第六話 「鉱山&宴会」
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スミスとサツキを家に招き入れ、お茶を出して今の状況を軽く説明した。
「て事は、此処で村を作って発展させたいんだな?」
スミスの問いに『そうです』と、軽く頷く。
「なら俺が出て良かったな! 俺はそんじゃそこらの鍛冶師とは違うぜ? 開拓に必要な便利な道具を沢山作ってやる。まあ、その為には素材か必要だけどな・・・・・・」
「そうですね、スミスさんには色々頼むと思いますが、宜しくお願いします」
頼もしい限りだが、素材、山にあるといいな・・・・・・。
「殿、私は魔物を狩ってくればよろしいか?」
そう聞いてくるサツキは、自分の役割が気になるようだ。
「そうだね、でも今は人数も少ないし、本格的な狩りはもっと人が増えてから頼むよ」
「相分かった。しかし、それまで拙者は役立たずか・・・・・・」
どうしよう・・・・・・落ち込んでしまった。
なにか他に頼める事はないかな? あっ! そうだ!
「サツキ、君には他にも頼みたい事が有るんだけど良いかな?」
「まことか!? 拙者に出来る事なら何でもいたそう!」
ハハッ・・・・・・凄い勢いで食い付いて来たな。
そんなに顔近づけなくても良いのに・・・・・・。
「それで! 拙者は何をすれば!?」
「ああ、そうだね・・・・・・とりあえず落ち着いて座ろうか」
サツキを椅子に座らせ、お茶を飲ませる。
少し、落ち着いた様子になったので、話しを振る事にした。
「それで、サツキには此処の守護を任せたい。まあ、ここら辺は魔物が少ないみたいだから大丈夫だと思うけど、A級魔物ハンターのサツキが守護してくれればいざというときも安心だしな。どう? やってくれる?」
「守護の大役、未熟者の拙者などに任せて貰えるとあれば感無量! 喜んで守護職、仰せつかろう!」
サツキも仕事が出来て喜んでいるようで『守護職だぞ! 出世頭だ!』とスミスに絡んでいる。
そして何気にスミスも『なら俺も工房長だ! 長だぞ長』と競っているが、出世を競うほど人数は居ないのだが・・・・・・まあいいか。
「そうだ、スミスとサツキ用に家を作ろうと思うけど、なにか希望はある?」
「ワシは工房兼住居が良い。後、作るなら一郎達と少し離してくれ、鍛冶の音がうるさいからな。それに、夜な夜な、なやましい声を聞かずにすむし」
「そ、そんな事しませんよ! 兎に角、希望通り作りますから。マナ、出来そうか?」
「お任せください」と、ニッコリするマナはやっぱり可愛い。
「サツキは希望有るか?」
「でしたら、殿と同じ部屋で寝かせて下さい」
同じ部屋? なんでだ? 俺としては別に構わないが、急にどうしたのだろう。
「それはダメです!!」
珍しく、マナが声を荒げてる。
マナもどうしたんだ? そんなに怒る事か?
「何故マナ殿が否定いたす。拙者は殿に聞かれ殿に答えたのだ、マナ殿が口を出す事ではなかろう」
「それは・・・・・・そうですが・・・・・・」
シュンとするマナ、本当にどうしたんだろうか?
「では殿、お下知を」
「ん? ああ・・・・・・まあ、俺としては構わないが理由を聞いても?」
「先ほど、守護職に任命されたので、殿をお守りする為です! 寝る時は一番無防備になるゆえ。ですので、寝る時も体を清める時も、お側でお守りしたいと思っております。それに、拙者はおなごゆえ夜枷の相手も──それは絶対ダメーー!!
マナが怒ってる。
噴火寸前の火山みたいな顔してるな・・・・・・。
「先ほどから黙って聞いていましたが、もう限界です! サツキさん! 貴女は守護という大義名分の元に職権乱用をしようとしている! 許される事ではありません!」
「だから、マナ殿には関係なかろう! 拙者は殿に答えておるのだー!」
「あー! もう止めなさい二人共! マナは大人げないぞ、そんなに声を荒げて! サツキも、一緒に寝るのは良いが、どんな時も側にいるのは勘弁してくれ、気が休まらん!」
「な、なら夜枷は──それはもっとダメだ!
