思った。
なんときれいにまとまってるんだろうと。
なろうザマァってもやもやスッキリしないやつが多いんですよね。ザマァまでが無駄に先延ばしにされてイラッとくるのが多いというか。
では水戸黄門ではあのこの印籠が目に入らぬかやるまで、どんなつなぎストーリーがあるかという視点で見てみると、すごくね、さじ加減が絶妙だなって気が付きました。
まず希望の持たせ方。
黄門様たちが暗躍して、敵の罪の証拠はひとつひとつ集まっていくので、視聴者は「まだ罪は裁かれないけどご隠居様がこの証拠を得たというだけでも、とりあえずは安心だな」と見守ることができる。
被害者には危機一髪のところでご一行の誰か(その話のときのメインキャラや、影に隠れてる人)が間に合って助けることに成功する!
視聴者ほっと一安心。
さらにヘイト(敵意)管理も素晴らしい。
敵方が一回折れて平和に話が進むかと思いきや、なにやらきな臭く、善良なゲストキャラが被害に遭う。
それで終わらず、さらに他の家族に罪をきせるなどして悪事を重ねていく。
これらが、あの「やってしまいなさい」の大立ち回りまで、止まらず続くのですよ!
むかむかしつつも、ほどほどに救いがあってほっとして、でもまだ解消しきれない怒りは「この印籠が〜」でばーんと晴らされる。
なろうでここまでできてるの少ないよね。
だいたい最初に最低なやつの話をばーんとやったら、その後はいちゃいちゃだの平和だのでだるだるだるだる。ヘイト管理がおおざっぱというか、テンプレ頼みで、自主的に維持しようという意欲がない。あったとしても、今度は「黄門様が証拠を集めている安心感」みたいなほっと一安心がないので、ムカムカが続いて気分が悪い。
私も意識してなかったので人のこと言えないが!
しかもばーんと晴らされたあと、メインストーリーの後日談のほっこり幸せなシーンも適度な分量語られるので「よかったねぇ」と後味がとてもよろしい。
完璧かよ。
水戸黄門まじすげぇと思った。
なんで終わってしまったんだ。
かくいう私も新作は見てなかったけど…やはり配役かな…黄門様とすけさんかくさんは固定だったけど、その他色々が様変わりしてついていけないのはあった。すけかくさんみたいに役名だけでも固定したほうがよかったのではないかなぁ。やっぱ愛着あるし。
あと女性キャストがやたらつり目の人ばっかりだった印象。
もうちょいやわらかい雰囲気の女性が欲しいな…。お銀の由美かおるさんは鋭い目もできるけど目元はやわらかかったよね。お銀さんカムバック!
まぁ終わった話は置いておこう。
とにかく水戸黄門黄金期?の話見てて、ざまぁが凄まじく上手いことに気づきましたとさ。
ここから学んで作品にするために要約すると。
1、最初は恋とか、家族愛とか、ダメなやつをかばうとか、人を助けるとかの事件で話に入らせ
2、助けたり関わったりした人が、なにやら巨悪に目をつけられている不穏な匂いが…
3、主人公とは関係なく当事者ががんばって問題解決をはかろうとするも、うまくいかない。それを主人公がこっそりフォロー
4、当事者の力及ばず、巨悪が勝ちそうになる。
5、主人公の活躍で悪が明らかにされ、実力勝負でも勝てる。悪は罰せられる。
6、被害にあっていた当事者たち幸せハッピーエンドで「ありがとう」
ってところかな。
しかし悪役令嬢のテンプレもこれにきれいに当てはまってた…。
もやもやする作品はテンプレじゃなくて作者のアレンジの部分が悪いんだな。
もやもやするザマァ作品は、私が読んだやつだと5が先送りにされて先に6になってる。
5を読者が待ち望んでいるからこそ「ひっぱる」ってことかなと思うが、5を見てからじゃないと6って読んでて落ち着かないんだよね。だから私は嫌いだが。
素直に6を楽しむ読者は食いついたまま読者やってる印象。
であるならば先送りのする必要もないのではないか?
5を待ち続ける間の6がつまらん〜で読むのやめる人は、ひっぱる手法でも途中離脱する。
ひっぱらないでベストタイミングでヘイト回収して罰した話でも、6のつづきを楽しめる人はついてくるでしょう。
まぁでも5を待って6きたら早々に切る読者も一定数いるだろうから、それを逃したくなくての戦略としては正しいのかもしれない。
でもひっぱられてイライラ待った読者は、そんな作者の作品をまた読みたいと思うだろうか。
私なら読みたくないかな……。
最近なろうを読まなくなったのこれ原因だし。
ザマァ人気で書籍化されたうえに人気の作品は、私は男性向けしか知らないので男性向け作品からの考察になるけど
やっぱ水戸黄門よろしくテンプレを何度も繰り返してるんだよね。
その後の平和なターンもあったりするけど、手を変え品を変え敵を倒して「やったぁ!」「すげぇ!」がある。
悪役令嬢もので人気あるやつは、そもそもざまぁじゃない恋愛主体のやつが多くて
そうじゃないなら1〜6を素直に実行してる作品ですね。5ひっぱりなんてしないで内容で個性を出してる。
ひっぱるタイプでも人気作はきっとあるとは思いますが
個人的にはやはり素直に6もジャストタイミングで終わらせて、それからその後を書く手法のがいいんじゃないかなぁと思うがどうなんだろう。
この世に絶対はないし。分からん。
しかし私の好きな作品も6になった途端、好きだけど読まなくなったなぁ…。
あれのつづきを読むとしたらなにがあったら読みたいだろう……新ストーリー?
新しい謎の解明とか、問題解決とか。
そういえば事件のない日常の話で読者を飽きさせないのは難しい。って聞いたことがある。
だからトトロとかすごいんだって。
そんで私も逆に、じゃあ日常で飽きさせない作品が書けるようになりたいなと思って挑戦したやつを書いたが(なろうではない)最初の段階で
この作品は「のんびり平和で事件性のない作品です」と理解してもらうために、あえて試し読みで読める冒頭をゆるやかなストーリーからはじめたりはした。ここであうかあわないか見極めて、離脱する読者さんはどうぞ離脱してね、という誘導も込めている。
これを逆にざまぁでつかんで、その後だけ何の事件性もない話にしちゃったら、読者はギャップでついていけなくなるのは分かるし、不親切だなと私は思う。
やはり導入を事件性にして読者の心をつかんだならば、その後も読ませたいなら事件性追加が必要なんじゃないかなぁ。
導入部分とタイトルは作品の顔なわけだしね。
もちろん事件性なしでも面白いならそれで良いけどさ。難しいんだよそれは。
トトロに匹敵するほのぼの名作を私は知らないよ。
話がそれたが
ともかく、水戸黄門のヘイト管理はすごいなぁと思いました。