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第五話 新しき民

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ブックマークして下さった読者の皆様ありがとうございます!

 ──夜が明け、新しい一日が始まる。


 いつもと変わらず、マナの歌声が優しく響くと、俺の意識は爽やかに覚醒され、とても穏やかな気持ちで起床する。


 こんな事は、地球だったら有り得ないな。


 毎朝、今日も仕事かと憂鬱な気分で目を覚まし、休みの日は疲れていて起きられず、爽快な朝などご無沙汰だ。


 しかし、この星に飛ばされ、文明を築くなど出来るか不安だったが、今なら何とかなるかと思えてくる。


 心の余裕って大事だね。


「ワウッ!ワウッ!(朝からうるさいわね)」


 おおっ、イベリスも元気に吠えてるな、きっと一緒に歌っているつもりなんだろう。俺もそろそろ体を起こして朝の挨拶に行くとするか。



「おはようマナ、イベリス」


「ワウッ!(遅いわよ!)」


「一郎さん!おはようございます!」


 そう言えば・・・・・・。


「急に聞いて、悪いんだけど、マナは毎朝歌っているよね、どうしてなんだい?」


 ああ、いや、そんな、責めてる訳じゃないんだ。

 俯かないでくれ、俺が悪い大人みたいじゃないか。


「・・・・・・すいません、毎朝ご迷惑ですよね。私にも良く分からないのですが、何故か歌わないといけない気がして・・・・・・それに、精霊達も喜ぶので」


「そ、そうか、何故だろうな・・・・・・まあ、良いじゃないか! 精霊達と一緒で、俺もマナの歌が聴けて嬉しいし、気にせず歌っておくれ」


「そう言ってくれると嬉しいです・・・・・・」


 何とかフォロー出来たか?


「じゃあ、朝食にしようか!」


 俺がそう言うと、マナは『わかりました』と、朝食の用意に取り掛かる。


 甲斐甲斐しく動くマナは、さながら新妻のようだ。


 そして、準備が出来たので『いただきます』をして朝食を囲む。


 今日のメニューは、ジューシーな果物に食べられる野草のサラダ、昨日取れた魚と最近メニューが豊富になってきた。


 不満が有るとすれば、塩気が無いことかな。

 そうだ、マナに塩がどこかで入手出来ないか聞いてみるか。


「なあマナ、塩ってどこかに無いかな?」


「塩ですか・・・・・・そうですね、山に行けば岩塩が有るかもしれませんが、私は山には詳しくないので・・・・・・」


「そうか、なら山に詳しい奴を民ガチャで出すしかないか・・・・・・」


「今日辺り出るかもしれませんよ?」と、目をキラキラさせるマナに、俺は昔流行したゲームを思い出す。


 そのゲームは、同じようにキャラをガチャで入手するのだが、ガチャのシステムが課金すればするほどレアなキャラがゲット出来る様に確率が上がっていくタイプで、ゲームの内容ではなく、そのガチャを回す事に快感を覚え廃課金者となった友人を思い出し、少し不安を覚えた。


 アイツは給料の大半をガチャに貢いでいたな。

 今のマナの目は奴と同じ目をしていた・・・・・・。


「マナ、課金はほどほどにだぞ」


「え? ・・・・・・良く分かりませんが、了解しました」


「じゃあ、食べ終わったら、新しい仲間を召喚しようか」


「はい!楽しみです!」


 朝食を終えた俺達は、早速新しい仲間を召喚する為、外に出る。


 マナは待ちきれない様子で、ソワソワとしている。


 さて、今回はノーマルとレアどちらを回そうか?


 腕を組んで目を瞑り、悩む──


 ──暫く悩んだ末、決断した俺は、目を開けてお目当てのガチャポンを出現させると、金色の筐体を見てニヤつく。


そうだ、今回もレアガチャを回すぞ! やはり今は、優秀な人物が欲しい。ノーマルガチャで人を増やした所で、食わしていけるか不安だしな。て、事でさっそく回しますか!