「俺はロリコンじゃない!」
「マナ殿! なんだその勝ち誇った顔は! 腹が立つ!」
「なにかしら? 私の顔が何か?」
「フガァー!! 表へ出ろマナ殿! 決闘だ!」
「よろしい、相手になりましょう」
二人は、にらみ合いながら外へ出ようとする。
ダメだコイツら・・・・・・。
「いい加減にしろ! それ以上もめるなら二人とも別の部屋で寝ろ! 俺はイベリスと寝る!」
「「でも、だって」」
「でもでもだってじゃない! どうするんだ? 仲直りするのか? しないのか?」
俺が脅す様にそう言うと『仲直りします』と不承不承ながら握手をする。
完全に力入ってんなあれ・・・・・・。
「兎に角、俺とスミスは湖の山に行ってくるから、マナはスミスの工房兼住居を作ってくれ。サツキはマナの手伝いだ、いいな?」
「「分かりました」」
二人が頷いたのを確認したところで、スミスを伴って家を出た。
これで少しは仲良くなってくれると良いのだが・・・・・・。
「一郎もこれから、大変そうだな」
「ハハッ・・・・・・」
乾いた笑い声しか出ない俺は、山に向かう為、スミスに背中に乗るように諭す。
「ワシは、歩け無いほど年食ってねえぞ!」と言う、スミスを何とか説得して走り出すと、最初こそ文句を言っていたが『速いー!』と言ったきり黙ってしまった。
速さに納得したのか?
──山に到着したので、スミスに声をかけるが返事がない。
まさかスミスも寝てしまったのだろうか?
何回か声をかけ続け『ん、ああ・・・・・・』と、スミスの声が返ってくる。
背中から降りたスミスは、『此処は山か?』と呟いたと思ったら、思い出したかの様に怒りだした。
「馬鹿ヤロー! あんなスピードで走るやつがあるか! おかげで気を失ってしまったわ! 全く、心臓に悪いわい」
「えっ! それは本当ですか!?」
「嘘な訳あるか!」
「そ、それはすみません・・・・・・」
この時、俺は、ふと思った。
マナも最初、背中に乗せて走った時、気を失ってたんじゃなかろかと・・・・・・まさかね?
「まあいい、早く着いたのは変わらんしな。どれ、早速行ってみるか、鉄の匂いがプンプンするぞ!」
スタスタ歩いていくスミスだが、匂いって・・・・・・。
マナもそんな事言ってたな、皆、嗅覚凄すぎ。
スミス先導で山を登ると、山の中腹辺りでスミスが何か発見したようだ。
「一郎、あそこに洞窟が有るぞ!」
スミスが指を指す方向を見ると、確かに洞窟が見える。
「あの洞窟に有るんですか?」
「ああ、鉄の匂いは兎も角、金銀銅の匂いプンプンしてくる。間違いなくあるな」
それは良いニュースだ、心配の種が一つ消えた。
「なら、行ってみますか?」
俺の問いにスミスは首を振って否定する。
「いや、二人じゃあぶねえ、中に何がいるか分からんしな。とりあえず、戻って嬢ちゃん達に相談しよう」
「マナとサツキにですか?」
「ああ、マナ嬢ちゃんはエルフで精霊魔法の使い手だし、サツキ嬢ちゃんはA級魔物ハンターだろ? あの二人が居れば洞窟に何が居ても恐くねえ」
スミスの言葉に、俺は納得してしまった。
マナの精霊魔法はこの目で見てるだけに納得だし、サツキはA級魔物ハンターだ、まだ実力は見ていないが・・・・・・。
ここはとりあえず、スミスの言う通り、戻って二人に相談した方が良いだろう。
「じゃあ、戻りましょうか」
あっ、そうだ!
