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第一話 『初めての民ガチャ!』

──んっ? 此処は・・・・・・。

 

 どうやら、無事と言っていいか分からないが、違う世界とやらに来たようだ。


 辺りを見回すと、暖かい風が吹く草原が広がっていて、遠目には山脈や森などが見える。

  

 過ごしやすい気温と青い空、プカプカと浮かぶ様々な形の雲、大地を照らす太陽の様な光、季節は分からないが、体感気温から察すると、今は春頃だろうか?


 ──時計が無いので、どの位の時間が経過したのか分からないが、結構な間──景色を眺めていたと思うが、やる事が有ったと思い出した。


 そうだ、星の管理を任されて飛ばされたんだったな。

 さて、どうしたものか──とりあえず、周辺を探索するか。


 正面は見える限り草原、右は遠くに山脈、左は森、後ろは・・・・・・正面と同じで平原が続いてるな。


 よし──先ずは、正面に進んでみるか。


 体の調子を確かめる為、恐る恐る一歩を踏み出すと、草原の柔らかい感触が伝わってくる。


 ゆっくり、感触を確かめながら歩くと、体の軽さに驚く。

 徐々に歩くスピードを上げ、仕舞いには笑顔で走りだしてしまった。


 やっぱり体が軽い! いや~若いって素晴らしいな、しかも全然疲れない! これは星の管理者がくれた強靭な肉体のお陰だろうか? ならば感謝だな、体をこんなに動かしたのは何十年ぶりだろうか。


流れる景色からすると、時速100km位出ている。

我ながら新しい体の身体能力が恐ろしい。


 しばらくすると、澄んだ小川を見つけたので立ち止まり、しげしげと小川を観察する。


 川幅は二メートル位だな、この水飲めるのか? 飲めそうなら此処を拠点にしたいな。

 

 試しに飲んでみるかと、小川の水を両手で掬い、ぐびぐびと喉を鳴らして水を胃袋に流し込む、小川の冷たい水がほどよく体に染みる。

 

 飲んだ後の体調変化を確かめる為、小川の近くに腰を下ろすと、地面は小川の近くだからなのか、少しひんやりとしていた。


 ──あれから結構たったか? 腹を壊す様子は無いからここの水は大丈夫そうだな。


 よし、水が確保出来たから此処を拠点にして村作りを始めよう! と言っても、何から始めれば良いんだ?

 

 衣食住から考えて着るものは布を作らないといけないからハードルが高いな。

 

 しかし、俺の着ている服、センス無さすぎだろ。

 ズボンは普通なのでまだ良いんだが、問題は上だ。

 白いTシャツにデカデカ『星の管理者』と、入っている。


 誰も居ないからまだ良いが、凄い恥ずかしい・・・・・・。

 

 兎に角、本題に戻るか。


 次に、食べ物だが、俺には必要ないから人を増やした後考えるとして、先ずは自分が住む所か? でも家なんか作った事無いしな・・・・・・。


 ──暫く考えたがどうして良いか全然分からん。

 

 とりあえず『民ガチャ』とやらで、変わりに色々やってくれる人物でも出せば良いか、THE他力本願!


 そんな事を思っていると、何処からともなくガチャポンが目の前に現れた。


 うおっ!? ・・・・・・なんだか良く分からないが、都合良く出てきてくれたな。

 どれどれ、確か民ガチャの詳細はこんな感じだったよな──



『民ガチャ詳細』


・ノーマルガチャとレアガチャの二種(ノーマルガチャが赤い筐体、レアガチャが金色の筐体)


・レア度は星1~5まで有り、数字が上がる毎に希少性が高くなる。


・ノーマルガチャで出るのは星1~3まで。

・レアガチャで出るのは星3~5まで。


・ガチャンポンを回すにはノーマルコインとレアコインがそれぞれ必要。 

・コインは文明ポイントと交換可能、100ptでノーマルガチャを一回分回せるノーマルコイン一枚、1000ptでレアガチャを一回分回せるレアコインと交換可能。


※割合について

・ノーマルガチャ(星1が60%、星2が30%、星3が10%) 

・レアガチャ(星3が60%、星4が30%、星5が10%)


※文明ポイントについて

・文明を発展させる度にポイントを付与。

・初期ポイントとして1000ptが付与されている。

・目標達成時はボーナスとしてポイントを付与。

・又、様々な行動によりポイントが付与されるので色々行動してみよう!



──確かこんな感じだった筈、肝心の中身については回してからのお楽しみとか言って教えてくれなかったけど・・・・・・。

 所で、文明ポイントはどうやって確認するんだ?