 俺は、文明ポイントをレアコイン二枚と交換し、一枚のコインを投入口へと入れ、ハンドルを回した。


 ガラガラ、ガラガラ、"コトンッ"。


 排出口からカプセルを取り出し、片手に持つとマナに声をかける。


「マナにも回させてあげるよ」


「ほ、ほんとですか!?」


「ああ、このコインを投入口に入れて、あそこに付いてる取手を回せば良いんだ。やってごらん」


「はっ、はい! では、いきます!」


 コインを持ってガチャポンに駆け寄る姿は、まるで子供の様にはしゃいでいて、微笑ましかった。


 ガラガラ、ガラガラ、"コトンッ"。


「一郎さん! 出ましたよ!」


「ああ、そうだね。じゃあ、二人で同時に開けようか」


「はい!」


《カパッッ》


 俺達はカプセルを開け、中に入っている折り畳まれた紙を捲ると、書いてある字に目を通す。


「マナ、書いてある字は読めるか?」


「はい、大丈夫です。読めます」


「なら、マナから先に発表してくれ」


「分かりました! 書いてあったのは・・・・・・星4の鍛冶師マイスターです!」


「おおっ、鍛冶師か! 中々良さそうな職業だな。しかも、マイスターって巨匠だよな? 凄い物色々作ってくれそうだな」


「そうです! これで、生活用品や武器なんかも揃いますよ! まあ、素材が有ればですけど・・・・・・」


「素材って、鉄とか金銀銅とか?」


「そうですね、湖付近の山に埋まっていれば良いのですが」


「まあ、召喚したら聞いてみるか! もしかしたら山にも詳しい人物かもしれんし。じゃあ、次は俺の番だな!」


「お願いします!」


 期待がこもった瞳で見つめるマナに、心の中で『任せろ』と呟き、勿体ぶるように紙に書いてある名前を読み上げた。


「今回、俺が引き当てたのは・・・・・・」


「A級、魔物ハンター! しかも、レア度はなんと星5だ!」


 俺の言葉に、マナはパッーと顔を綻ばせ、はしゃぐ。


「凄いです! A級魔物ハンターと言えば、どんな魔物でも素材に傷一つ付けず討伐出来ると言われる、凄腕ハンターですよ!」


「そうか! そんなに凄いのか! 召喚するのが楽しみだな」


 今回の民ガチャは、星4の鍛冶師マイスター、星5のA級魔物ハンターと大成功に終わった。


「それじゃあ、早速召喚しようか。先ずは、マナが当てた鍛冶師からだな、紙を渡してくれるか?」


「はい、どうぞ。よろしくお願いします!」


 マナから紙を受け取り、書いてある文字を頭の中で読み上げると、『召喚しますか?』の、問いが表示されたので、お願いしますと答えると、マナの時と同様に紙から眩い光が発せられる。


 相変わらずまぶしいな。


 ──光が治まると、手にハンマーを持った鍛冶師の姿がハッキリと現れた。


 少し小さめな背丈にゴツゴツと筋肉質な体、紺色の作務衣を着込み下駄という、なんとも和風な雰囲気の中年男だ、極めつけはモジャモジャと生えている髭が目を引く。


 鍛冶師は俺と目が合うと、気さくな笑みで話しかけてくる。


「おお! 召喚したのは坊主か! これから宜しくな!」


「宜しくお願いします」


 そう言って、俺達は固い握手を交わす。


「そうだ、坊主名前は?」


「ああ、申し遅れました。一郎と言います」


「一郎か! 良い名前だな! そんじゃあ、ワシにも良い名前を付けてくれ、一郎」



 鍛冶師の男から名付けの依頼を受け、そう言えば名前をつけるんだったなと、マナを召喚した時の事を思いだす。


「分かりました! では・・・・・・『スミス』と言うのはどうでしょう?」


 英語でブラックスミスで鍛冶師という意味だが、ブラックは要らないと思ってスミスだけにした。


「スミスか! 良い名じゃ! そんじゃ、改めてスミスを宜しくな、一郎。で、そちらの嬢ちゃんは?」


 スミスが俺の後ろに控えていたマナに視線を向け、紹介してくれと目で催促してくる。


「この子は、マナです。私が初めて召喚した子なんです! 因みに、スミスは二人目ですよ」


「初めまして、エルフ族のマナと申します。これから宜しく致します」


「おお、そうか! エルフとは珍しいの。

因みに、わしはドワーフ族じゃ。まあ、これから宜しくの」


 やっぱり、ドワーフ族か!