「すいません! 戻る前にちょっと聞きたい事が」
俺が、下山しようとするスミスを引き留めると『どうした?』と、スミスは不思議そうな顔で振り返る。
「ここら辺に岩塩って有りませんかね?」
「岩塩? ああ、ちょっと待ってろ、スンスン」
どうやら鼻を聞かせて探ってくれてるみたいだ。
少し経過し『おっ? ここでちょっと待ってな』と、スミスはどこかに行ってしまった。
岩塩を見つけたのだろうか?
仕方ないのでボケッーとしながら待っていると、『あったぞー』と、言いながらスミスが走りよってくる。
スミスが手に持っていたのは、ガラスのような拳大のゴツゴツとした岩だった。
「これが岩塩ですか?」
「ああ、そうだ。まだいっぱいあったが、もっと必要か?」
うーん、どうなんだ? どれ位必要か分からないが、塩だからそんなには使わないだろう。
「いえ、これで十分だと思います。ありがとうございます」
「そうか、じゃあ今度こそ戻るとするか」
俺達は拠点へと戻る為、山を降り、スミスを俺の背中に乗せて走りだした。
勿論、今度は安全速度で走っている。
スミスの『これぐらいが丁度良い』と言うお墨付きで。
──拠点へと戻ると、作業をしていたマナとサツキが出迎えてくれた。
「殿! 無事なお帰り、何よりでございます」
「お帰りなさいませ一郎さん、スミスさん。スミスさんの工房兼住居は完成していますよ」
「おお、そうか。ありがとな、マナ嬢ちゃん」
「ただいま、マナ、サツキ。所で今は何を作ってるんだ? なんだか、高い建物だけど」
俺の質問にマナが答える。
「櫓でございます」
「やぐら? なんでまた?」
すると、今度はサツキが口を開いた。
「拙者がマナ殿にお頼みもうした。櫓が有れば遠くまで見渡せ、敵襲もいち早く気付けると思いまして・・・・・・」
「そうか、早速守護職として考えてくれているんだな。ありがとなサツキ」
「恐悦至極にございます」
サツキは感無量といった表情で頭を下げる。
俺はその頭をポンポンと軽く撫でてやる、するとサツキは急に櫓に登りだし、上にたどり着いたと思ったら大声で『惚れもうしたー!』と叫んでいた。
大丈夫かアイツ?
そうだ、スミスの家が出来たんだっけな。
良く分からんサツキは、ほっておいてマナに案内して貰い、見に行く事にした。
スミスの家は、俺の家から10メートル程離れた位置にポツンと建っている。
大きさは、工房も兼務しているので、俺の家より少し大きいくらいだ。
中に入ると、大きな釜のような物が目を引く。
「これは立派な釜だな! これなら良いもん作れるそうだぜ」
やっぱり釜なのか、それにしてもどうやって作ったんだ?