 そんな疑問を感じると、頭の片隅に所持ポイント1000ptと表示された。


 どうやら、ガチャポンが現れた事とポイントが表示された事を考えると、意識すると色々出来るみたいだな、て事はコインに交換するのも大丈夫そうだな。


 さて、ノーマルとレアどちらを回そうか? 悩み所だ。

 

 ノーマルだったら10回、レアだと1回か。

 ノーマルを回せばポイント的には安心だが、今の状況を考えると優秀な人物が是非欲しい所だ。


 暫し目を瞑り、悩む──。

 

 よし、決めたぞ。ここはレアガチャの一回に賭けよう!


 決心すれば行動に移すのが早い俺は、早速ポイントをレアコイン一枚と交換し、最初に出てきた赤い色のノーマルガチャの筐体から金色のレアガチャの筐体に変更すると、投入口にコインを入れてハンドルを恐る恐る回した。


 ガラガラ、ガラガラ、コトンッ・・・・・・。


 ガシャポンから出て来た真っ黒なカプセルを手に取り、まじまじと観察する。

 

 特に変わった所はないが、中身がスカスカのような気がする。

 空っぽとかで、いきなり詰むのは勘弁願いたい。

 ・・・・・・考えてもしょうがないか、とりあえず開けてみよう。


──カプセルを開け中身を確認すると、折り畳まれた白い紙が入っている。その紙を少しずつ捲っていき、最後の折り目を開くと、紙に書いてある文字が目に飛び込んでくる。


 こ、これは!!


 内容を確認した俺は、頭の片隅に表示された召喚しますか? の、問いかけに『いいえ』と即答し、捲った筈の紙を綺麗に畳み直し、カプセルに入れると蓋をそっと閉じた。


 いとおしそうにカプセルを見つめ、視線を外して感傷に浸るかのように遠くを見る。


 そんな行動を10回も繰り返しただろうか、10回目の召喚しますかの問いかけに丁寧にお願いしますと答え、ガチャの内容が書かれた紙が目も眩むような光りを発するのだが、その光景を目を閉じる事なく満面の笑みで眺めた。


 ──さて、誰も聞いてはいないが報告したい事がある! 聞いてくれ! 俺はやったぞ! なんと・・・・・・。


 星4のレア民をゲットしました! おめでとう!


 まあ最高レア度では無いが、それでも上から2番目のレア度だ、確率30%を一発で仕留めた俺を褒めて欲しい。

 さあ改めて紹介しよう、なんと今回引き当てたのは──



 カプセルの中身である紙から発せられた眩い光は、徐々に治まりながらも、人の形を形成していく。 

 そうして、完全に光が治まると、俺の目の前には、一人の美しい女性が立っていた。


──おおっ!! なんと美しい事か。

 

 皆見てくれ、今回引き当てたレア度星4を誇る、『エルフ様』のご登場だ!


 初の『民ガチャ』で引き当てた最初の民であるエルフの女性は、ニヤニヤ顔の俺と目が合うと、美しい所作でお辞儀を見せると、ゆっくり顔を上げ再び俺と目を合わせ、待ち望んだ第一声を発する。



「今回召喚して下さり、大変──光栄に御座います。これからどうぞ宜しくお願い致します、主様」


 第一声を聞いた俺は、その澄んだ美しい声に興奮のボルテージが振り切ってしまい、エルフの女性の手を掴み『ありがとう、ありがとう』と、意味不明なお礼を何度も呟いていた。


 暫くして満足したので、エルフの女性の手を離すと、今度は惚けた様にその容姿を見つめて固まってしまう。

 

 良く見ると、いや良く見なくても美人だ。


 整った顔立ちは見目麗しく、その瞳は吸い込まれてしまいそうなエメラルドグリーン、肌は透き通る様に白く、銀髪の髪をさらさらとなびかせている。

 体は白い法衣に包まれているが、出る所は出ていて存在をこれでもかと主張してくるのだ。


「主様、一つお願いが御座います」


 危ない危ない──所でお願いってなんだ?

 ジロジロ見られて気分が悪いので、死んで下さいとかは勘弁だぞ。


「な、なんだい?」


「私に名前を付けて頂ければ、幸いでごさいます」


「名前?・・・・・・わ、分かった! 考えてみるね!」


 良かった~、しかし、お願いする表情も愛らしい。

 いかんいかん──そうだ、名前だ。

 


「──よし、決めたぞ! 君の名前はマナだ!」


 俺の名付けた名前を聞いたエルフの女性は、表情をパアッと明るくすると、嬉しそうにお礼を返してくれる。


「素敵なお名前をありがとうございます主様。マナは一命を賭して主様に御使いさせて頂きます」



 こうしてエルフの女性マナが、俺の新しい民として加わる事となった。

 

ここまで読んで下さりありがとうございます。

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