 見ためからそうじゃないかと思ってたが、ドワーフと言えば鍛冶師だしな!


「所で、スミスさんは何を作れるんですか?」


「ん? そうじゃな、武器、防具、生活用品、大抵の物は作れると思うぞ。素材が有ればじゃが」


「おお! それは頼もしいですね! でも、素材が・・・・・・」


「無いんか?」


「はい、残念ながら・・・・・・」


 残念そうに項垂れる俺に、スミスは一郎の背中をポンッと叩き、励ますように発言する。


「そう、落ち込むな。彼処に山が有るじゃろ、後で行って素材が無いか見てみよう」


「わ、分かりました! お供します」


「おう、頼んだぞ」


 俺とスミスの会話が終わると、マナが急かすように呟やいた。

「一郎さん・・・・・・そろそろ」


「ああ、そうだった! お次はメインイベントだな──


 ──召喚の儀式が終わると、其処には凛とした雰囲気の女の子が立っていた。


 上半身は赤い軽装の鎧、下半身は赤い膝上のブーツに赤いミニスカート、髪はショートで黒、顔立ちは少し幼い印象ながら、その凛とした雰囲気と全身赤といういでたちは、戦国の世で名を馳せた赤揃えの様に逞しさを放っている。


 そして、自分の身長よりも大きい弓をかかえる姿は、その逞しさを増長させているのだ。


 そんな、凛々しさと逞しさを兼ね備えた女性は、俺の姿を認識すると、頭をペコリと下げ第一声を発した。


「我が殿とお見受けいたす。これから宜しくお願い申す」


「ああ、宜しくね、俺は一郎。それから、君の名前は"サツキ"だよ」


 第一印象から思いついた名前である、赤い花のサツキを名付けた。すると、サツキと名付けられた女性は片膝をつき、頭を少し下げる。


「大変、良い名を付けて頂き恐悦至極。拙者、身命を賭して殿にお仕え申す所存でございます」

 

 何処の武士だよ! なんか凄く固くっるしい子だな。


 俺は、サツキの体を起こすと、頭に手を置き優しく撫で『そんなに固くならなくて良いんだよ』と、サツキの緊張を解すように呟く。


「・・・・・・惚れもうした」

 

 ん? 何だって? 声が小さくて良く聞こえなかった。

 そして、何でマナはこっち睨んでんだ?


「手が早いな一郎」


 スミスがからかってくる。

 俺はロリコンじゃ、ねえぞ。


「そ、そんなじゃありませんよ! 緊張を解してあげようと思って!」


「分かってるよ、そんなに焦りなさんな。ハッハッハ」


「もう、からかわないで下さいよ!」


「・・・・・・、一郎さん。早く紹介して下さい!」

 

 な、何でマナ怒ってんの!?

 

 マナが怒っている理由が分からないので、とりあえず、笑って誤魔化そうと『分かったよ』と、明るく答える。


「サツキ、こちらがスミスさんとマナだよ」


「俺はドワーフ族で鍛冶師のスミスだ。宜しくな嬢ちゃん」


「エルフ族のマナです。宜しくお願いします、サツキさん」


「お二方、拙者、未熟者ですが、これから宜しくお願い申す」


「さあさあ、挨拶はこれくらいにして家に入ろう! お茶でも飲みながら今後の事でも話そうよ」


 そう言ってその場をしめると、皆はそれぞれ頷き、俺とマナの案内で家へと入っていく。


 今回、俺の元に、鍛冶師のスミスとA級魔物ハンターのサツキが民として加わったが、今後の文明発展が大きく進展していくのだろうか? 

 

 二人の活躍に期待したい所である。


「ワウッ!ワウッ!(ちょっと! 私の事忘れてない!?)」


 今回は新しい民であるスミスとサツキの紹介回です。

 次回は二人が活躍する? お話を投稿予定ですのでお楽しみに!


 ここまで読んで下さりありがとうございます。面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマーク、評価などをして頂けると大変嬉しいです!


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