第四話 釣りをしよう!
ブックマークありがとうございます!
日を跨いでしまいましたが明日だと忘れてしまいそうなので投稿します。
イベリスの登場から一週間が経った。
この一週間は地球時代、日々生活の糧を得る為に身を粉にして働いていた俺にとって、まったりしていたがとても充実した日々だった。
まあ、ほとんどイベリスと遊んでいただけだが・・・・・・。
それでも、新しい発見をしたのは確かだぞ?。
それは、イベリスと散歩をしていた時の事だった、散歩と言っても俺の全力ダッシュに余裕でついて来るイベリスと走っているので、ランニングと言っても差し支えないが、体力的にも気分的にも俺達的には散歩の様な物だ、それに周囲の探索も兼ねている。
話が逸れたが、相棒のイベリスとそんな散歩兼探索をしている時だった。
それまで俺達は、森方面をくまなく探索していたのだが特にこれといった新しい物を発見出来なかったので、初めて山方面に向かって足を伸ばし山の麓へとたどり着いた俺達に、この世界は素晴らしいプレゼントを用意してくれていた。
──おおっっ、デカい・・・・・・。
「凄いなイベリス!
とても美しい景観じゃないか?」
「ワウッ!(そうだね)」
そう、俺達が発見したのは水面に山々が映り、雄大でかつ穏やかな様子の、まるで鏡の様な湖だ。
因みに湖の大きさだが、横に長い形をしていて例えるなら河口湖位だろうか。
湖を発見した一俺は、ここで優雅にお茶をしながら釣りなんかしたら最高だなと思い、マナに釣竿や椅子などを作って貰おうと拠点へと戻る事にした。
──マナ~っ!山の麓に湖を見付けたよー」
家へ戻った一郎は、優雅にハーブティーを啜るマナに、目をキラキラさせながら報告する。
「湖ですか、それは良いですね。
魚が居れば新しい食料になりますし、ここの小川が枯渇した際の水源にもなりますね」
生活感溢れる素晴らしい発言ですね、はい。
「そ、そうだね・・・・・・」
「それで?
私に何を作って欲しいのですか?」
「えっ!? なんで分かったの?!」
「一郎さんの顔を見れば分かります」
「さ、流石マナさん・・・・・・
それなら話しが早いか。
なら、釣竿と椅子を作って欲しいんだ」
「釣竿と椅子ですか・・・・・・・
釣竿を作るなら針と糸も必要ですね、後、椅子は家に有る椅子と同じで宜しいですか?」
「椅子はね、ロッキングチェアの様な物が良いな」
「ロッキングチェア?・・・・・・
どの様な物か分かりませんので作りながら教えて下さい」
「分かったよ!
材料になる木は湖の近くに生えていたから現地で作らない?
あっ!後、ハーブティーも持って行こう!」
「・・・・・・分かりました。
では、参りましょうか──
──此処が湖ですか・・・・・・
良い所ですね、何だか心が落ちつきます」
そう言って、穏やかな笑みを浮かべるマナに、俺は連れてきて良かったと安堵した。
それから俺達は近く生えていた気を見繕い、先ずは雨が降ってきても良いように屋根の付いた休憩場を岸に作り、其所にテーブルと仕様を説明しながら作って貰ったロッキングチェアを二つ並べ、最後に眠くなったら横になれるようにベンチを設置する。
最後に釣竿と、釣り針をマッチョシープの骨で作成し、釣り糸をこれまたマッチョシープの体毛で作ると作業を終えた。
マッチョシープありがとう、お前達の死は無駄じゃなかった。
さて、作業終えた終えた俺達は早速、優雅にハーブティーを飲みながら糸を垂らしていた。
イベリスは俺の膝で気持ち良さそうに寝ているが。
因みにこのハーブティーはマナが森から摘んできた物だ。
匂いはハーブ独特の癖の有る匂いだが、口に含むとほのかに甘く、飲んだ後に残る清涼感が癖になり中々美味い。
──三十分程過ぎ、少しロッキングチェアに座り硬くなった気がしたので体を伸ばす。
それにしても此処は居心地が良い。
山から下りてくる風が湖を通り、涼しい風が吹いてくるのだ。
暑くなってきたら此処は良い避暑地になるな。
しかし、全く釣れる気配がしない・・・・・・。
──一時間後。
マナは何匹か釣れたようだ。
・・・・・・俺は釣れない。
──二時間後。
マナは順調に釣れている。
・・・・・・俺? 釣れん!!