「マナ、これどうやって作ったの?」
「地の精霊に頼んで作ってみました」
「なら、これを少し小さくして家に置けば料理も家で出来るんじゃない?」
「そうですね。ですが少々煙が煙たいと思いまして・・・・・・」
「それなら排気装置を作れば大丈夫だろう」とスミスが割って入ってくる。
「排気装置? そんなもの作れるんですか?」
「ああ、風の魔石を組み込めば作れるぜ」
「魔石? なんですそれ?」
「なんだ、知らなかったのか。魔石ってのは魔物から取れる属性を持った石だよ」
「マナ、知ってたかい?」
「申し訳ありません。知っていると思い説明を怠っていました」
「いや、別に良いんだよ。それで、風の魔石ってどんな魔物から取れるの?」
「風の魔石は主に飛行系の魔物から取れます。因みに、前回出会ったマッチョシープは無属性ですので"無"の魔石が取れます」
「無の魔石は力を加えたい時に使う魔石だ。例えば武器に付ければ叩き斬る時の力が強くなったりな」
「成る程。マナ、マッチョシープから取れる無の魔石はどうしてるの?」
「魔石は体内に埋まっていますので、いつも食べる時に取り出して保管しています」
「て事は、無の魔石を使って何か作って貰えるって事か!」
「そうだな、素材さえ揃えてくれれば、いくらでも作ってやるよ」
良い情報を得たな。
色々な魔石を使えば現代人もびっくりのハイテクな装置が出来そうだし、魔石集めもサツキが居れば大丈夫だろう。
これは楽しくなってきた、夢が広がる。
しかし、スミスとサツキの組み合わせは図ったかのように完璧だったな。正に神引きと言って良いだろう。
その後、スミスの家を出た俺達は、洞窟の件をマナとサツキに話す為、家のリビングに集まってもらう。
「で、こういう訳なんだけど、どう思う?」
二人に経緯を話すと少し悩んだ顔をして、マナとサツキは話しだした。
「そうですね、行ってみないとなんとも言えませんが大丈夫だと思います」
「拙者は殿が行けと言うなら行くまで」
「なら問題ねえな、早速、明日四人で洞窟探検と洒落こもうぜ」
「そうですね、まあ、何も居ないと良いのですが・・・・・・」
「大丈夫だよ、嬢ちゃん達が居れば問題ねえって」と、言うスミスの言葉に俺は不安ながらも頷いた。
「では、仲間が増えた記念として宴会でもしませんか?」
マナが見計らった様に提案してくる。
「宴会か、良いね。やろうか!」
「宴会は嬉しいが、酒がねえんじゃ盛り上がりに欠けるな」と言ったのは、勿論酒好きで有名なドワーフのスミスだ。
「そうですね、宴会と言ったら酒ですもんね」
俺とスミスの残念な様子を見たマナは勿体ぶる様に『お酒、有りますよ』と、呟いた。
「「なんだって!?」」
「それは本当かマナ嬢ちゃん!?」
スミスの食い付きっぷりに、若干引き気味ながらもマナは答える。
「えっ、ええ、まだ浸けてそんなに経っていないので、酒精は低いですが数は多く作ってあります。果実酒ですが」
「酒が飲めば何でも良いわい! 一郎! 直ぐに宴会をやるぞ!」
「わ、分かりました」
スミスの興奮ぶりに俺も少し引くが、宴会は大歓迎なので直ぐに準備に取り掛かかる。
──それでは、新たな仲間の誕生を祝って『乾杯!!』
テーブルに乗る肉や魚、フルーツ盛りなどをつまみに俺達は大いに飲み明かした。
因みに、幼く見えたサツキも、実は二十歳だと判明し彼女もまた、酒を片手に楽しんでいる。
因みに、スミスは二百歳を越えているらしい、流石長寿のドワーフだ、マナは・・・・・・目が怖くて聞けなかった。
女性に年齢を聞くのは失礼だしね・・・・・・。
宴会の目玉はやっぱりマナの歌だ、その美声を余すことなく披露して貰い、歌に酔い酒に酔った。
そして、俺が地球時代に見た映画の話しや、読んだ本の話しも結構盛り上がったと思う。
特に恋愛系の物語など、マナとサツキは食い入る様に聞いていたっけ。
こうして俺達は仲を深め、この世界を発展させる為、自分の出来る事をしようと誓ったのだ。
宴会もたけなわとなり、就寝しようとマナが新しく作ったベッドで、どっちが真ん中に寝て俺を独占するかマナとサツキは揉め始めたので、そんな二人を隣の部屋へと押し込め、迷惑そうなイベリスを引き込み一緒に寝たのは余談。
完全に被害者はイベリスだ、ごめんよイベリス、俺も酔ってたんだ。
「ワウッ!!(本当よ! 全く迷惑だわ)」
サツキさんは童顔の立派?な、でしたね!
なのでセーフです(なにがやねん)
次回は洞窟探検です果たして、洞窟で何が待っているのか?
次回もお楽しみに!
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