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一通のメールから始まるとある男の英雄譚  作者: 元始名
序章 物語は一通のメールから始まる
3/3

第三話 世界の血

三人はコップの中にある血のように赤い液体を見詰めていた。


「それを飲めというのか?」

三人の中唯一老人の言葉の意味を理解した男はコップの中にある真っ赤な液体を指して、言葉を発した。


「はい、これを飲めばそちらの二人も我々の言葉を理解できるのであろう。」

老人は男が自分に聞いてるように聞えて、そのままその真っ赤な液体の効用を教えた。


「...それは本当だろうな?」

エリーゼの報告を受けても男は老人を警戒していた。


『はい、毒などの類の痕跡が無く、マスターとそこにある少年と少女の身体構造からして害は無いと思いますが、それなりの変化を齎す筈です。』

男の問にエリーゼは速やかにその赤い液体を一瞬の内に解析し、直ぐ男に報告した。


「事実だ。他の効果も有るのだが、君達に害をなすものでは無いのだ。私の神の名にかけて誓う、これは偽りの無い真実なのだ。」

老人は男が警戒してる事を当たり前のように受け入れ、その警戒を解く為ならばと右手を挙げそのまま 心臓を代償に とても意味を込めたように掌を心臓の真上の位置に着け、誓いを口にした。


「ねぇ、貴方もしかしてあの人達の言葉が判るの?さっきから会話をしてるようだけど。ねぇ、それが本当なら彼等が何を言ったのかわたし達にも教えてくれないかな?」

男の後ろにいた少女が男に近付き、真剣な顔で男に聞いてみた。


「...確かにオレはそいつらの言葉が判る。だがお前達は何故そいつらが何を言ったのかを知りたいんだ?」

男は少し言い辛そうに答えながら、また少女に聞き返した。


「お願い!出来るなら教えて!もしその人達があの救いを求めているメールの送り主ならきっとその人達がわたし達を此処に呼んだ筈だから、だからその人達の話をわたしは聞きたいの!」

少女は強く意志を篭った瞳で男を見詰め、自分の意志をはっきりと男に伝えた。


「......そう熱くなる必要は無い、別にオレが翻訳にならなくでも、あの爺さんの話だとそこにあるコップの中のあの赤い液体を飲めばお前達もそいつらの話が判るようになる...らしいが、信じるかどうかお前達で決めろ。」

少女の言葉に男は考え込み、ほんの五秒足らずで考えを纏まり、返事をした。


「本当!?あの赤い水のようなものを飲めば言葉を理解できるようになるの?」

男の話に驚き、少女は男に確かめるように男の言葉を繰り返した。


「そいつらの勝手な持論だ、確証は無い。飲むかどうかはお前達で後悔の無いように決めろ。」

男は素っ気無い声で少女に返事した。


「そうっか、ねぇ、良いでしょう?」

確認出来てないようだが、少しの確信が出来た少女は隣にいる少年を見詰め、許可を取ろうとした。


「あぁ、問題ない筈だ、そっちから俺達を召喚したんだ、いきなり殺すなんで事はしないだろう。それにいざとなればアイツが作った万能薬(エリクシール)がある。それもちゃんと三人分以上のストックがあるから、大丈夫だ。」

少年は少女に答え、あっさりと許可を出した。


「そうね、あれがあれば...じゃ...」

少女は少年の言う あいつ と言う人物を思い出し、その人物が作り出した万能薬(エリクシール)に絶対的な信頼かあり、それさえあれば と少女は思い、老人に近付き、老人の手にあるコップを受け取るようにと両手を前へ伸ばした。