──三時間後。
最早、大漁旗をマナに贈りたい。
俺?・・・・・・言わせんなよ、悲しくなるから。
「マナ・・・・・・終わりにしよう」
「あ、はい!これだけ有ればじゅう・・・・・・」
俺の方を見て気まずそうに言葉を切るマナ。
「気を使わないでくれ。
おめでとうマナ、大漁じゃないか」
「た、たまたまですよ!たまたま!」
「同じ所で釣ってるのに?
それとね、オンナノコガタマタマヲレンコシチャダメダヨ」
「そ、それは・・・・・・」
ガックリと項垂れる俺にかける言葉も無いようだ。
まあ、こんな事も有るさ。
気を取り直して釣果発表といきますか。
マナ=三十匹(大漁)コングラッチュレーション。
俺=0匹(木の枝が一本)何も言わないでくれ。
「ワウッ!(下手くそね)」
「おいっ!イベリス!今、馬鹿にしただろ!」
こうして俺達の優雅な一時は終わり、日も落ちて来たので拠点へと帰路に着いた。
──月が明かりを照らす中、俺達は焚き火を囲みマナが釣った魚を串焼きにして食事を取っている。
「塩気が無くて淡白だけど、中々美味いじゃないか」
「そうですね」
「ワウッ!(肉の方が美味しいけど魚も中々ね)」
「所で一郎さん。
お聞きしたい事が有るんですが良いですか?」
「ん?・・・・・・
あっ!そう言えば俺もマナに聞きたい事が有ったんだ!」
「何ですか?」
「ああ、悪いね。
じゃあ、先に聞くけど・・・・・・
マナが使っている不思議な力ってなんなんだい?」
「私の力ですか?!
大変申し訳ありません!ご存知かとばかり・・・・・・」
「いや、いいんだよ。
それで、教えてくれる?」
「は、はい!
私の使っている力は精霊魔法です」
「精霊魔法?」
「はい、精霊魔法と言うのは魔法の元となる六大元素、火、水、風、地、光、闇の精霊と調和し精霊の力を借りて発動させる魔法の事です。
因みに、私は風の精霊と一番調和が取れているので家や家具など、精密な加工が出来るのです」
「成る程、不思議な事が有るもんだ。
じゃあ、今までの事は風の精霊さんのおかげなんだね。
後で風の精霊さんにお礼しないとな」
「十分感謝は伝わっていますよ」
「ん?・・・・・・
それって精霊さんと会話が出来るって事?」
「あっ、いえ。
直接会話は出来ないのですが、調和が良い程通じ合うと言いますか・・・・・・」
「ああ、心で通じ有って理解しているんだね。
中々良い関係じゃないか!
因みに、その精霊魔法って俺も使えるの?」
「一郎さんがですか?
少しお待ち下さい、聞いてみますので」
「・・・・・・残念ですが、一郎さんは使えない様です」
「そうか、それは残念だね」
「しかしこうも言っています。
貴方は魔法の理よりもっと最上の人、魔法など使えなくても大丈夫と」
「そうか・・・・・・
まあ、良く分からないけど、魔法が使えなくても俺にはマナが居るしね!」
「フフッ、そうですね」とマナはとびきり素敵な笑顔を見せてくれた。
「それで、マナが聞きたい事って?」
「ああ、はい。
私が口を挟むのはおこがましいのですが・・・・・・」
「遠慮しないで言ってくれ」
「・・・・・・新たな召喚はしないのですか?」
・・・・・・わ・・・・・・わ、忘れてたーー!!
なんてこった!
あまりにゆったりした日が続いていたからすっかり頭から抜け落ちていた。
こりゃ不味いな、目的を見失う所だった。
言ってくれたマナに感謝だ。
所で、文明ポイントどの位有るんだ?
そう思った俺は頭の中で文明ポイントを表示させる。
『文明ポイント 2050pt』
ポイントの確認をした俺は、これなら民ガチャを回しても大丈夫だと案外増えていたポイントに安心する。
「そ、そうだな! そろそろ食料事情も安定しそうだし、人を増やしても良いかもしれないな! まあ、きょ、今日は遅いし明日の朝にするか!」
「はい! 楽しみです!」
なんとか、自分が忘れていた事を誤魔化したが『はい!楽しみです!』と、無邪気に笑うマナに少し罪悪感が芽生えた。
「ワウッッ(本当は忘れてたんでしょ)」
「・・・・・・さあ~て! 今日はもう寝るかな~」
そう言えば、寝てますよ、一緒に。
ハンモック並べて。
言っとくけど手は出してませんからね!
また、まったりしてしまいましたが、次話は新キャラ登場しますのでお楽しみに!
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