どうぞ(@$%)。」

老人は少女の意を理解し、手に持つコップを少女に渡した。


「有難う御座います。」

言葉を理解できない少女は何となくその場の雰囲気で自然と口から言葉が飛び出た。


「……んくぅ…これで良いよね、うぷ⁉︎」

少女はあの赤い液体を一口飲んで、爽やかな笑顔を浮かべながら、コップを老人に返した。しかし直ぐに異様を感じ、少女は辛そうに眉を皺め、両手で口元を塞いだ。


苦しいそうにしてる少女を見て少年は直ぐに走り寄って来た。


「おい、大丈夫か、ベル!しっかりするんだ……ほら、これを飲め。」

少年はズボンのポケットから金色の液体が入った瓶を持ち出して、少女に渡そうとした。


「だい、じょうぶ、だよ。ちょっと吐き気が……っ‼︎!うぷ⁉︎」

少女は無理に笑顔を見せた、しかしまた直ぐに吐き気が襲い掛かり、必死に口元を隠す少女の指の隙間から白い汚れ物じゃなく真っ赤な血が流れ出した。


その量は丁度少女が飲み込んだあの赤い液体と同じで多くはないが、それでも血なのだ。


「待っていろよベル、今すぐ エリクシール を飲ませてやるからな。」

そう言って少年は金色の液体が入ってる瓶の栓を抜き、少女の口元に近づけた。


「待て。」

男は少年を止めその金色の液体が入ってる瓶を持っている手を掴んだ。


「何をする!そもそもあんたがあれを飲めば言葉が判るとか言うからベルはっ!」

男が止めに入った事に少年は不快を感じ、その怒りを男に当たった。


「落ち着け!そいつの顔を良く見ろ!」

男は態と音量を上げ、声を大きくした。


「ベルが辛そうに見えるから、今俺が...えっ!?」

少年は振り返り、本来苦しいそうにしている少女の顔色が段々良くなって行き、今やさっきより良くなってる事に驚いた。


「...もう、苦しくない。それにそれだけじゃなく、体が...前よりも軽くなってる!」

急に体調が良くなったと感じた少女は顔を上げ、自分で自身の体の具合を確かめるようにあちこちを動かし、また視線で動く部分を見た。


「おぉ、聞いたが、今そこの少女の言葉を!」

コップを大事そうに抱えている老人は隣の男にそう言った。


「はい、聞きました、間違いなく我々と同じ言語です。世界の血(サクリエ)の効果は文献に書かれたとおりのものです。」

老人の隣にいる男は嬉しいそうに老人へ報告した。


「そうじゃな。」

そう言って老人はまた視線をあの三人に向けた。


「...幸い服とかについていないし、ハンカチしかないが一様拭いておけ。」

男はズボンのボケットから真っ黒なハンカチを取り出し、少女に渡した。


「えぇ?あっ、気分が良すぎるから忘れてしまったね。有難う御座います。」

少女は男からハンカチを受け取り、最初は何故と疑問を感じたが、直ぐに自分の掌にべったりとついた自分自身の血に気付き、男に礼を言った。


「それで、お前はどうする?」

少女が自分の血を拭取ってる間に男は少年に質問した。


「俺?どうするって何が?」

少年は男の質問の意図を理解できずいた。


「お前も飲むのか飲まないか だ。」

男は老人が大事そうに抱えてるコップを指してそう言った。


「飲むに決まってる!ベルも異様はないんだ。それにあれを飲まないと話が聞けないじゃ、飲むしか無いだろ?」

少年は男に返事した。


「……好きにすれば良い……おい、それを……んくぅ、んくぅ……余り良い味とは言えないな。」


少年の言葉を聞いて少し、ほんの少しの間考え込み、そこに居る老人からコップを受け取り、その赤い液体を二口飲み、捨てゼリフの様に言い捨てて空になり掛けてるコップを少年に渡し、少し離れた所へと下がって行った。


「おい、お前!何を勝手に、もう少ししか残って無いじゃないか!」

少年はコップを受け取り、その少ない中身を見て下がって行く男に向け大声を上げた。


「エリーゼ、即時翻訳機能をオフにし、それと同時にオレが飲んだ液体と同じ量の血液を消してくれ。」

男は少年に構わず、襲ってくる吐き気を堪えながら小さな声で囁いた。


『はい、直ぐに…翻訳機能が停止、並びに胃袋周辺の血管から血液を消失させ、それとほぼ同時にかの液体がその空きを補った事も確認しました。』

エリーゼは即座に男の指示に従って行動し、男に報告しながら次々とその指示を遂行した。


「……はぁ、確かにその子が言う様に体が軽いな…エリーゼ、少し時間を掛けでも良い、詳しくオレの体を検査し、以前の身体データと見較べ違いをおしえてくれ。あぁ、ついでにそこに居る二人もスギャンして、一般市民の身体データを基準にその違いを報告してくれ。」

男は自身の体の具合を自ら確認をしながらまたエリーゼに次の指示を出した。


「はい、分かりました、マスター。」

エリーゼは直ぐに返事をした。


「くそ!無視するんじゃない!……んくぅ…確かに味は、うぷ⁉︎」

男に無視され、少年は微かに怒りを覚えながら、コップの中の液体を一気に飲み干した。男に同調して味がとうとか言うとする瞬間、吐き気がした。


堪えずに少年も飲み込んだのと同じ量の血を吐いてしまい、ほんの少し服についてしまったが直ぐ地面と掌にある血を含め、一気に蒸発した。


それと同時に片方を拭き終わり、もう片方の手を拭こうとした少女、その手と足元の地面にあった血も蒸発した。

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